オスロにあるノルウェー中央銀行の外観。2018年3月6日撮影。
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- ノルウェー中央銀行は、デジタル通貨のテストを開始すると発表した。
- 現金決済が全体の4%という世界で最もキャッシュレスな国が、さらなる現金決済削減に向けて動き出した。
- ノルウェー中央銀行はCBDC(中央銀行デジタル通貨)について4年間研究を行ってきたが、今後は実装に向けて技術的な試験を行おうとしている。
現金決済の割合が約4%という世界で最もキャッシュレスな国、ノルウェーが、さらなるキャッシュレス化の推進に向けて、中央銀行デジタル通貨(CBDC)のテストを開始すると4月22日に発表した。
アナドル通信社(Anadolu Agency)によるとノルウェー中央銀行は「CBDCの研究を4年間続けてきた。今後はCBDC導入の必要性とその影響を分析するために、技術的なテストを行っていく」という。同銀行はテストが今後2年間続けられるとしている。
ロイターによると、ノルウェー中央銀行総裁のオイスタイン・オルテン(Øystein Olsen)は発表の中で「CBDCを発行することが正しいかどうかを判断するには、さらなる知見が必要だ」と述べたという。オルセン総裁は2019年6月のコメントでは、CBDCの発行は「複雑な問題を作り出す」として消極的だった。当時、オルセン総裁は、ノルウェーには「(デジタル通貨に)参入するための国際的な経験が少ない」とし、安全で効率的な決済システムを確立するためにはさらなる研究が必要だとしていた。
これまで多くの国の中央銀行が、近年急騰する暗号通貨の勢いに背中を押されるよう、CBDCを検討してきた。現状では中国がこのレースを先導している。このアジアの大国は2014年にCBDCの開発を始め、2020年に先行試験を開始した。シティグループが2021年4月に発表した「お金の未来」という報告書によると、アナリストの予測では中国は今後5年以内に「キャッシュレス社会へと飛び込んでいく」という。
一方でイギリスは4月19日に、CBDCになる可能性を持つ「britcoin(ブリットコイン)」について調査研究していると発表した。
暗号通貨全体の時価総額は、2021年4月の時点で2兆ドル(約216兆円)に達しており、これは3カ月前の2倍だ。
CBDCは国家の信用に依存するデジタル通貨であり、実物の貨幣よりも低コストであることから、決済効率を向上させることが期待されている。その多くは、ハッキングがほぼ不可能とされる厳重な台帳管理システム、ブロックチェーンを応用している。
(翻訳:忍足亜輝、編集:Toshihiko Inoue)