ローラ・ライアンの「ノンリニア」就業日は、電話をする時間や、その後の個人作業の時間で構成されている。
Dropbox
- ドロップボックスは「バーチャルファースト」に続いて、「ノンリニア」就業日を導入し、スタッフがスケジュールをより細かく管理できるようにした。
- 同社の国際人事部門の責任者であるローラ・ライアンは、自らのスケジュールを見直した結果、価値を生み出していない会議があることがわかったとInsiderに語っている。
- 「これまでは、話し合いたいことがあっても臨時の会議をする時間もなく、仕事が進まなかった」
ドロップボックス(Dropbox)は2500人の社員に、スケジュールを見直して、削減できる業務がないかを精査するよう依頼した。同社の国際人事部門の責任者、ローラ・ライアン(Laura Ryan)は「週に15時間ものスタンディング会議をしているのに、そこから何の価値も生み出していない」ことに気がついたという。
「いつの間にかそんな時間が積み上がってしまっていた。これでは急に話し合いたいことができても臨時に会議をする時間もなく、仕事が進まない」とライアンはInsiderに語っている。
ドロップボックスは2020年10月、リモートワークをデフォルトとする「バーチャルファースト」な働き方への移行を発表した。そのあとすぐに「ノンリニア就業日」への取り組みを始め、今回のスケジュールの見直しはその最初のステップとなった。
社内の各チームはあらかじめ会議のための「コア・コラボレーション」の時間を決め、個人はそれ以外の時間に何をするかを自由に設定できる。つまり、夕方でも早朝でも、それぞれが最も働きやすい時間帯に合わせたり、眠くなる時間帯を避けたりと「ノンリニア」に働くことができる。
アイルランドのダブリンに住むライアンは、このやり方で、これまで15時間を費やしていた会議を3分の1に減らし、他の人に対して何ができるのか考えられるようになった。
現在、彼女の1日は、身支度を整え、朝食を摂り、子どもを学校へ送ることから始まる。
午前10時になると、最初のコアコラボレーションの時間が始まり、これは通常、電話会議に費やされる。午後12時から午後4時までは会議がなく、メールの返信や文書の作成を行い、合間に散歩をする。
その後、再びコラボレーションの時間になり、午後4時から6時30分まで電話会議をするが、時には遅い時間に国際電話をしなければならないこともある。
ライアンによると、スケジュールの見直しを行った社員は、コアコラボレーションに必要な時間を確保することを求められるという。さらに、同僚の作業時間を邪魔しないよう、コラボレーション以外の時間帯の会議を求めず、同様に自分も時間外の会議を受け入れたりしないことも重要だという。
また、自分が働く時間帯について、チームのメンバーに明確に伝えておくことも重要だ。午後8時から午前0時まで仕事をするつもりであれば、そう伝えておくことで、無断欠勤をしたと思われることはない。
同社のガイドラインでは、時差のある地域との会議を可能にするために「コラボレーション・アワー」は午前10時から正午、午後4時から午後6時の間に行われるべきだとされている。
チームは必要に応じてコラボレーション・アワーの調整が可能だ。それ以外の時間は、社員個人が集中して仕事をする時間として確保される。それは従来の勤務時間帯である必要はなく、自分の都合に合わせた時間に仕事ができる。
1日のスケジュールをどのように組むかにかかわらず、「忙しくするための忙しさ」から「効果的な忙しさ」へと考え方を変えることが重要だとライアンは言う。
彼女によると、オフィスでの特典が志望者を惹きつけるものではなくなってきているため、ドロップボックスではこれらの就業方針を強調していくという。
新入社員は最初の研修の際に、朝型か夜型かといったことを上司に伝えながら、希望する勤務形態について相談することができる。さらに、チーム全員の同意があれば、会議の時間帯は変更可能であることも伝えられる。
一般的な勤務時間からは自然とずれるチームもある。例えば、エンジニア・チームは、始業も終業も遅くなる傾向があるとライアンは述べた。また、人事部やマーケティング・コミュニケーション部など、顧客対応の必要がない部門は、ノンリニアな勤務形態がうまくいくと彼女は見ている。
一方、営業チームは、顧客のほとんどが従来通りの時間帯で仕事をしているため、それに合わせる必要がある。しかし、ライアンによると、ドロップボックスの営業チームはローテーションを組んで対応しているので、ノンリニアな勤務形態で働くことができる日もあるという。
ライアンは、ドロップボックスはこのシステムを運用しながら微調整していくつもりだという。
「初めからうまくいくはずはないので、一緒に解決していきたい」と、ライアンは付け加えた。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)