米ニュースサイトのアクシオス(Axios)と米調査会社ハリス・ポール(Harris Pole)は最新版の企業「評判」ランキングを発表した。上の画像では最下位チームを伏せてある。
2021 Axios Harris Poll 100
ニュースサイトのアクシオス(Axios)と世論調査会社ハリス・ポール(Harris Poll)は5月13日(現地時間)、アメリカ大手企業の「評判」ランキングを発表した。
大手企業を7つの指標に従って採点して100社までランクづけするもので、2021年は4月8〜21日にアメリカ在住の4万2935人を対象に調査を行った。
調査では、「グループ1」の回答者がアメリカで最高もしくは最悪の評判を得ていると考えるブランドをリストアップ、「グループ2」の回答者がそれらのブランドを7つの指標に基づいてランクづけした。
最高の評判とされたのは、31ランクアップでトップに駆け上がったアウトドアブランドのパタゴニア(Patagonia)だった。
新型コロナワクチンの開発に成功したバイオ製薬のモデルナ(Moderna)がランキング外から3位に、同じくワクチン開発(独バイオンテックとの共同開発)に成功し、アメリカ当局から最初に緊急使用許可を受けた製薬大手ファイザーも一気に54ランクアップで7位に入った。
2020年に何かと話題を呼んだイーロン・マスク氏設立の2社、宇宙開発のスペースX(エックス)と電気自動車大手のテスラがいずれも躍進。それぞれ5位と8位にランクインした。
日本の自動車大手、本田技研工業の北米法人であるホンダモーターカンパニーが14ランクアップで2位を獲得した。
それでは、以下で100社における「最低の評判」の烙印を押された10社を見ていこう。
【ワースト10位】マイピロー(My Pillow)
melissamn / Shutterstock
米ミネソタ州に本拠を置く枕メーカー。最高経営責任者(CEO)のマイク・リンデルはトランプ前大統領の熱心な支持者として知られる。
2020年11月の大統領選挙後には、さまざまな不正が行われたとの陰謀論的な主張をソーシャルメディアなどで展開。2021年1月にはトランプ前大統領と同じように、ツイッターからアカウントの永久凍結措置を受けている。
採点:66.0(ランキング圏外からワースト10にランクイン)
【ワースト9位】コムキャスト(Comcast)
Sundry Photography / Shutterstock
近年、ワーストランキングの常連になってしまったメディア大手。メディア・エンターテインメント大手のNBCユニバーサルは子会社。
採点:65.8(1ランクアップ)
【ワースト8位】ツイッター(Twitter)
REUTERS/Dado Ruvic
芸能人や政治家のアカウント炎上やトレンドワードなど、毎日のように巷間の話題を提供してくれるツイッターは、いまや人類の最重要情報インフラの1つになっている。しかし、存外にその評判は良くない。2021年は2ランクアップだが、コムキャスト同様、ワースト10の常連だ。
採点:63.4(2ランクアップ)
【ワースト7位】ティックトック(TikTok)
DANIEL CONSTANTE/Shutterstock.com
ワースト8位のツイッターと並んで、すでに若い世代にとって不可欠のコミュニケーションインフラとなったショート動画共有アプリ「ティックトック(TikTok)」。
トランプ前大統領は、この中国発のアプリを通じて個人情報が収集されることで国家安全保障上のリスクをもたらすとして取引禁止令を出すなど、「アメリカの敵」として扱った。
同社は2021年に初のランクイン、ワースト10入りという不名誉な結果となったものの、すでにアメリカでは若い世代の心をつかみたい企業にとって必須の顧客獲得ツールとなっており、バイデン政権下の来年ランキングではもしかしたらトップ10入りといった大逆転もあるかもしれない。
採点:63.0(ランキング圏外からワースト10にランクイン)
【ワースト6位】ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo & Company)
Noah Sauve / Shutterstock
JPモルガン・チェース、シティグループと並ぶアメリカの銀行最大手3社のなかで、唯一ワースト10にランクイン。今回が初めてではなく、コムキャストやツイッターと並ぶ「悪評判」の常連だ。
2016年、顧客の承諾なしで口座を勝手に開設したり、クレジットカードを発行したり、数々の不正営業が発覚。2020年には、米司法省と米証券取引委員会(SEC)から30億ドル(約3200億円)の制裁金を課された。
さらに2021年5月、当座預金口座の運用について、米消費者金融保護局(CFPB)の調査を受けていることが明らかになっている。
採点:63.0(1ランクアップ)
【ワースト5位】シアーズ(Sears Holdings Corporation)
Retail Photographer / Shutterstock
2018年10月に連邦破産法11条の適用を申請して経営破綻した小売り大手シアーズ・ホールディングス。傘下の百貨店「シアーズ」とディスカウントストア「Kマート」はランパート元会長の運営するファンド(トランスフォームコ)が52億ドルで(破産裁判所の入札を通じ)買収。閉店や事業売却を続けながら一部営業を継続している。
採点:61.2(ランキング圏外からワースト10にランクイン)
【ワースト4位】ウィッシュ・ドットコム(Wish.com)
Sharaf Maksumov / Shutterstock
「激安ネット通販」で知られるウィッシュ。運営するコンテクストロジック(ContextLogic)は2020年末に米ナスダック市場に上場している。
ビジネスモデルの本質は、同社が本拠(カリフォルニア州サンフランシスコ)を置くアメリカの購買者と、中国の(比較的廉価な商品を販売する)出店者をつなぐプラットフォームを提供すること。米中両国にまたがる楽天のような存在だ。
その評価をネット検索してみると、ほぼ「安すぎて怪しい」と「激安はやっぱり魅力」に二分される。初登場でワースト4位となったが、信頼と実績の構築次第で、今後のランキングは変わってくるのかもしれない。
採点:60.7(ランキング圏外からワースト10にランクイン)
【ワースト3位】フェイスブック(Facebook)
フェイスブック(Facebook)最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ。
REUTERS/Erin Scott
2018年に発覚した「ケンブリッジ・アナリティカ事件」(=フェイスブックの個人データ不正利用疑惑)に始まり、プライバシー関連の疑惑やデジタル広告市場の独占に関して逆風が続くフェイスブック。
2020年下半期には、米連邦取引委員会(FTC)と全米48州・地域が同社に対し、反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで提訴。傘下の画像共有アプリ「インスタグラム(Instagram)」とメッセージングアプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」を事業売却するよう迫っている。
なお、同じく反トラスト法で米司法省から提訴(2020年10月)されたグーグルはワースト10には含まれていない。
採点:60.0(1ランクダウン)
【ワースト2位】フォックス・コーポレーション(Fox Corporation)
Anton Garin / Shutterstock
保守系として知られる大手テレビ局FOX(フォックス)ニュースの運営元。「メディア王」ルパート・マードック氏が率いる。2020年のケーブルテレビ視聴率では5年連続首位を獲得、ケーブルチャンネルとして過去最高の視聴率を叩き出した(米調査会社ニールセン調べ)。
トランプ前大統領に好意的な報道を続け、米テックカルチャーメディア・WIRED(ワイアード)から「FOXニュースは虚偽を助長し、国家安全保障上の脅威となっている」と名指しで批判されるなど、視聴率の高さと表裏一体で、そのスタンスは批判の集中砲火を浴びてきた。
ただし、トランプ前大統領の敗北後に視聴率は急落。政治担当を中心に大幅な人事刷新が行われるなど、今後どういったスタンスで運営がなされるのか、先行きが見通せなくなっている。
採点:59.2(5ランクダウン)
【ワースト1位】トランプ・オーガニゼーション(The Trump Organization)
2021年1月6日、自らの支持者に対し連邦議会議事堂に向かうよう促したトランプ前大統領。
Jim Bourg/Reuters
言わずとしれたトランプ前大統領率いる同一族のコングロマリット。富裕層向け不動産(ホテル・タワーマンション・ゴルフ場など)投資開発が事業の主体。
トランプ政権の退場後、ニューヨーク州のジェームズ司法長官のもとで捜査が続けられている。前年からランクを1つ下げて、ついに最下位にたどり着いた。
採点:56.9(1ランクダウン)
(文・訳責:川村力)