- インドでは、新型コロナウイルスとの戦いに新たな脅威が現れた —— 三重変異株だ。
- この変異株はベンガル地方から持ち込まれたサンプルから見つかった。既存の二重変異株から進化した可能性がある。
- 研究者らは、ワクチンの有効性に影響を及ぼす恐れがあると指摘している。
新型コロナウイルスの感染第2波、そして1つのウイルス内で2つの変異が起きる二重変異株と戦うインドが今、新たな脅威に直面している —— 三重変異株だ。
科学者らは、マハーラーシュトラ州、デリー州、西ベンガル州、チャッティスガル州の4つの州から持ち込まれた患者のサンプルから2つの三重変異株を検出した。 インドの研究者らはこれを「ベンガル株」と呼び、二重変異株よりもさらに感染力が強い可能性があると指摘している。
Times of Indiaの取材に応じたインドの研究機関CSIR-Institute of Genomics and Integrative Biologyの研究者ヴィノド・スカリア(Vinod Scaria)氏は、三重変異株も「エスケープ変異株」 —— ウイルスがヒトの細胞に付着し、免疫システムから隠れるのを助ける株 —— だと話している。
スカリア氏は三重変異株が二重変異株から進化した可能性があると指摘していて、専門家らはこれが最近、インドで新型コロナウイルスの感染が急拡大している背景にあるのではないかと話している。
インドにあるNational Institute of Biomedical Genomicsの研究者スリードハー・チナズワミー(Sreedhar Chinnaswamy)氏は、この三重変異株も南アフリカ型やブラジル型で見つかっているE484K変異を有しているとTimes of Indiaに語った。
「言い換えると、別の株に感染したことがあったり、ワクチン接種をしていたとしても、この変異株に対して安全ではないかもしれないということです」とチナズワミー氏は言う。
この"新しい脅威"は厄介だ。感染第2波と戦うインドの医療体制はすでに限界に達している。各地で病院が危機的な医療用酸素不足に直面している。患者が急増する中、22日には6つの病院で酸素が底を突いたと報じられている。
酸素は船舶の解体施設や製鉄所から流用されている。それでも病院は崩壊したままだ —— 絶望した患者の家族の中には、なんとかして家族を助けようと病院から盗んだ酸素ボンベを頼りにしている人たちもいる。
インドでは22日、1日あたりの新型コロナウイルスの新規感染者数が31万4835人と世界最多記録を更新したが、23日には33万2730人を記録し、24時間でこれを再び更新した。23日の死者数は2263人だった。インドではこれまでに1600万人以上が新型コロナウイルスに感染していて、アメリカの3200万人に次ぐ多さとなっている。
(翻訳、編集:山口佳美)