パンドラの新たな人工ダイヤモンドのコレクション。
Courtesy of Pandora
- デンマークのジュエリーブランド「パンドラ(Pandora)」は、天然ダイヤモンドを今後、使用しない方針を示した。
- 同社は、より安価でよりサステナブル(持続可能)な人工石で新たな顧客を獲得したい考えだ。
- 天然ダイヤの生産が減少する中、ここ2年で人工ダイヤモンドの生産は増加している。
サステナビリティー(持続可能性)を重視するミレニアル世代の顧客獲得を目指すパンドラは、天然ダイヤモンドの使用を停止すると約束した初めての大手ジュエリーブランドだ。
世界最大の宝石メーカーの1つであるパンドラは5月4日(現地時間)、新たな人工ダイヤモンドのジュエリーコレクションを立ち上げることも発表した。価格は250ポンド(約3万8000円)からだ。
このジュエリーコレクションは6日にイギリスで販売を開始し、2022年からは世界中で購入することができる。ブレスレットやネックレスに自由に組み合わせられる"チャーム"で有名なパンドラは、将来的には人工ダイヤモンドのみを使用するつもりだとプレスリリースの中で述べた。
地下深くの天然ダイヤモンドの採掘は、環境的な理由と倫理的な理由から議論の的になっている —— 天然ダイヤモンドの採掘に批判的な人々は、土地に悪影響をもたらすだけでなく、強制労働や児童労働によって人権侵害を招くと指摘している。
BBCの4日のインタビューで、パンドラCEOのアレクサンダー・ラシク(Alexander Lacik)氏は、人工ダイヤモンドは天然ダイヤモンドの価格の3分の1で作り出されると話した。ラシク氏は、より手頃な商品が新たな顧客を呼び込んでくれることを願っているという。
「このフィールドを広げようとわたしたちは試みているのです」と同氏はBBCに語った。
人工ダイヤモンドの製造は1954年まで遡るが、その人気が高まったのはここ20年ほどだ。ベイン・アンド・カンパニーの2月のレポートによると、新しい技術の進歩が2019年、2020年の人工ダイヤモンドの生産の「2桁成長」につながったという。
一方で、天然ダイヤモンドの生産は2017年のピーク以降、減少し続けているとベインのアナリストたちは指摘した。
人工ダイヤモンドは、より手頃な価格 —— 天然ダイヤモンドより30~40%安い —— と、より社会的意識の高い買い物をというアイデアに魅力を感じるミレニアル世代の若者に人気となっている。
人工ダイヤモンドは極めて小さなダイヤの破片から作られ、天然ダイヤモンドと同じ物理的構造、化学組成であることから、顧客は同じような見た目の石を買うことができる。
技術が向上し、価格が下がるにつれ、こうした石を買う人は増えるだろうと、専門家は見ている。
(翻訳、編集:山口佳美)