- パンデミックが始まって以来、"レンタル鶏"に興味を持つ家庭が増えた。
- イギリスでは鶏のレンタルに関する検索数が急増し、アメリカの養鶏会社は需要の急増に直面している。
- 鶏は卵を産むだけでなく、ふれあいや喜びを与えてくれる存在だと、レンタル業者は話している。
イギリスのケント州のある家庭の裏庭には、「マーサ」と「ミセス・アンダーバイト」という2羽の鶏がいる。彼らはパンデミックの間、飼い主であるクルックさん一家にとって、思いがけない喜びをもたらした。
毎朝、卵を見つけたり、娘のオリーブちゃん(3)が鶏を抱っこしているのを眺めたりと、一家はロックダウンの最中でも鶏たちと楽しく過ごしてきたと、父親のジェームズさんはInsiderに語った。
鶏に関心を寄せるようになったのは、ジェームズさんだけではない。
ペット可のアパートを貸しているエッセンシャル・リビング(Essential Living)の担当者は、2020年3月から2021年3月の間に、イギリスで"レンタル鶏"への関心が900%高まったとInsiderに語った。ナショナルジオグラフィックによると、アメリカでは、鶏のレンタル料を2倍にした企業もあるという。
レンタル業者によると、鶏は新鮮な卵を産むだけでなく、飼い主に笑顔をもたらし、コロナ禍で大いに必要とされていた気晴らしにもなっているという。
コロナ禍で急増したのは、犬や猫を家族に迎える人だけではなかった
オリーブちゃんは鶏が大好きになったと、ジェームズ・クルックさんはInsiderに語った。
Photo courtesy of James Crook
2020年3月以降、ロックダウンによって自宅で過ごす時間が増えると気付いた人々は、ワシントン・ポストが報じたように、こぞってペットを飼うようになった。
動物保護施設の中には、譲渡するペットがいなくなったり、引き取られる犬が急増したり、引き取り可能な子猫がいなくなったところもあったと、ワシントン・ポストは報じている。
この1年でペットを探す人が増え、アメリカ、カナダ、イギリスでは"鶏のレンタル"への関心も急上昇した。
一般的な鶏のレンタルは、鶏(2、3羽)と小屋、エサを提供するというものだ。長期的な契約を結ぶ前に、鶏の世話がどのようなものか試すこともできる。
ナショナルジオグラフィックによると、北米最大のレンタル鶏会社レント・ザ・チキン(Rent The Chicken)では、2020年に申し込みが急増したという。2021年も今のところ、順調なようだ。
イギリスのレンタル鶏会社ヘンパルズ(HenPals)の創業者アビー・ジョンソン(Abby Johnson)氏は、「パンデミックが起きた時ほど鶏の需要が高まったことはない」とInsiderに語った。
「鶏の飼育はとてもやりがいのある趣味で、今のような困難な状況では、そのメリットはさらに大きいでしょう。朝起きて鶏の世話をしていると、目的があることの素晴らしさや自然とのつながりを感じることができるんです」
鶏がもたらす卵、喜び、そして気晴らし
クルックさん一家は、自宅の庭でもっと楽しめることはないかと考えた結果、鶏を育てることにしたのだと、ジェームズさんはInsiderに語った。そして、本格的に飼う前にまずはヘンパルズから鶏を借りて様子を見てみることにした。
ヘンパルズは、コロナ禍で短期間の鶏の貸し出しを始めた企業の1つだ。卵を産む数羽の鶏と飼育用品を短期間 —— 通常は2、3カ月間 —— レンタルしている。
他のレンタル鶏会社と同様、ヘンパルズでも需要が供給を上回っていた。ジェームズさんは順番待ちリストに名を連ね、数カ月待ち、2020年4月にようやく「マーサ」と「ミセス・アンダーバイト」がやって来た。
一家は1カ月、レンタル鶏を試し、とても気に入ったので、2羽のレンタルをさらに数カ月延長した。
ジェームズさんは、鶏は一家にとって気晴らしであると同時に、教材でもあると話している。娘は食べ物がどこから来るのかを学び、家族は皆、笑う時間が増えたという。
他のペットと同じく、鶏の飼育にも責任が伴う。飼い主は鶏に健康的な食事、清潔な小屋、自由に動き回る時間を与えなければならない。夜には、外敵から守るために小屋に入れて鍵をかける必要がある。
「卵を集めたり、鶏の世話をしていると、とてものどかな気分になります」とジェームズさんは語った。
「鶏には、人の心を落ち着かせてくれる効果もあると思います」
(翻訳:仲田文子、編集:山口佳美)