楽天グループの三木谷浩史会長(左)。共同記者会見にはオンラインで参加。
オンライン記者会見のようすをキャプチャ
楽天グループは、Jリーグ・ヴィッセル神戸の本拠地として使用しているノエビアスタジアム神戸を、神戸市で実施する新型コロナウイルスに対するワクチンの大規模接種会場として提供する。5月21日の神戸市などとの共同記者会見で発表した。
共同会見に名を連ねたのは、神戸市、神戸大学、楽天グループ、東京慈恵会医科大学外科学講座、SBCメディカルなど、楽天を含む8つの自治体・企業・組織。
オンラインで会見に参加した楽天グループの三木谷浩史会長は、
「コロナを乗り越えないと日本経済の復活というのは難しいと思っていますので、いち経済人ではございますが、楽天グループの総力を挙げて今回のプロジェクトに協力したいと思っています」
とワクチン接種の加速に向けた意思決定を語った。
大規模接種の実施に伴い、楽天グループはスタジアムの提供、オペレーションや事務を担当するスタッフの派遣とともに、医療機関や医療従事者との連携・調整を担当する。
取り組みにあたっては、神戸市、神戸大学、東京慈恵会医科大学外科学講座、SBCメディカルから医師などの専門家が派遣される予定。また、神戸大学からは、サポートスタッフとして医学部生の派遣も実施する方針だ。
神戸大学医学部附属病院の眞庭謙昌院長は、医学部生の協力について「医師ではないため、どの範囲までサポートが可能なのか、文部科学省に確認しているところ」と語った。
出典:楽天
神戸市の久元喜造市長によると、ノエビアスタジアムでの大規模接種は、まず1日あたり1000回からスタートさせて、段階的に1日5000回の接種を目指すという。また、将来的にはさらにその規模を拡大していくとしている。
予約は5月22日(土)からスタートし、5月31日(月)から接種を開始する計画だ。高齢者への接種が終了した後も、若年層に向けた接種会場として提供を続ける計画だ。
なお、Jリーグの試合が開催される際にも、導線を変えて接種は実施される予定。
人件費などのコストについて、三木谷会長は、
「今回は社会貢献プロジェクトですので、できるだけのことはさせていただきたい。従事していただく医療従事者には正当な対価を神戸市からいただくということになります。楽天グループとしては、基本的にはボランティアで参加させていただきたい」
と語った。
兵庫県の人口は約540万人。このうち神戸市は約150万人と兵庫県全体の25%強を占めており、感染が拡大する中心地となっていた。
兵庫は、東京、大阪とともに4月25日から緊急事態宣言の対象地域として指定されている。
5月に入り日々確認される陽性者数は減少傾向になってはいるものの、直近1週間の感染者数は500人を超えている。5月19日の段階で10万人あたりの感染者数は約34人(東京は約37人)。
(文・三ツ村崇志)