アマゾンのジェフ・ベゾスCEO。
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- アマゾンは、出品業者に対して他の通販サイトでアマゾンよりも安く販売しないよう要求しているという。
- 5月25日にアマゾンを提訴したワシントンD.C.の司法長官は、これは権力の乱用であると主張している。
- アマゾンの出品業者に対する扱いについては、反トラスト法違反の疑いで現在進められている他の調査でも大きく取り上げられている。
米首都ワシントンD.C.のカール・ラシーヌ(Karl Racine)司法長官は2021年5月25日、アマゾン(Amazon)を提訴したと述べ、同社が独占的な力を乱用して販売価格をコントロールしていると非難した。
ラシーヌによると、アマゾンはサードパーティーの出品業者に対し、他の通販サイトでアマゾンよりも安く販売しないように要求することで「オンライン小売市場全体で、商品価格が高くなるように仕組んでいる」という。また、アマゾンがこのような行為によって競争とイノベーションを阻害しているとも述べている。
「我々は、アマゾンがオンライン小売市場全体の価格を違法にコントロールしていることに終止符を打つために、独占禁止法に基づく訴訟を起こした」とラシーヌはツイートした。
「地域住民にとっての選択の幅を広げ、競争、イノベーションを推進する公正なオンライン小売市場が必要だ」
本日、アマゾンがDC法に違反して独占的な力を違法に行使し、オンライン小売市場全体の価格をコントロールしているとして提訴した。
Insiderは、アマゾンにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
アマゾンの通販サイトでの出品業者の扱いについては、2020年に反トラスト法違反の疑いで調査が行われた際に大きく取り上げられた。同社は、2020年7月に行われた議会の公聴会で弁明を求められ、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)CEOは、出品業者の商品よりも自社の商品を優遇しているわけではないと証言した。
議員らは、アマゾンが出品業者のデータを利用して人気商品をコピーし、自社ブランドで販売することで、その業者を廃業に追い込んだことを示す証拠があると述べた。
アマゾンは2021年1月にも、大手出版社との共謀により電子書籍の価格を上昇させたとして、訴訟を起こされている。
複数の消費者が、アマゾンはアシェット(Hachette)、ハーパーコリンズ(HarperCollins)、マクミラン(Macmillan)、ペンギン・ランダムハウス(Penguin Random House)、サイモン&シュスター(Simon & Schuster)の5大出版社と2015年に反競争的な価格協定を結んだと訴えた。そして、それによって電子書籍の価格が最大30%上がったと主張している。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)