インフルエンサーのフォロワーに対する影響力はInstagramとTikTokで異なる。
Getty/Ivan Pantic
米インフルエンサーマーケティング分析プラットフォーム「レイターアンドフォー(Later and Fohr)」と「ハイプオーディター(HypeAuditor)」の最新レポートでは、TikTok(ティックトック)とInstagram(インスタグラム)について、次のような結果を発表している。
「TikTokのスーパースターたちはオーディエンスを惹きつけることに成功している。一方、Instagramのトップインフルエンサーにファンたちは興味を失っている」
両社のレポートは、SNS上のクリエイターに対するフォロワーのエンゲージメントを分析。エンゲージメントとは、あるインフルエンサーのオーディエンスがそのインフルエンサーのコンテンツに反応する割合をいう。
企業のブランドやマーケティングの担当者が、インフルエンサーに本当に影響力があるかどうかを測る方法は多数あるが、その中でもエンゲージメント率は重要な指標となる。
Instagramの狙い目はフォロワー数1000〜1万人
レイターアンドフォーは2020年12月から2021年3月、350万のInstagramの投稿を分析した。ハイプオーディターは2020年、Instagramの1200万以上のアカウント、YouTubeの450万以上のチャンネル、TikTokの520万以上のアカウントを調査している。
その結果、フォロワー数の少ないInstagramのインフルエンサーのほうが、エンゲージメント率が高いと分かった。逆にTikTokでは、何百万ものフォロワーがいるインフルエンサーのほうが、エンゲージメント率は高い傾向だった。
両社のレポートにおいて、Instagramのエンゲージメント率は「いいね!」とコメントの総数をフォロワー数で割って算出している。
Instagramの全インフルエンサーの平均エンゲージメント率は1.9〜2.2%。エンゲージメント率が最も高かったのはフォロワー数1000〜1万人の「ナノインフルエンサー」、次いでフォロワー数1万〜10万人の「マイクロインフルエンサー」だった。これらはニッチなオーディエンスを獲得できることが多く、よりフォロワーに刺さるアカウントだと言える。
Instagramのフォロワー数別のエンゲージメント率は次のとおりだ。
1000〜1万フォロワー:4〜5%
1万〜10万フォロワー:1.4〜2%
10万〜100万フォロワー:1.3〜1.6%
100万フォロワー以上:0.8〜1.6%
上記の結果を受けて、フォロワー数の少ないナノインフルエンサーやマイクロインフルエンサーを起用するように自社の戦略を変更したブランドやマーケティング担当者もいる。
TikTokは100万人以上のフォロワーが目安に
ブランドとフォロワー数の少ないクリエイターをつなげることを専門にする、インフルエンサーマーケティングのプラットフォーム「ハートビート(Heartbeat)」のブライアン・フリーマンCEOは、Insiderが2020年に取材した際にこう答えている。
「フォロワー数の少ないクリエイターは消費者であり、買い物客でもあります。つまり、彼ら彼女らは一般市民なのです」
一方、 フォロワー数が多いとエンゲージメントが低いという考えは、TikTokには当てはまらない。ハイプオーディターのレポートで、TikTokでのエンゲージメント率は「いいね」やコメント、シェアの数を閲覧数で割って算出している。
TikTokで活動するクリエイターの大多数(約70%)のフォロワー数は1000人〜2万人だが、エンゲージメント率が高いのはフォロワー数が数百万人規模の人気インフルエンサーだった。
また、TikTokで100万人以上のフォロワーがいるクリエイターの平均エンゲージメント率は18.6%だった。これに対し、フォロワー数が2万人未満のクリエイターの場合、エンゲージメント率は約14〜15%だった。
TikTokはユーザーのコンテンツとの関わり方がInstagramと異なり、すべて動画というのもあるのだろう。全体として、TikTokのほうがInstagramよりエンゲージメント率が高くなった。
(翻訳・カイザー真紀子、編集・小倉宏弥)