"人口時限爆弾"の影響を受け、イタリアの小さな町では幼稚園が老人介護施設に

妊婦

ImagesBazaar/Getty Images

  • 世界各地で出生率が低下している。2100年までにほぼ全ての国で人口が減るという研究もある。
  • イタリアの小さな町カプラコッタでは1991年以降、人口が半分以下に減り、今では800人しかいない。
  • カップルが子どもを持つことを先送りにしたり、子を持つ選択をしないのにはさまざまな理由があると、専門家は話している。

イタリアの小さな町カプラコッタでは、幼稚園として使われていた建物が老人介護施設へと生まれ変わった。

「たくさんの家族、たくさんの子どもたちがいました」とこの施設で暮らしているコンチェッタ・ダンドレアさんはニューヨーク・タイムズに語った。

「今は全くいません」

一部の専門家たちは、この世界がまもなく「人口統計学上の時限爆弾」に直面するだろうと懸念しているが、イタリアの一部の町ではすでに現実のものとなっているようだ。カプラコッタの人口は1991年以降、半分以下に減っている。店や地域スポーツといった街のにぎわいを維持する活動は閉鎖されたり、ストップしている。

イタリアのもう1つの小さな町アニョーネでは、もう赤ちゃんの泣き声は聞こえないと、産科病棟の看護師だったエンリカ・シウロさんはニューヨーク・タイムズに語った。ニーズがなく、産科はなくなったという。

「新生児室の赤ちゃんが泣いているのが聞こえると、音楽のようでした」とシウロさんは当時を振り返った。

「今、そこにあるのは静寂と空虚感です」

さまざまな理由で、世界各地で出生率が低下している

2020年に発表されたある研究では、2100年までにほぼ全ての国で人口が減少または半分になることが分かった。

1950年、世界全体では女性は平均的に4.7人の子どもを産んでいた。その数字は2017年までに2.4人に減少し、専門家たちは今後も減り続けるだろうと見ている。

アメリカでは、2021年に公表された疾病予防管理センター(CDC)の報告書で、2020年の1000人あたりの出生数が2019年から4%減り、史上最少となったことが分かった。ただ、出生率はその前から、長年低下し続けている。

なぜカップルが持つ子どもの数が減っているのか、なぜ子どもを持たない選択をするカップルがいるのか、専門家たちはさまざまな理由があると指摘している。自分たちのキャリアがもっと認められ、経済的に家族を支えられるようになるまで、子どもを持つのを遅らせる人たちもいる。自分たちの環境フットプリント(編集注:人類が地球環境に与える負荷の大きさを測る指標)を減らすために、子どものいない生活を選ぶ人たちもいる。10代の若者の妊娠も減っている。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)も人々の家族計画をストップさせ、2020年に記録した史上最低の出生率につながった。アメリカ、フロリダ州在住のヘイリー・ナイディックさんは、コロナ禍で子どもを持つのを延期したと、 Insiderに語っている。このような状況では、家族や友人の助けを頼れないからだという。

妊婦は新型コロナウイルス感染症に伴う合併症のリスクが高いことから、子どもを産むのを先送りした人もいるだろう。必要な不妊治療が受けられなかったために、自分たちの計画を延期せざるを得なかった人たちもいる。

高齢者を支える人たちが足りなくなる恐れも

出生率の低下は、悪いことばかりではない。子どもの数が減るということは、気候変動の問題にとっては良いニュースで、Insiderが以前報じたように、アメリカの「少子化」は経済にとって朗報となり得る。

しかし、出生率の低下に悩まされている専門家は、若者は経済と高齢者を支えるのに必要不可欠だと懸念している。

「パラダイムシフトが必要です」と、ドイツの人口統計学者フランク・スワイアシュニー(Frank Swiaczny)氏はニューヨーク・タイムズに語った。

「国は出生率の低下を受け入れ、適応することを学ぶ必要があります」

この傾向が何十年も続いた後、急激に低下する時が来るだろうと見ているのは、アジアの人口動態に詳しいスチュアート・ギーテル・バステン(Stuart Gietel Basten)氏だ。

バステン氏は「これが循環メカニズムになるのです」とニューヨーク・タイムズに語った。

「これが人口動態の向かう先です」

[原文:The demographic time bomb hit Italy so hard that a kindergarten turned into a nursing home - and it's a sign of changes to come

(翻訳、編集:山口佳美)

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