事業創造コミュニティの聖地・SAAIが、有楽町からアントレプレナー育成を目指す理由

大手町や丸の内などのオフィス街、銀座や日比谷といった商業・文化エリアに隣接し、ビジネスとカルチャーが混じり合いながら独自の発展を遂げてきた街・有楽町。そんな有楽町に、会員制ワーキングコミュニティ「SAAI Wonder Working Community」(以下、SAAI)がオープンし、1年以上が経過した。

SAAIの特徴は、多様な個性やバックグラウンドを持つ人材が集まり互いに刺激を与え合うことで、新しいアイデアが生まれることを目指すコミュニティであることだ。コロナ禍の直撃というアクシデントを乗り越え、現在は個人事業主やイントレプレナー(社内起業家)、イントレプレナー候補者などを中心に、約270名が新たなアイデアをカタチにするべく切磋琢磨している。

SAAIが生まれた背景、会員同士の交流を促進するための仕組み、目指すビジョンなどを、SAAIの企画・運営を共同で行なう三菱地所ゼロワンブースターの担当者に聞いた。

進む有楽町の再構築。コンセプトは“街の輝きは人がつくる”

Bar 変態

右:三菱地所 プロジェクト開発部 有楽町街づくり推進室 マネージャー 牧 亮平(まき・りょうへい)氏/左:ゼロワンブースター コミュニティディレクター ブランスクム 文葉(ぶらんすくむ・ふみは)氏。

2020年2月の開業直後にコロナ禍による一時閉鎖というアクシデントがありながらも、会員数が順調に増加しているSAAI。その誕生の背景には、三菱地所が2019年12月から始動させた有楽町エリアの再構築に向けた先導プロジェクト「Micro STARs Dev.」(マイクロスターズディベロップメント)があるのだという。SAAIの企画を担当した三菱地所の牧 亮平氏はその位置付けについて、次のように話す。

「有楽町はビジネス、商業、カルチャーなどの多様な要素が結節する立地にあり、大きなポテンシャルを秘めています。三菱地所がこの街を再構築するにあたって核に据えたのは、“街の輝きは人がつくる”というコンセプトでした。Micro STARs Dev.は、有楽町という街を舞台に、次世代を作るスターを産んでいこうというプロジェクト。SAAIはその活動拠点のひとつで、アイデアが生まれ、カタチになる場所という位置付けです」(牧氏)

牧亮平氏

SAAIの狙いは、意志や熱量を持った多様な個人が集い、交流し、刺激を与え合うことで、新たなアイデアを生み出したりブラッシュアップしたりできるコミュニティとなること。このアイデアはさらに磨かれ、いずれは新たな商品やサービスとなって社会に実装されていくことが期待されている。

「Micro STARs Dev.には、各界で活躍する外部人材18名がプロデューサーとして参画しており、SAAIの会員はイベントに参加するなどして彼らと接点を持つことができます。また、資金調達やテストマーケティング、大手町・丸の内・有楽町エリアの大企業との連携などの面では、三菱地所が可能な限りバックアップします。事業化に至るまでのあらゆる局面で手厚い支援が受けられることも、SAAIの特長となっています」(牧氏)

事業創造のプロが会員同士の交流や事業化への道のりをサポート

SAAI内観

SAAIの運営は、事業創造の分野で多くの支援実績を持つゼロワンブースターが担当している。同社は本社機能をSAAIに移転しているため、SAAI内には複数の社員がコミュニティチームのメンバーとして常駐。会員はいつでも話しかけて、気軽に相談できる運営ルールとなっている。

「SAAIの会員は誰もが、何か新しいことを始めたい、やりたいことをやり続けたいという確固たる意志や熱量を持った人たち。彼らに伴走し、事業計画の立て方から資金調達、人事戦略、法務や知財戦略のアドバイスまで、それぞれのステージに合わせた支援を行なえるのがゼロワンブースターの強みです。また、私たちはコーポレートアクセラレータープログラムの支援も多く手がけているので、大手企業との橋渡しも可能です」(ブランスクム氏)

こう話すのは、SAAIのコミュニティディレクターを務めるゼロワンブースターのブランスクム 文葉氏。普段からSAAIで自身の仕事をこなしつつ、会員同士がお互いのことを知り、積極的にコミュニケーションをとれるような雰囲気作りに気を配っている。

ブランスクム氏

「コミュニティは『作る』ものではなく『できる』ものだと思っていますが、運営側からの手助けもしています。例えば、コミュニティチームのメンバーが新規会員を連れ回して、既存会員たちとの名刺交換の場を設定する“練り歩き”もそのひとつ。会員は誰もが、SAAIが単なるコワーキングスペースではなく、交流や対話を重視するコミュニティだと承知しているので、話しかけられて作業が中断してもイヤな顔をする人はいませんね」(ブランスクム氏)

SAAIアプリ

会員専用の「SAAIアプリ」も、会員同士の交流を促すツールのひとつだ。SNSのようなタイムライン形式の投稿機能を備えるほか、2名以上の会員が集まってアイデアをカタチにしていく仕組みである「スタジオ」をアプリから立ち上げることもできる。また、SAAIで開催されるイベント情報の確認や会議室の予約も可能だ。

オンラインが得意なことと、リアルな場だからこそ伝わるもの

Bar 変態

提供:SAAI

属性や価値観、感性が異なる個人が出会い、新たな関係性やアイデアを生んでいくSAAIを象徴するようなスペースが「Bar変態」だ。その名の通り、会員専用のバーカウンターで、専属スタッフではなく、公募で選ばれた「チーママ」「チーパパ」と呼ばれるコミュニティマネージャーが運営している。

「Bar変態では、大企業で新規事業開発をしている方やスタートアップ、クリエイターなど、年齢も業種も肩書きも異なる人たちが雑談をしながら自然に交流を深めていけるような、本当に理想的なコミュニケーションが生まれています。変態というネーミングは、ドイツ語の“Metamorphose”(メタモルフォーゼ:“変化”や“変身”、生物学でいう“変態”の意)から名付けました。SAAIの会員がこの場でさまざまな人と交わることで、意志や熱量を保って前進し続ける人に“変態”してほしいという思いが込められています」(ブランスクム氏)

ただ、コロナ禍の現在、Bar変態は一時閉鎖を余儀なくされている。SAAI自体は感染症対策を施した上で営業を続けているが、多くの人が集まる大規模イベントなどもリアルの場での開催は難しくなっており、オンラインへの切り替えなどの対応をしている。

「これまでリアルの場で当たり前にできていたことができなくなるというのは、確かに大変です。ただ、例えば、通常のミーティングはオンラインが便利だけれど、個人の熱量を伝えるような場は絶対にリアルが向いています。現在は、オンラインが得意な部分とリアルが得意な部分でうまくバランスを取っていく段階なのかなと感じています」(牧氏)

SAAIで人生を変えて、有楽町から世界へ羽ばたいてほしい

SAAI内観

提供:SAAI

さて、開業から1年以上が経過し、現在は「大きな船を組み上げるためのパーツが揃ってきた状態」(牧氏)だというSAAI。次なるステップとして、2021年6月24日にオンライン開催されるイベント「01 Community Conference」が控えている。SAAIだけでなく、他のインキュベーション施設も巻き込み、さらには国や地方自治体、民間企業、研究機関などとの広範囲な連携を図って開催されるのが特徴だ。

「私たちが目指すのは、事業創造コミュニティのエコシステムを日本全体で構築すること。それから、起業や新規事業開発をしたい人にとって、コミュニティが活用できることも知らせていきたいです。イベントは、どうしてもセミナー形式の部分が多くなるのですが、それだけでは終わらせたくないという思いもあります。やっぱりコミュニティは人と人とのつながりですので、交流会やミートアップなど、イベント後の継続的な働きかけもしていくつもりです」(ブランスクム氏)

最後に、SAAIのこれからについて「ワクワクしかない」と口を揃える2人に、今後の抱負を聞いた。

牧氏とブランスクム氏

「SAAIという場をなるべく多くの人に知ってもらって、『ここに来て人生が変わった!』という経験をする人が増えたらいいな、と。そして、事業創造コミュニティといえばSAAIだと真っ先に想起される存在に育てていきたいです」(ブランスクム氏)

「SAAIの発展はもちろんのこと、有楽町をチャレンジする人にとっていちばん優しい街、いちばん可能性があふれる街にしたいです。その上で、SAAIでアイデアを育てた人が、有楽町を飛び出して日本全国、世界へ羽ばたいてほしいと思っています」(牧氏)


SAAIについての詳細はこちら

01 Community Conferenceについての詳細はこちら

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