ミレニアル世代の富裕層は、パンデミックによって、財産について考え方を変えたようだ。
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- ボストン・プライベートの報告書によると、ミレニアル世代の富裕層は、パンデミックによって財産に対する考え方を変えている。
- 彼らは財産を成功や幸福と結びつけて考えているが、団塊の世代は自立のためのものと考えている。
- ミレニアル世代には、パンデミックによって資産の使い方が変わったと言う人が多い。
ミレニアル世代の富裕層にとって、財産にかつてのような意味はもうない。
プライベートバンクのボストン・プライベート(Boston Private)の最新調査で、パンデミックによって富裕層はライフスタイルを変え、優先順位を見直し、その過程で財産に対する認識が変わっていることがわかった。「Why of Wealth」と題されたこの調査報告書は、100万ドル以上の資産を所有する富裕層を調査対象にしている。
2021年に25歳から40歳を迎えるミレニアル世代は、財産に対する考え方を最も大きく変えた世代だ。4分の3以上(89%)が、パンデミックによって富の定義が変わったと答えた。また、この世代は、パンデミックによって財産の優先順位やそれに対する感情が変わったと答えた人が最も多く、それぞれの項目を85%の人が肯定している。
X世代(1965年から79年頃生まれ)やZ世代(1990年代半ばから2000年代前半生まれ)も同様に感じており、それぞれ4分の3以上が同じ気持ちの変化を認めている。だが、団塊の世代(ベビーブーマー:1945年から64年頃生まれ)や沈黙の世代(1928年から44年頃生まれ)では、明確な違いが見られた。これら2つの世代で、パンデミックによって財産に対する考えが変わったと答えた人は4分の1以下(24%)だった。この報告書ではこれは年齢が起因することだと述べている。彼らは重要なライフイベントをすでに経験し、ある一定の考えに落ち着いているからだ。
多くのミレニアル世代(X世代も同様)は、財産を成功や幸福と結びつけて考えるが、団塊の世代と沈黙の世代は、心の安らぎや自立と見なす傾向が強い。「若い世代にとって、財産は快適で幸せな人生を築くために重要な要素であり、重要な目標に達成すること、家族との幸せな生活を送ること、コミュニティや社会に貢献することに直結している」と、報告書では述べている。
報告書によると、年配の世代は現在の生活を楽しむために自分の富を利用できていると考える人は少ない。一方、若い世代は彼らが考えている以上に人生を楽しむために自分の財産を使っているという。
財産に対するこの考え方の違いは、ミレニアル世代の財産への目標にも影響している。パンデミックによって財産の使い方が変わったと答えた人は、ミレニアル世代では78%だったが、団塊の世代と沈黙の世代はわずか26%だった。
アメリカの2020年第4四半期の家計金融資産が、同年第3四半期より5.6%増の史上最高額となったように、パンデミック期間を通じて貯蓄額は増加している。裕福なミレニアル世代は月3000ドルを貯蓄しており、豊かなアメリカ人の多くは現金を貯えることができた。その結果、老後資金を増やした人や、フィナンシャルプランを見直した人などがいる。
だが、富に対する考えや目標の変化が一時的なことなのか、それとも恒久的なことかは、まだわからない。
[原文:The pandemic changed everything about how affluent millennials view wealth]
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)