Ross Holburt/Racing Photos via Getty Images
- デジタル競走馬のレース、売買、繁殖が、暗号資産の新たなトレンドとなっている。
- デジタル競走馬は、NFT技術に基づいており、最高12万5000ドルで取引されている。
- 暗号資産はバブルであるとの懸念をよそに、デジタル競走馬の人気は高まっている。
暗号資産ブームが巻き起こる中、ブロックチェーン技術に基づいたデジタル競走馬が12万5000ドル(約1350万円)で売れた。
オンライン競馬ゲーム「ZED RUN」では、デジタル競走馬をレースに出場させたり、取引したり、繁殖したりすることができる。個々の馬は血統が異なるので唯一無二のものであり、プレーヤーは非代替性トークン(NFT:non-fungible token)と同じ方法で馬を購入して所有し、その所有履歴やレース結果は馬のブロックチェーン・コードに登録される。
ZED RUNはイーサリアム(Ethereum)ブロックチェーン上で動作する。2019年のサービス開始時には、馬の価格は30ドル(約3200円)程度だったが、今では最高12万5000ドルで取引され、通常でも1万5000ドル(約162万円)を超えるものが多い。これまでに約1万1000頭の馬が販売され、さらに8000頭の馬がゲーム内で繁殖されている。さまざまな厩舎が血統の配合を考え、名馬を生み出すべく繁殖を行っているのだ。
NFTは急成長中の暗号資産形式で、画像、音声や動画など、交換することのできないユニークなデジタルデータが購入できる。これらはオンライン上で誰でも見ることができるが、所有できるのは1人だけであることから、コレクターズ・アイテムとして保有されることが多い。
ZED RUNでは、プレーヤーは数ドルから数十ドルの出走料を払い、持ち馬をレースに出走させ、勝つと数百ドルの賞金が得られる。プレーヤーは、エントリー前にオッズを見ることができないため、自分の馬の特徴やレースの履歴に基づいてレースに参加することになる。
Virtually Human社の共同創業者でZED RUNの生みの親、クリス・エーベリング(Chris Ebeling)はSporticoに対し、この事業は拡大する可能性があり、最終的に人々はデジタル競走馬の売買、繁殖、レースの賞金で生計を立てることができるようになるだろうと語った。
アメリカのゲーム会社、アタリ(Atari)は、ブロックチェーンと暗号資産ビジネスを拡張しており、ZED RUNの開発を援助している。
デジタル競走馬も多くの人を虜にしている仮想通貨・暗号資産人気から生まれた最新トレンドの1つだ。ここ数カ月、NFTは過去最高の売れ行きで、音楽からアートやゲームにまで及んでいる。仮想通貨や暗号資産はバブル状態にあるとの懸念をよそに、引き続き市場は拡大し、関心は高まっている。
2021年4月初め、ミック・ジャガー(Mick Jagger)は、曲の一部をアーティストのEXTRAWEGによるビジュアル素材と組み合わせて販売し、チャリティーのための資金調達を行った。オークションハウスのクリスティーズ(Christie's)は、デジタル・アート作品が6900万ドル(約74億4500万円)以上という過去最高価格で落札されたことを受け、同様のオークションを増やすと発表した。
その他のデジタル資産も増加傾向で、例えばバーチャルの土地や不動産を、馬と同じように、購入、建設、販売することができる。あるバーチャル風景画は今月初め、7万4000ドル(約800万円)以上で売れた。
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)