TikTokはエンターテイメントを楽しむだけのアプリではなくなってきている。
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- Axiosの報道によると、TikTokはZ世代のユーザーが求人情報を見つけやすくするための新機能をテスト中だ。
- 失業率が高いにもかかわらず、企業は新卒の人材確保に苦労している。
- 多くの企業では、就職希望者を惹きつけようと、賃上げを含む特典の提供を始めている。
TikTokはZ世代(1997年以降に生まれた世代)向けに、求人情報を提供する新機能をテストしているとAxiosが報じている。
この機能は、ユーザーがTikTokのアプリ上で求人情報にアクセスできるように設計されている。参加企業は求人情報に関心を示した応募者にアクセスすることができ、応募者はTikTokの動画を履歴書として使用できるという。
TikTokユーザーはすでに、このプラットフォームをキャリアアドバイスを提供するツールとして活用しており、求人情報の利用の仕方や面接時のエチケット、履歴書作成のアドバイスといった情報を共有している。そしてTikTokは、エンターテインメント以上のことを発信するクリエイターに価値を見出しており、2020年の夏には、ヨーロッパで教育コンテンツに資金を提供する取り組みを開始した。
同社はこの取り組みについて発表したブログ記事で次のように述べた。
「TikTokを単なる娯楽としてではなく、何か新しいことを学んだり、新しいスキルを身につけたり、今までやったことのないことをやろうと思ったりしたときに利用してもらいたい。すでに多くの人が行っており、我々はこのトレンドを支え、加速させていきたい」
今やTikTokはユーザーが新しいスキルを学ぶ場だけでなく、仕事を見つける場になろうとしている。あるいは、人手不足の企業が人材を確保するための手段になるかもしれない。
アメリカ労働統計局が発表した2021年4月の就業者数は、予想されていた100万人をはるかに下回る26万6000人にとどまり、景気回復に暗い影を落とした。
また、全国的に失業率が高く、COVID-19の規制が各地で緩和されつつあるにもかかわらず、雇用者は人材確保に苦労している。そのため求職者にインセンティブを提供する企業もある。
フロリダにあるマクドナルド(McDonalds)では、面接に来るだけで50ドルを提供するという取り組みを始めたが、それでも求職者を惹きつけるには十分ではなかったようだ。
特に外食産業は人材不足に悩まされている。タコベル(Taco Bell)は2021年4月に、数千人の従業員を確保しようと、およそ2000の店舗の駐車場で面接を行った。アイホップ(IHOP)は、5月19日に「全米就職説明会」を開催し、約1万人の人材を確保しようとしている。
人手不足の問題は、最低賃金の引き上げという大きなテーマにつながっていく。賃金引き上げを行った最新の事例が、約2万人の人材確保を目指すチポトレ(Chipotle)だ。同社は、アメリカ国内の店舗の従業員と店長の時給を11ドルから18ドルの範囲に引き上げるという。
Insiderが4月に報じたように、パンデミックから回復しつつある中、サービス業など労働集約型の仕事に従事する人は、最低賃金を少し上回る程度だと長時間労働をしたがらないことが分かった。
最近の世論調査によると、アメリカ人の大多数に当たる80%が最低賃金は低すぎると考えている。議員たちは「賃金引上げ法(the Raise Wage Act)」を通じて、連邦政府の最低賃金を時給7.25ドルから15ドルにしようとしており、成立すれば3000万人以上のアメリカ人の賃金が上がることになる。
[原文:Employers struggling to fill entry-level roles could soon turn to TikTok to recruit]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)