フォード・F-150ライトニング
Ford
- 米フォードは5月19日、ピックアップトラック「F-150」の電気自動車(EV)モデルを発表した。
- 「F-150ライトニング」のエントリーモデルは4万ドル(約435万円)以下だが、上位モデルを選び、オプションの大容量バッテリーを搭載すると9万ドル(約980万円)近くになる。
- 「F-150ライトニング」は、2022年春に発売予定。
長年にわたる憶測と期待を経て、米フォード(Ford)は2021年5月19日、電動ピックアップトラック「F-150ライトニング(F-150 Lightning)」を発表した。
アメリカで最も愛されているトラック、F-150の電気自動車(EV)版は、ガソリンエンジンモデルに比べて性能や機能が向上しているが、価格は同等だ。発売は2022年半ばの予定で、希望小売価格は3万9974ドル(約435万円)から。100ドル(約1万1000円)の手付金を支払えば予約できる。
フォード・F-150ライトニング
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ただし、約4万ドル弱で買えるのは商用版で、「XLT」と呼ばれる最も安いコンシューマーモデルは5万2974ドル(約577万円)からとなっている。より大きなバッテリーを搭載し、「プラチナ(Platinum)」「ラリアット(Lariat)」などの上級モデルを選ぶと、価格は9万ドル(約980万円)近くになる。
現行モデルよりもパワフルなF-150ライトニングは、オプションの大型バッテリーを搭載した状態で、563馬力と775lb-ft(約1050Nm)のトルクを発生する。さらに、最大4.5トンを牽引でき、時速60マイル(約96km/h)までの加速は4秒台。また、すべてのモデルがデュアルモーターを搭載した4輪駆動だ。
フォード・F-150ライトニング
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フォードによると、ベースモデルの航続距離はEPA(アメリカ環境保護庁)基準で230マイル(約370km)、大型バッテリーを搭載した場合は300マイル(約482km)の走行が可能だ。重いトレーラーを牽引したり、荷物を載せることを考慮すると、この数字は大幅に減少するが、実用性よりもスタイルを重視してこのトラックを購入する消費者にとってはあまり重要ではないだろう。
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ただし、フォードは消費者の懸念を理解しており、天候、トレーラーの重量、荷物の積載量などから航続可能距離をリアルタイムでドライバーに知らせる距離計算機を開発した。F-150ライトニングは急速充電ステーションに接続した場合は、バッテリーを15%から80%まで、41〜44分で充電することができるという。
フォード・F-150ライトニング
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フォードは、F-150ライトニングのデザインを、内外装ともにガソリン車モデルとほぼ同じにすることで「異なってはいるが、違うものではない」ことを追求した。外観上の最も顕著な違いはフロントグリルとLEDライトバーだ。
F-150ライトニングは、2020年6月にデビューした14代目と同じキャビンを使用しているため、折り畳み式の作業台やフルリクライニング・シートなど、クールなオプションも共有している。そしてF-150ライトニングにはさらにユニークな特徴がある。
フォード・F-150ライトニング
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例えば、テレビやキャンプ用品、工具などに使用する電源は、荷台や車内に設置された11個のコンセントからとることができ、停電時に住居に電力を供給する機能もオプションで用意されている。また業界最大の大きさを誇るフロントトランクは、荷台やキャビンに入り切らない荷物を収納するスペースになる。
フォード・F-150ライトニング
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EVに搭載される液晶パネルの大型化が進む中、F-15ライトニングにも15.5インチのタッチスクリーンが搭載される。そのほか、360度カメラ、ナビゲーション、Apple CarPlayやAndroid Autoなど、多くの最新技術が標準装備されている。
フォード・F-150ライトニング
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一部の高速道路でハンズフリー走行できる運転支援システム「BlueCruise」は、上級モデルのラリアットにオプションで追加でき、プラチナには標準装備されている。
フォードは、ミシガン州ディアボーンに新設したRouge Electric Vehicle Centerでこのトラックを製造する。これは、フォードが2025年までに290億ドル(約3兆1524億円)を投じて電気自動車および自律走行車を開発する中で、まず最初に電気自動車へと移行するための重要なステップだ。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)