- オランダでは先日、一組のカップルが広さ1012平方フィート(約94平方メートル)の3Dプリンターで作ったコンクリート製の家に引っ越した。
- これは世界初の3Dプリンターで作るコンクリート製の「商業用住宅プロジェクト」の一環として建てられる、5軒の家のうちの1軒だ。
- メーカーによると、コンクリート製の3Dプリンターで作る家は、住宅危機と住宅不足を緩和する助けになるという。
4月30日、一組のオランダ人カップルが3Dプリンターで作ったコンクリート製の家を"自宅"と呼び始めた。
この家はオランダのアイントホーフェンにある。
この家は、アイントホーフェン工科大学や自治体、業界の専門家、建築家、複数の民間企業が共同で進める「プロジェクト・マイルストーン」によって、3Dプリンターを使って建てられる5軒の家のうちの最初の1軒だ。
メーカーによると、プロジェクト・マイルストーンは世界初の3Dプリンターで作るコンクリート製の「商業用住宅プロジェクト」だ。
Source: 3D Printed House
家は1軒ずつ建てていく。そうすることで、メーカーは出来上がった家を建てる過程で学んだことを次の家に活かすことができる。1軒目より2軒目、2軒目より3軒目と、家はどんどん複雑な作りになっていく。
近年、住宅危機が悪化している。アメリカでは特に、だ。
Source: Insider
メーカーによると、悪化し続ける住宅危機を緩和するために、プロジェクトチームはこの"3Dプリンターで作るコンクリート製の家"を持続可能な住宅建設の方法にしたいと願っている。
Source: 3D Printed House
3Dプリンターを使って家を建てるプロセスはしばしば、伝統的な建設方法よりもスピーディーかつサステナブルだと考えられている。
Source: Insider
プロジェクト・マイルストーンで使われているような精密なプリンターは、伝統的な建設方法に比べて、使用するコンクリートの量も少ないからだ。
そして、3Dプリンターを使えば、よりクリエイティブな、これまでにないような家を作ることが可能になる。 …この大きな岩のような形をした新しい家のように。
「手頃な価格であることに加え、市場はますます革新的な住宅コンセプトを求めるでしょう」とアイントホーフェン市の住宅・空間開発担当の市会議員ヤシン・トルノーグル(Yasin Torunoglu)氏はプレスリリースの中でコメントしている。
Source: 3D Printed House
「この3Dプリンターを使って建てる家でわたしたちは今、自分の家の形を自由にコントロールし、手頃な住宅を迅速に実現するという未来を方向付けているのです」とトルノーグル氏は続けた。
人件費は抑えられるものの、今のところこの3Dプリンターの家は「伝統的な」家より手頃な価格ではない。ただ、これがプロジェクトが取り組んでいる"目標"だ。
Source: 3D Printed House
この3Dプリンターの家は、印刷工場でプリントされた24のコンクリートのパーツでできている。
工場で印刷されたパーツは家が最終的に建つ場所へと運ばれ、家の基礎の上に組み立てられる。
屋根と骨組みは後から。
複数のパーツで構成されているものの、この家には耐久性がある。20~30年は使えるように考えられている。
3Dプリンターを使って建てられたこの家は現在、不動産投資家のVestedaが所有している。半年契約だと月額およそ1400ドル(約15万3000円)で個人居住者に貸し出される。
Source: 3D Printed House
この家には現在、アムステルダムからやって来た退職者2人が住んでいると、ガーディアンは報じた。
Source: The Guardian
「貯蔵施設のようで… 安心感があります」と、この家に住むハリー・デッケルスさんはガーディアンに語った。
Source: The Guardian
では、この家をもう少し詳しく見ていこう。
広さ1012平方フィート(約94平方メートル)ほどのこの家には、リビング、キッチン、寝室が2つある。
この「大きな岩のような」ユニークな姿は、周りの景色に溶け込むようデザインされていて、自由な形の建物を作ることができる3Dプリンターの能力をいかんなく発揮している。
3Dプリンターを使って建てた他の家とは違って、このユニットは丸みを帯びた壁と空間が印象的な、独特な姿をしている。
形は独特だが、室内の雰囲気は一般的な家と何ら変わらない。
玄関のドアは、デジタルキーで開け閉めできる。
Source: The Guardian
断熱もしっかりとされていて、暖房も付いている。一般的な住宅と同じだ。
たくさんの自然光を取り入れられるように、大きな窓がいくつも取り付けられている。
リビングは広々としていて…
キッチン、ダイニングと一体化している。
寝室には、仕事ができるスペースもある。
もちろん、シャワーや洗面台を備えたバスルームもある。
この家には1階しかないものの、プロジェクト・マイルストーンでは今後、複数階ある家も建てていくつもりだ。
プロジェクトの5軒目の家は2階建てになる予定で、現場で"印刷"されるという。
Source: 3D Printed House
(翻訳、編集:山口佳美)