防護具を装着した医療従事者(台湾・台北市)。
Ceng Shou Yi/NurPhoto via Getty Images
- 台湾では、18カ月にわたって新型コロナウイルスを封じ込めてきたが、ここにきて感染者数が急増している。
- 台湾は、中国製のワクチンを輸入しない方針を長年にわたって貫いてきた。
- しかし、人口の1%しかワクチンを接種しておらず、ワクチンの供給を強化する必要に迫られている。
台湾では新型コロナウイルスの感染者が急増しているが、人口のわずか1%しかワクチンを接種していないため、中国からワクチンを取り寄せる必要に迫られている。
台湾は、ほぼ18カ月にわたって新型コロナウイルスのパンデミックの侵入を水際で防いできたが、今では感染者がこれまでにないほど増加している。
また、CNNやロイターによるとワクチンの接種率は人口の1%にも満たないという。
ワクチンの供給も不足している。CNNによると、台湾はモデルナ(Moderna)など複数のメーカーに2000万本のワクチンを発注したが、調達できたのはアストラゼネカ(AstraZeneca)からの約70万本だけだ。5月21日のサウスチャイナ・モーニング・ポストによると、台湾は、ワクチンの供給を強化するためにアメリカに支援を求めているという。
しかし、台湾の議員たちは、蔡英文総統に対して中国製ワクチンを早急に受け入れるよう求めている。
ロイターによると、国民党の洪秀柱元主席は、「今この瞬間、人命が危険にさらされている。蔡英文政府に謹んで言うが、真の敵はウイルスであり、大陸ではない」と述べた。
台湾では、中国製のワクチンを輸入しないという方針が長年続いている。中国は以前、これは政治的に動機づけられた決定だと指摘していた。
中国と台湾の間の政治的緊張は、蔡英文政権下でかなりの高まりを見せている。中国は台湾を自国の領土の一部とみなす一方、蔡英文はたびたび中国を批判している。
5月19日、行政院のグラス・ユダカ(Kolas Yotaka)報道官は、ワクチン調達が遅れているのは中国政府の「妨害」によるものだと非難した。
台湾では、中国の干渉によってワクチンの入手が遅れている。その一方で、中国製のワクチンを買うべきだという主張がある。本当に手助けしたいのであれば、戸口に立ったり、廊下を塞いだりしないでほしい。
また台湾は、中国が国産ワクチンを利用してパラグアイとの間で政治的な利益を得ようとしているとも非難している。パラグアイは、台湾を独立国家として認める15カ国のうちの1つだが、中国からワクチン提供の引き換えに、台湾との断交を要求されたという。
中国では、輸出用および国内用のワクチン接種の大部分に、シノファーム(Sinopharm)とシノバック(Sinovac)のものが利用されている。シノファーム製ワクチンは、5月7日に世界保健機関(WHO)の緊急使用リストに登録された。COVID-19の予防効果は79%であることが確認されている。12万8000人の医療従事者を対象としたインドネシアでの調査によると、シノバック製ワクチンがCOVID-19による死亡を防ぐ効果は98%、入院を防ぐ効果は96%だったという。
台湾のジョセフ・ウー外相は5月21日、WHOの年次総会(2021年は5月24日から開催)から台湾が除外され続けていることについて、中国を非難した。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)