マーク・キューバン
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- マーク・キューバンは、彼が所有するNBAのダラス・マーベリックスは引き続き暗号通貨によるチケットやグッズの購入を受け入れると述べた。金の採掘よりも環境に与える影響が少ないという理由からだ。
- これに先立って、テスラが環境問題を理由にビットコインによる支払いを停止すると発表していた。
- 暗号通貨ブームの今、その環境への影響について熱い議論が交わされている。
テスラ(Tesla)のイーロン・マスク(Elon Musk)CEOが、同社の車両販売におけるビットコインの受け入れを停止すると発表したことを受け、ビリオネアの投資家、マーク・キューバン(Mark Cuban)は5月12日(現地時間)のツイートで、暗号通貨は金よりも環境に優しい資産の保管方法であると主張した。
彼はまた、自身がオーナーを務めるNBAのダラス・マーベリックスが、チケットやグッズの販売において、ビットコイン、ドージコイン、イーサリアムによる支払いを引き続き受け付けると述べた。
「資産の保有のために金に代わるものを用いることが、環境保全に役立つと考えている。そして大きな銀行や(従来の)貨幣の利用を縮小することが、社会や環境にとっての利益となるだろう」
彼はさらに、金の保管やビットコインのマイニングが環境に与える影響に関する研究を紹介している。それらの研究は、金の採掘は環境コストが高いこと、ビットコインの採掘プロセスで使用されるエネルギーのほとんどは再生可能エネルギーであることを主張している。
ビリオネアの投資家であるキューバンは、暗号通貨を全面的に支持しており、投資や支払い方法、さらには子どもたちがお金について学ぶためのツールとして、暗号通貨の利用を推奨している。また、マーベリックスは2019年にチケットやグッズの支払いとして暗号通貨の受け入れを開始し、現在はビットコイン、イーサリアム、ドージコインによる支払いを受け入れている。
このツイートへのコメントで、マーベリックのグッズ購入に、実際にはどれだけ暗号通貨が利用されているのかを尋ねられたキューバンは、週に数千ドル分が使用され、その額は伸びていると答えた。
イーロン・マスクは同じく5月12日、キューバンのツイートに先立って、ビットコインのマイニングとその過程で大量に使用されるエネルギーに関連した環境問題への懸念から、テスラでの支払い手段としてビットコインの受け入れを中止することを発表していた。テスラは2021年2月に、ビットコインを支払い手段として受け入れることを発表し、15億ドル(約1600億円)相当のビットコインを購入していた。
ビットコインの環境への影響については、正反対の意見があり、暗号通貨支持者は「気候変動に悪影響を与えるという主張には根拠がない」と述べる一方、批判的な人は「取引のたびにエネルギーを必要とする危険性がある」と警告している。
2021年5月初め、環境への影響が正しく評価されるまでビットコインのマイニングを禁止することを求める法案が、ニューヨーク州の上院に提出された。2021年初頭に発表されたバンク・オブ・アメリカ(Bank of America)の調査で、暗号通貨はアメリカン航空(American Airlines)などの企業よりも多くのエネルギーを使用していることが明らかになっている。
5月12日のマスクのツイートを受け、テスラの株価は急落した。また、ビットコイン自体は、マスクのツイート後には一時的に4万8000ドルを下回った。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)