5月22日のフライトで宇宙へ飛び立ったVSS Unity。
Virgin Galactic
- ヴァージン・ギャラクティックは、2021年5月22日に3度目の有人飛行試験に成功した。
- リチャード・ブランソンの宇宙企業は、2022年に観光客をサブオービタル飛行(弾道飛行)で高度100kmまで送り出すことを目指している。
- 有人飛行試験の成功を受けて、ヴァージン・ギャラクティックの株価は急上昇した。
リチャード・ブランソン(Richard Branson)が設立した宇宙旅行ビジネス企業、ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)は、2020年12月に失敗した3度目の有人飛行を、2021年5月22日に成功させた。
ロケットエンジンを搭載した同社のVSS Unity(ユニティ)は、高度55.45マイル(約89km)まで上昇し、マッハ3(時速約3675km)の速度に達した後、アメリカのニューメキシコ州にある本社の滑走路へ惰性飛行で到着したと同社は発表した。
この試験飛行の成功を受けて、ヴァージン・ギャラクティックの株価は、5月24日の取引開始時に20%以上も上昇した。
ヴァージン・ギャラクティックは、5月22日のテスト飛行で、航空管制システム、スタビライザー、機内カメラの評価など、いくつかのテストを行った。また、NASAのプログラム(Flight Opportunities Program)の一環として科学実験も行った。
今回の飛行は2022年からサブオービタル飛行(弾道飛行)で観光客を宇宙へと送り出す計画の同社にとって重要なマイルストーンであり、観光客を受け入れる前に、さらに3回のテストを計画している。
5月22日のテスト飛行で母船から切り離されたVSS Unity。
Virgin Galactic
同社によると、すでに約600人が20万ドル(約2170万円)から25万ドル(約2710万円)を支払い、座席を確保している。ヴァージン社の宇宙観光客は宇宙へ飛ぶ前に訓練を受ける。宇宙では地球に帰還する前に数分間の無重力状態を経験するためだ。
ヴァージン社は2004年の創業以来、数々の挫折を経験してきた。2014年に行われた試験飛行では、SpaceShipTwo(スペースシップ2)が墜落し、飛行士1名が死亡した。2020年12月にはVSS Unityの飛行テストが、ロケットエンジンの点火に失敗して中止になった。
同社は、最終的にはニューメキシコ州のスペースポート・アメリカから年間400便を打ち上げたいと考えており、スピーディーな大陸横断旅行など、他の事業にも進出する可能性がある。2021年3月には、次世代宇宙船「SpaceShip III(スペースシップIII)」の初号機を発表している。
[原文: https://www.businessinsider.com/virgin-galactic-space-flight-may-2021-5]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)