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インスピレーションとは、何かに挑戦するときのリスクのようなものだ。
自分の世界の外に出て、新しい人やアイデア、全く想像していなかったようなものとの出逢いを提供してくれる。名言はインスピレーションを得るのにぴったりだ。名言についてもっと熟考すれば、何かを学べるかもしれない。
Q&Aサイト「Quora」のスレッドの中では、イーロン・マスクの21の名言が紹介されている。Business Insider Japanでは、それらの回答の一部をQuoraの協力を得てまとめた。
回答は作家、実業家、ポッドキャスター、ウォール街の投資家として活動しているジェームズ・アルタッチャー(James Altucher)氏が答えたものをまとめた。
1. 「最初のステップは、それが可能であると証明することだ。そうすれば、あとはその確率が計算できる」
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不可能なこととはなんだろうか? タイムマシーンの実現が不可能かどうかを確かめるのは難しすぎるかもしれない。
しかし、電気自動車を作るのは可能だと証明できれば、まずは非常に効率性の高いバッテリーが詰まったトランクを備えたハイブリッド車を想像することができる。
すると実現する確率と実現可能さが、相関関係を持つようになる。
2. 「数百年前にさかのぼれば、今では当たり前になっていることが魔法のように思えるだろう。遠くにいる人と話せたり、写真を送ったり、空を飛んだり、賢人のように莫大な情報にアクセスできたり。これらはすべて、数百年前には魔法と考えられていたことだ」
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300年後の人々が、今日の世界を振り返える様子を創造してみてほしい。「あの頃はインターネットに『接続』しなければならなかった!」 「ニューヨークからカリフォルニアまで7時間もかかった!」などと言っているかもしれない。
(Forbesより)
3. 「物理学は、思考の良い基盤だ。ものごとを根本的な真理までに煮詰め、そこから論理的思考を重ねるのだ」
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イーロン・マスクは物理学や科学の理論について話しているわけではない。彼が話しているのは、物事を視覚化したり、真実たりうるアイデアや仮説を出した上で、その仮説を証明する方法だ。
物理学はその思考に基盤になると彼はいう。ルールは常に変化していて、それが物理学の魅力の1つでもある。
(2013年2月、TEDにて)
4. 「PayPalを辞めてから『人類の未来に最も影響を与えそうな課題は何だろう?』と考えた。『お金を稼ぐには何が一番いいだろう?』ではない」
ラッパーのCoolio。
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私(アルタッチャー氏)は、自分が配信するポッドキャストで100人以上にインタビューを行った。100人それぞれが、素晴らしい結果を出している。
ただ、お金のためにやっている人はいない。
例えば、1995年に最も売れた曲を作ったCoolioと話した時のことだ。彼は1977年から毎日歌詞を書くことを始めて、シングルがヒットするまでに17年かかかった。「決してお金のために何かをしてはいけない」と彼は話してくれた。
(2012年6月、Cal Tech commencementにて)
5. 「私の最も大きな過ちはおそらく、人格を重視せず、才能を重視し過ぎたことだ。良い心を持っているかどうかが重要だと思う」
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最近、創業者が会社から9000万ドルを盗み、会社の10億ドルの収入が0になるのを目の当たりにした。
誰かのために働くかどうかを決める際、誠実さ、謙虚さ、最善を尽くせるか。これらが最も重要な考慮事項だ。
6. 「起業家であることとは、ガラスを食べて、死の淵を見つめるようなものだ」
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多くの人は私に「オフィスのデスクにいたくない。起業家になりたい」と言ってくる。
起業は災害のようなものだ。85%の起業家が失敗するし、失敗は全く楽しくない。言うまでもなく、顧客、従業員、投資家と付き合う必要がある。彼らは全てあなたの上司であって、あなたが上司ではない。
そして、販売、計画実行、事業構築、事業売却、全てを使って成長しなければならない。
私は、多くのことに取り組むイーロン・マスクのアプローチが好きだ。彼は多くのプランBを持っているため、ひとつの起業に心が全てとらわれることはない。
7. 「フィードバックループ(訳注:自問して改善する仕組み)を持つことは大切だ。これはあらゆることについて最良のアドバイスだと思う。つまり、自分自身にどうすればもっと良くできたかと自分自身に疑問を投げかけ、常に考え続けるのだ」
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私は約30社に投資している。企業は、CEOが自分に酔いしれると失敗する。
テクノロジー、競争環境、顧客は絶えず変化しているが、最も時間を費やしてきた仕事を、当然「素晴らしい」仕事だったと偏って考える認知バイアスを私達は持っている。疑問を投げかけることで、何か問題が生じるだろうか?
認知バイアスに疑問を投げかけ、外部の人が見るような目線で常に疑問を投げかけることが必要だ。そうでないと、ビジネスは失敗する。
8. 「私は火星で死にたい。ただ、衝突ではなくて」
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アンディー・ウィアーの本、「火星の人」を強くおススメする。自費出版の後、大手出版社に見いだされて再出版されている。現在では、リドリー・スコット監督により映画化された。
この本では、火星での死にまさに触れている。
(2013年、SXSWにて)
9. 「手にしたい未来は、物事が悪くなる未来ではなく、良くなると期待できる未来だ」
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これはとても重要なことだ。報道記者は人に情報を伝える資格を何一つ持っていないのに、購読料を得るために悲観的なことばかりを伝える。
でも起業家は、より良い世界を創造し、そこに到達するためにどのような手段をとればいいかを考える人なのである。
(Forbesより)
10. 「難しいのは、どんな質問をするかを見極めることだ。しかしそれさえできれば、あとは本当に簡単だと分かった」
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この名言は、彼の10代の頃の愛読書「銀河ヒッチハイク・ガイド」に対してのものだ。「銀河ヒッチハイク・ガイド」で私が好きな箇所は、「物理主義的な観点からすれば、本当に必要なのはタオルだけ」という考えだ。
あとは、自分より大きな存在が面倒を見てくれる。清潔を保つことが鍵だ。
(訳注:銀河ヒッチハイク・ガイドに、「タオルは、持ち歩いてこれほど役に立つものはほかにないほど、お役立ちなもの」という記述があります。)
[原文:What can we learn from Elon Musk?/イーロン・マスクからどんな事を学ぶことができますか?]
(翻訳、編集・稲葉結衣)