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- ウォルマートはグローバル展開を推進してきたが、最近になって方針を転換している。
- 同社はアルゼンチン、日本、イギリスで事業売却を行った。
- 一方、カナダ、中国、インド、メキシコは、世界進出の最前線となっている。
米ウォルマート(Walmart)の国際事業子会社、ウォルマート・インターナショナル(Walmart International)はこの数カ月、いくつかの大陸で動きを見せている。2021年5月18日に行われた同社の決算説明会で、経営陣はイギリス、日本、アルゼンチンにおける戦略的な事業売却について投資家に説明した。
親会社のCEOも兼務する同社のダグ・マクミロン(Doug McMillon)CEOは、「我々国際事業チームはポートフォリオを成長性の高い市場に移行させるために忙しく働いており、その結果も出ている」と話した。
これは同社が収益性の低い市場から脱却し、世界各地の有望なベンチャー企業への投資を倍増させていることを意味している。2020年11月、ウォルマート・アルゼンチン(Walmart Argentina)は、アルゼンチン、エクアドル、ウルグアイで小売業を営むナルバエス・グループ(Grupo de Narváez)に買収された。またイギリスでは2021年2月にウォルマートの100%子会社である小売チェーン、アズダ(Asda)の売却を完了した。
ウォルマートは一部の国では、完全に撤退するのではなく、地元企業とパートナーシップを重視する戦略も取っている。例えば、2020年には、日本のスーパーマーケットである西友の株式の大半を、国際的な投資会社KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)と楽天に売却した。ウォルマートは現在も楽天との提携を続けており、ネットスーパーを共同で運営している。
ウォルマート・インターナショナルの当四半期の売上高は、事業分離によって前年同期比11%減少したものの、事業分離を差し引いた売上は5.1%の増加となった。マクミロンCEOはこの売上高に関して「良い結果だ」と話している。
ウォルマートの最高財務責任者(CFO)、ブレット・ビッグス(Brett Biggs)は、「高成長市場に焦点を当てた戦略的なポートフォリオ再編の効果が、売上の成長に現れてきている。eコマースの売上高は約64%増加、普及率は570ベーシスポイント以上増加し、売上高の約16%に達した」と述べた。
ウォルマートの経営陣は、国際的に見ても「新型コロナウイルスの影響により、多くの市場で今四半期末までにマイナスの影響を受けたにもかかわらず、インド、カナダ、中国では強さを見せている」と話している。
同社は今回の決算説明会で、カナダ、中国、インド、メキシコなどの国際市場を積極的に取り上げた。ウォルマートは現在、インドの電子商取引大手のフリップカート(Flipkart)とデジタル決済企業のPhonePeに多額の出資をしている。またメキシコでの「好調な売り上げ」もアピールし、WalMexではeコマースの売上が166%と急増したとしている。カナダでは新型コロナウイルスのためのロックダウン措置が取られているにもかかわらず、よい結果が出ているとマクミロンは話している。
またマクミロンCEOは、「中国では春節に助けられたことで売上高が2桁成長しただけでなく、eコマースと会員制スーパーマーケットのサムズ・クラブ(Sam's Club)の業績も好調である」と話した。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)