『ゴジラvsコング』
Warner Bros.
- ネットフリックスは、第1四半期で目標の新規契約件数が目標を200万件下回ったが、約400万件獲得した。
- アメリカのみで展開するHBOマックスは、第1四半期の新規契約件数が300万件近くとなった。
- これは、ストリーミング業界で国際的な展開がいかに重要かを表している。
ネットフリックス(Netflix)の2021年の第1四半期は期待外れな結果となり、株価も10%下落した。
同社の新規契約件数は、アメリカでの44万8000件を含め、世界で合計約400万件となったが、当初の予想を200万件下回った。
だが同社は、アメリカのみで視聴可能なワーナーメディア(WarnerMedia)のHBOマックス(HBO Max)に比べてずっと多くの新規契約者を獲得している。HBOマックスの2021年第1四半期の新規契約件数は、およそ300万件だった。
ネットフリックスは2013年以降で最低の結果だったが、それでも新規契約件数でHBOマックスを上回っており、ストリーミング戦争で国際的な展開がいかに重要かを示している。HBOマックスは、2021年6月にラテンアメリカでサービスを開始する予定だ。
ワーナーメディアの親会社であるAT&Tは4月21日、第1四半期決算報告で、HBOマックスのリテール契約件数(HBOマックスと直接契約を結んだ件数)は現在970万件で、前四半期より280万件増加したと述べた。これまで開示していた、ケーブルテレビ放送局HBOの契約者がHBOマックスのサービスにアクセスした数については、公表しなかった。
ネットフリックスの全世界の契約件数は、アメリカの6700万件を含め、2億700万件だ。
『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』
HBO Max
この結果は、ワーナーメディアがHBOマックスの契約件数を増加させようと大胆な動きを起こした四半期の後のものだ。2021年に映画館とHBOマックスで映画を同時公開するという決定はハリウッドで反発を巻き起こした。
『ゴジラvsコング』や『トムとジェリー』などの映画は、ストリーミング配信を行っているにも関わらず興行的に成功した(『ゴジラvsコング』の興行収入はアメリカ国内で8000万ドルを突破し、全世界では4億ドル近くになった)。ヒーロー映画『ジャスティス・リーグ』ファン待望のディレクターズ・カット版である『ジャスティス・リーグ: ザック・スナイダーカット』はアメリカのHBOマックス限定で公開された。
ネットフリックスとHBOマックスの両社にとって第1四半期は複雑な結果だったが、今後に向けて、いくつかよいニュースがある。
ネットフリックスは新規契約が目標件数に達しなかったが、解約件数は減少した。Insiderで報じたように、既存の契約者を維持することは、パンデミック関連の成長があった2020年の後の厳しい2021年におけるストリーミング業界での優位性を維持するのに役立つだろう。
また、映画館とストリーミングを融合したワーナーメディアの戦略が、HBOマックスを支えていることがわかるデータがある。分析企業のAntennaによると、HBOマックスと映画館で同時公開した『ワンダーウーマン 1984』で2020年12月、新規契約件数が平均的な週の4.3倍も増加したという。
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』、『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』、『DUNE/デューン 砂の惑星』など、ワーナー・ブラザーズ(Warner Bnoros.)の多くの映画が、同じ戦略で2021年に公開され、HBOマックスは恩恵を受けられると見られる。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)