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就活マナーに潜む性差別への抗議、賛同は約30社中1社。「いじめないで」と署名受け取り拒否のスーツ会社も

就活マナーに潜む性差別の根絶を目指す署名運動に、1万5300人超の賛同が集まっている。

一方、署名立ち上げグループはこれまで性差別的な就活指南をする企業に抗議文を送ったり、SDGsを掲げる企業などに賛同を求めてきたが、その反応は芳しくない。中には「いじめないで欲しい」と署名受け取りを拒否するスーツメーカーもあったという。

50冊以上の就活本やサイトをチェック

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就活セクシズムの根絶を求めて、署名を行っているメンバー。

出典:5月17日の会見より

就活関連企業や大学などに対し、極端に男女二元化していたり、男性に強さを、女性には美しさを求めるような偏った表現を見直し、就活指南から性差別やジェンダーによる抑圧を撤廃することを目指す署名「#就活セクシズム をやめて就職活動のスタイルに多様性を保証してください!」を立ち上げた「SSS(スマッシュ就活セクシズム)」メンバーがこのほど、記者会見を開いた。

署名の詳細や立ち上げの経緯などは、過去の報道「就活断念した元就活生ら、リクルートやAOKIに抗議の署名開始。女子学生に「美しさ」求める謎マナーの背景は」を参照して欲しい。

メンバーがこれまでにチェックした就活指南本は50冊以上。さらにウエブサイトも加えて、ジェンダー表現に問題があると思うものに関して、出版・掲載している企業に抗議文や質問状を送ってきた。

女子就活生の理想は「息子の嫁」タイプ?

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これまでに多くの就活指南本やパンフレット、webサイトなどをチェックし、抗議文や質問状を送ってきたという。

提供:SSS(スマッシュ就活セクシズム)

「女性は『自分の息子の嫁』タイプがベスト」という性差別的表現を繰り返し、「優先的に採用したいと思うのは(中略)応援団でパワハラを経験した『ストレス耐性』がある人」などパワーハラスメントを肯定するような表現があったのは、 『内定者が本当にやった究極の自己分析'22年版』(阪東恭一著) だ。

SSSの抗議及び質問に対し、出版元である成美堂出版からは「弊社はあらゆる差別やハラスメントを肯定しておりません。この度のご指摘は、貴重なご意見として参考とさせていただきます」と回答があったという。

また「ノーメイクはNGだと思った方がよい。採用担当者が『この人は当社に興味がないのか』と思ってしまう」との記載があった『就活のやり方[いつ・何を・どう?]ぜんぶ!22年度版』を刊行した実務教育出版は、SSSの主張に賛意を示した上で、2021 年5月に刊行予定の同書の2023 年度版について「入稿期限が差し迫っている都合上、可能な範囲での修正にはなりますが、早速著作者とご提案内容を検討します」と前向きな返答があったそうだ。

一方で、女性向けに「パンプスは必須」「ヒールは5.5cm」と、ヒール・パンプスのみが紹介されていたのは『non-no』 2021年1月号(集英社)掲載の「美シルエットスーツで就活も入学式も成功!」という洋服の青山とのタイアップ記事だ。

他にも女性にウエストのくびれを重視したスーツ選びを促すなどの表現が見られたため、SSSはnon-no編集部と青山商事に抗議したが、前者は回答なし、後者は「回答は控える」とのことだったという。

新卒採用企業にも賛同呼びかけ、結果は……

就活

USEN-NEXTホールディングスの新卒採用HP。エントリーに必要な情報は名前、生年月日、メールアドレスの3つのみ。履歴書の提出も不要という。

出典:USEN-NEXTホールディングスHP

また新卒採用を行なっている企業に対しても、要望書を提出してきた。署名発起人であり、就活セクシズムによって就活自体を断念した水野優望(ゆみ)さんは言う。水野さんは身体女性だが、自身を女性にも男性にも当てはまらないと考えるXジェンダーとして、この問題に苦しんできた。

「就活セクシズムの問題は就活関連企業だけが指南を改めればいいのではなく、採用する事業者も一緒になって解決していかないといけない問題だと考えています」

具体的には、以下のようなことを声明を出すなどして公にするよう求めている。

・就活生のジェンダー・アイデンティティを尊重すること

・性差別的な規範を押し付けない選考を行うこと

・志望者のジェンダー表現によって選考上差別をしないこと

要望書を送ったのは、アクセンチュア、資生堂、ソフトバンク、丸井グループ、日本航空、佐川急便、JTBなど、SDGsやジェンダー平等を掲げていたり、東京レインボープライドに賛同していたりする約30社。しかしいずれも返答や声明発表などのリアクションは見られなかったそうだ。

ちなみに署名開始以降、会社の公式見解として賛意を示したのは、USEN-NEXTホールディングス1社だという。

署名受け取り拒否するスーツ大手も。「ニーズ」作るのは誰か

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オンライン面接でも、ファンデーションの塗り方や「ニキビはコンシーラーで消した方が印象アップ」などの指南が。

出典:洋服の青山webサイト:マイナビ未来応援「オンライン面接での好印象の与え方」

署名は5月23日で一旦締め切り、印刷して就活関連企業や大学などに郵送する予定で、現在はそのアポイントメントの調整中だという。

スーツ大手のAOKIは郵送で署名を提出したのち、オンライン面談の承諾済み。リクルートキャリア、マイナビ、大学生協事業連合は郵送にて署名提出の承諾済み。

一方で、スーツ大手のはるやまホールディングスは回答待ちで、「返事がなかった場合はご縁がなかったものと考えてください」と言われている。同様に衣料品の青山商事も署名提出窓口をたずねたところ案内できないと言われ、手詰まりの状況だという。

すでに署名受け取り拒否を表明しているのがコナカだ。「価値観を提供しているのは採用企業。我々はお客様の価値観についてとやかく申し上げる立場ではなく、ニーズがあるので提供しているだけ。いじめないでいただきたい。コロナ禍でスーツのニーズも減っており、我々自身も困っている立ち場。そっとしておいて欲しい」と同社総務部に言われたそうだ。

前出の水野さんは言う。

「これから署名提出に向けて動いていきますが、抗議文や要望書への回答を見る限り、真摯に受け止めて改善してくれる事業者は少ないのが現実です。

署名提出先の事業者には、就活セクシズムによって就職という選択肢自体を奪われている人がいることを知って欲しい。ジェンダー規範で就活生を脅迫するのではなく、背中を押すような指南をして欲しいです」(水野さん)

性差別的なマナーを「ニーズ」に変えているのは、一体誰なのか。就活関連企業や大学などの教育機関のみならず、採用を行う企業も含めて、社会全体で考えていく必要がありそうだ。

(文・竹下郁子


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