サウスウエスト航空。
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- サウスウエスト航空は、5月23日朝のフライトで客室乗務員に対して暴言を吐いたり、暴力を振るった乗客がいたと報告した。
- 客室乗務員らで構成される労働組合は、サウスウエスト航空のフライトでこうした案件が477件発生していると報告した。
- アメリカ連邦航空局(FAA)は、乗客による"手に負えない振る舞い"が増えていると警鐘を鳴らしている。
サウスウエスト航空の客室乗務員が乗客に暴力を振るわれ、歯を2本失ったことが、客室乗務員らで構成される労働組合が同社のCEOゲリー・ケリー(Gary Kelly)氏に宛てた5月24日付けの公開書簡で分かった。
全米運輸労働者組合(TWU)第556支部が出したこの公開書簡は、4月8日から5月15日の間にサウスウエスト航空の機内で477件の乗客による暴力や"手に負えない振る舞い"があったと報告している。FAAも1月以降、"手に負えない乗客"について2500件の報告があったとしている。
「この今までに例のない発生件数は、容認できない水準に達しています。乗客によるルール違反も、より攻撃的なものになっています」と組合は指摘した。
サウスウエスト航空の広報担当者は、今回の事件が23日朝、カリフォルニア州サクラメントからサンディエゴへ向かう機内で起きたと認めた。
「この乗客は一般的な機内での指示(トレイテーブルを戻す、シートベルトを締めるなど)を繰り返し無視し、着陸を前に暴言を吐いたり、暴力を振るい始めました」
「わたしたちは、乗客の安全に対して責任を負っている乗員に対する言葉の暴力、身体的な暴力を大目に見たり、容認することはありません」
サウスウエスト航空は、客室乗務員と乗客の安全対策を向上させるため、FAAと協力して取り組んでいると、広報担当者はInsiderに語った。客室乗務員に暴力を振るった28歳の女性乗客は警察に逮捕され、重暴行罪で起訴されたと、USA Todayは報じている。
今回の事件は、ここ数カ月の間に機内で起きた数多くの事件の1つに過ぎない。FAAは最近、乗客が客室乗務員を殴ったり、怒鳴ったり、突き飛ばされるなどした事例を挙げ、乗客による手に負えない、攻撃的な行動が急増していると述べた。FAAでは客室乗務員の邪魔をしたり、暴力を振るったとされる5人の乗客に対し、最大で1万5000ドル(約160万円)の罰金を提案した。
客室乗務員たちは、新型コロナウイルスのパンデミックでルール違反をしたり、攻撃的な乗客が増えたとInsiderに話している。中でも、国が定めた機内でのマスク着用義務を徹底するのが大変だったという。疾病予防管理センター(CDC)は多くの場所で、ワクチンを2度接種した人についてはマスクの着用義務を解除しているが、一般の旅客機では引き続き、乗客はマスクを着用するよう求められている。
その公開書簡の中で、客室乗務員らで構成される労働組合は「たちの悪い行動」を示した乗客に対する罰則と規制を強化し、機内の連邦航空保安官の数を増やすよう求めた。
「乗員たちのことを心に留め、今日の状況がその職場環境に及ぼす影響を理解してください」
(翻訳、編集:山口佳美)