スウェーデンの短時間労働実験 —— 1日6時間は「おおむね成功」

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Associated Press/Brennan Linsley

スウェーデンが国民の幸せに貢献しようと努めていることは知られているが、幸福度を高めるには大きな出費を伴うことが最近の調査でわかった。

政府の調査の一環として選ばれたスウェーデンのヨーテボリ(Gothenburg)の老人ホームで働く従業員は、過去2年間、週に30時間しか働いていない。

先週公開された調査の結果は、誰もが予想したような内容だった 。従業員は以前より幸せを感じ、ストレスが少なく、仕事をもっと楽しんでいたのである。

唯一の否定的な側面は、スケジュールにお金がかかることだった。

2015年、ヨーテボリの地方議会は調査を進めるよう努めたが、地方政治家のダニエル・ベンマー(Daniel Bernmar)氏は、最近Bloombergに対し「労働時間短縮の試験を適切な期間、実行しようと思うと、お金がいくらあっても足りません」とコメントした。

スパッテダーレン(Svartedalen)の老人ホームに勤める約80人の従業員にさらなる休暇を与えるために、政府は追加で17人を雇い、シフトをカバーしなくてはならなかった。新しい雇用は給与支払い総額に73万8000ドルを加え、およそ22%の支出の増加となった(しかし、新たに人を雇ったことで失業率の減少に繋がり、かかった費用の10%は相殺したとベンマー氏はニューヨーク・タイムズに伝えている)。

スウェーデンでは、その他いくつかの短時間労働の試験が進行中だが、最終的な結果が出るのはまだ先の話だ。

週40時間労働を変えようとする取り組みは、他のヨーロッパの国 でも一般的であり、例えばフランスは週35時間労働を標榜している。しかし、世界的に見るならばまだ標準的とは言い難いのが現状である。アメリカでは、フルタイム(正社員)の労働者は週に47時間を仕事に捧げる。韓国や日本などのアジア諸国では、さらに長い時間働く。

アメリカの大企業も数社ほど短時間労働を試験的に開始し、休暇を増やしても従業員は同じ作業量がキープできるかどうかを確かめている。

たとえば、Amazonはパートタイムの(週に30時間しか労働しない)従業員に対して、75%の給与と福利厚生すべてを与える試みを最近開始した。セールスとマーケティングの企業であるSteelHouseも、2017年からは毎月少なくとも3連休の週末が一回あることを宣言し、新年度をスタートした。CEOのマーク・ダグラス(Mark Douglas)氏は12月に、「次のステップは、週4日労働を試すことです」とBusiness Insiderに語っている。

今回のスウェーデンの試験は、短時間労働は長期的にみても良いという考えに水を差したかもしれない。

しかし、ベンマー氏は、コストに対する政府の判断は短絡的になり過ぎているとBloombergに伝えた。労働時間短縮の長期的な利点は、人が労働において今ほど疲弊しないようになることだ。

同氏はまた、この試験は政府が仕事に対してどのような観点を持っているかについて、重要な疑問を提起していると述べた。ヨーテボリがおそらくそうであるように、政府や企業が労働者の幸福度よりも安い経費を重要視するのであれば、それが伝えるメッセージは、もし、それが逆だった場合とは大きく異なる。

[原文:Sweden tested out a 6-hour workday — and it mostly worked

(翻訳:Wizr)

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