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【デジタル庁が人材募集中】国のDXに必要な人材って?採用担当者に聞いてみた。

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平井デジタル改革担当大臣(左)と、デジタル庁設立に向けて民間人材の採用を担当している斉藤正樹さん。

出典:REUTERS/Issei Kato

新型コロナウイルス接触確認アプリの不具合、マイナンバーカードの保険証利用もトラブルによる遅れ……。日本が抱えるデジタル化の遅れが、コロナで浮き彫りになっている。

そんな日本のデジタル化の推進役として期待されるのが、2021年9月に発足が予定されている「デジタル庁」だ。デジタル庁は500人規模での発足を予定しており、各省庁出身の官僚らに加え、民間出身者も約120人、採用される。民間人材の1度目の採用はすでに終え、4月から35人が働き始めている。そして4月27日からは2度目の募集が始まった。

日本のDXを進めるために、どんな人材が必要なのか?

4月に民間から採用されたばかりの採用担当者に話を聞いた。

約10年間、民間でIT人材採用に関わる

人材獲得競争が激しいエンジニアの世界では、募集情報をホームページに載せても、ほとんど応募がこないのは当たり前。優秀な人材は、積極的にアプローチしないと採用できない。それが前回のデジタル庁の応募には、30人の募集枠に約1400人の応募があり、関心の高さを感じています」


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斉藤さんは約10年間、IT人材の採用に携わってきた。

撮影:横山耕太郎


デジタル庁成立に向けた現在の人材募集で、採用担当を務めている斉藤正樹さん(37)はそう話す。

斉藤さんも民間の出身で、2021年1月、デジタル庁に向けた人材募集に手を上げ、倍率約40倍を勝ち抜き採用された。

2021年4月からは、デジタル庁設立に向けた準備を進める内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室で、非常勤の一般職国家公務員として勤務している。

斉藤さんは約10年前から人材エージェントとしてIT人材の採用を担当。2015年に採用コンサルや人事管理に関するソフトウェア開発を手掛けるベンチャー企業を立ち上げた。

「急成長するベンチャー企業で、2年で約400人のエンジニアを採用するなど組織作りに携わってきた。優秀な人が集まり一気に開発するのがエンジニア採用の醍醐味。国というなくてはならないミッションに挑みたいと思い応募した」

霞が関は年次による昇給が約束された終身雇用が前提だが、斉藤さんは「ジョブ型雇用」導入も進めたいと話す。

もちろん総合職と技術職は違いますが、優秀なIT人材を継続的に採用していくためには、勤続年数による評価ではなく、職務内容による評価を導入することが必要になる。

平井卓也デジタル改革担当大臣も『リボルビングドア(回転扉)』と言っているが、民間と行政の人材が行きできる仕組みが作れればと思っています」

「DXの遅れ」コロナで浮き彫りに

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菅首相は「デジタル庁」設立を公約に掲げている。

Yuichi Yamazaki/Pool via REUTERS

デジタル庁の目的について菅総理は、2020年9月、デジタル改革関係閣僚会議で次のように説明している。

各種給付の迅速化やスマホによる行政手続きのオンライン化を行うこと、民間や準公共部門のデジタル化を支援するとともに、オンライン診療やデジタル教育などの規制緩和を行うことなど、国民が当たり前に望んでいるサービスを実現し、デジタル化の利便性を実感できる社会をつくっていきたい」

コロナ禍では、河野太郎・行政改革大臣が「脱ハンコ」を掲げ、行政手続きからハンコの廃止を進め注目されたものの、日本のDXには課題も多い。

コロナの感染予防に役立つと期待されていた、厚生労働省が運営する接触確認アプリ「COCOA」は、感染者と接触が疑われる場合に作動しないなどの問題が続出。一方で、DXで先をいく台湾では、デジタル担当大臣・唐鳳(オードリー・タン)氏が、家庭用マスクがどこで売っているかを、確認できる「マスク在庫マップ」を2020年3月に整備。台湾のいち早いコロナ封じ込めと共に話題をさらったのとは対照的だった。

また、行政の効率化としても期待されるマイナンバーカードも活用が進んでいない。

マイナンバーカードについて政府は、運転免許証や健康保険証などとしても利用できることを目指すが、普及率は28.3%(2021年3月時点)。保険証利用については、個人情報が正確に確認できない問題が生じたため、運用開始が2021年3月から10月に延期されるなどトラブルに見舞われている。

行政の共通基盤整備へ、リーダーを求む

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内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室のHPを編集部キャプチャ

デジタル庁設立に向けた民間採用は、まさにこうした課題解決に取り組む人材の採用が目的だ。

募集業種は、UI・UX分野やセキュリティー分野を担当するエンジニアのほか、広報・労務の担当者など多岐にわたる。

具体的な募集職種の一つ「シニアクラウドエンジニア」は、「行政システムを稼働させるクラウド基盤の計画、設計、実装、運用」などが業務内容に挙がる。

「現在は各省庁が別々にサーバーを設置しているのですが、共通の基盤整備を進めていく。また将来的には中央省庁だけでなく、地方自治体にも共通基盤を進めていきますが、そのためにクラウドエンジニアを率先するリーダー役を募集している」(前出の斉藤さん)

またUI・UXの「アクセシビリティアナリスト」という募集職種は、高齢者や障害の有無などに関わらず、アクセスしやすいITサービスを実現するための職種という。

他にも国民向けサービスの開発を、国が内製化することを見据え「iOSエンジニア」を募集。IT人材以外にも、「広報」/「マーケティングプランナー」/「人事労務」のポジションも募っている。

年収は最大で「一千数百万円程度」

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霞が関は長時間労働が問題視されており、DXの推進が急務となっている。

撮影:今村拓馬

勤務形態は非常勤公務員。労働時間は「1週間当たり3日を超えない範囲内」かつ「1日あたり7時間45分を超えない範囲内」とされ、副業や兼業を認めている。

給与などは公表されていないが、リーダー人材などの場合、最大で年収相当にすると一千数百万円程度という。

斉藤さんは4月から国家公務員として働き始めたばかりだが、外から見ていた印象と中から見るのでは景色が大きく違っていたという。

「もっと閉鎖的な環境かと思っていましたが、もともと霞が関にいる方も、我々の意見をきちんと聞いてくれる。

デジタル庁の仕事はスタートアップようなカオスと、関係各所への調整も必要になる難しさがある。ただ『国を変えたい』という意思と、スキルを持った人材が集まる場でもあり、ここでしかできない経験を積めると思っています」


デジタル庁に向けた募集の概要は以下の通り。

募集期間は2021年4月27日から5月10日午後6時15分。

書類選考ののち、複数回(2回程度)の面接を実施する。

募集職種は以下。詳しい業務内容などはHPから確認できる。

・シニアプロジェクトマネージャー(デジタルサービス)

・アクセシビリティアナリスト

・アイデンティティアーキテクト

・データアーキテクト

・クラウドアーキテクト

・シニアクラウドエンジニア

・シニアネットワークエンジニア

・シニアソリューションエンジニア

・シニアエンタープライズエンジニア

・テクニカルアーキテクト

・IOSエンジニア

・セキュリティストラテジスト(全体設計)

・セキュリティストラテジスト(監査)

・脆弱性診断士

・インシデントハンドラー

・プロジェクト監理

・プロジェクトマネージャー(デジタルサービス)

・プロジェクトマネージャー(シビックテック)

・プロジェクトマネージャー(システム企画)

・広報

・マーケティングプランナー

・人事労務

(文・横山耕太郎

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