撮影:三ツ村崇志
再生可能エネルギーを中心とした電力の販売などを行う、いわゆる「新電力」のみんな電力は5月7日、第三者割当増資により総額 11.5億円の資金調達を実施したことを発表した。累計調達額は約41.5 億円となった。
資金調達の引受先となったのは、丸井グループ、SMBCベンチャーキャピタル、あおぞら銀行の3社。
冬の電力市場の価格高騰の影響は?
1月15日のJEPX(日本卸電力取引所)の市場価格の推移。最高価格が250円/kWhを越え、最安値も50円/kWhと異常値を記録した。
出典:日本卸電力取引所(JEPX)
Business Insider Japanでは、みんな電力を含めた多くの「新電力」が、2020年末から2021年1月中旬にかけて発生した卸電力市場の価格高騰の影響を受け、資金繰りに困窮する可能性について報じてきた。
みんな電力についても、価格高騰の影響がまったくなかったわけではない。
ただし、電力市場の価格高騰を受けて、経済産業省から卸電力市場で購入した分の電力を分割して支払う措置などが講じられたことによって、この問題は一時的に回避されている。
みんな電力の担当者によると、今回の資金調達は電力市場価格の高騰によって生じた資金繰りの悪化を補てんするためのものではなく、あくまでもこれまで継続してきた事業に投資するためのものだという。
調達した資金は、同社独自のブロックチェーン技術を使ったトレーサビリティに関する他事業(電力事業ではない事業)への水平展開に加え、環境を破壊することのない電源、卸電力市場の影響を受けない非FIT電源の調達などに投資するとしている。
新電力の中には、本末転倒ながら、再生可能エネルギーを導入するために自然環境を破壊する事業者も存在する。また、今冬の卸電力市場の価格高騰もあり、「需要家の間に、新電力に対する不安が広がっていると認識している」(みんな電力担当者)という。
今回の資金調達には、こういった新電力を取り巻くさまざまな不安を解消する目的もあるとしている。
(文・三ツ村崇志)