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「マスクしていない友達の顔知らない」コロナ禍で子どもたちが思っていること。

マスク姿の小学生

コロナ禍で強いられる「我慢」と「自粛」。これにくたびれているのは子どもも同じだ。

GettyImages/ recep-bg

「いつまで我慢すればいいのか」——3度目の緊急事態宣言も延長が決まり、長引くコロナ禍での自粛生活に、疲労を訴える声が各方面から増している。

しかし、その多くは発信する術を持つ大人たちの声だ。選挙権を持たず、SNSで訴える手段も持たない子どもたちの声はなかなか表に出てこない。2020年3月の全国一斉休校(期間は自治体により最長3カ月)から続く、行動の制限下でずっと我慢をしてきた子どもたちは今、何を思い、何を訴えたいのか。

筆者は「素直な声を聞かせてほしい」と、2021年5月時点の緊急事態宣言対象地域に暮らす保育園児から高校3年生まで10人に、オンライン上で一人ひとりにインタビューを実施。すると、大人が定めた制限を従順に守りながらも、息苦しさを募らせる現状が浮き彫りになった。

ビニールに囲われ「絶対にしゃべっちゃダメな給食」

この1年で、学校や保育園(幼稚園)での生活にどんな変化があったのか。子どもたちの多くが挙げたのが、“感染予防”という大義によって続く活動の制限だ。

「授業中は大きな声出しちゃダメって、先生に厳しく言われる。音楽の時間も聞くだけで、みんなと一緒に歌えない。特に給食の時間は、席をビニールの壁みたいなので囲われて、絶対にしゃべっちゃダメ。みんな、教室の前を向いて、一人で食べる」(小学1年生・男子)

学校の日常の中での大きな変化として、「給食」はとりわけインパクトが大きいようだ。

「前は、班ごとに机をくっつけてワイワイガヤガヤする楽しい時間だったのに、今はシーンとしている。雰囲気が全然変わってしまいました」(小学4年生・女子)

休み時間の過ごし方も、この1年で変化した。校庭を使える順番がクラスや学年ごとに定められていて、順番が回ってこない日は原則屋内で過ごす学校も珍しくない。

その結果なのか「前より外で遊ばなくなった」(小学4年生・女子)という子もいた。「本当は6年生が教室に来て一緒に遊んでくれるはずだったのに、それもダメになっちゃった」(小学1年生・男子)。

小学生_校庭

友達と思いっきり遊んだりといった、本来当たり前にできていたことができない(写真はイメージです)。

GettyImages/paylessimages

保護者からは「異学年との交流など、本来は学校で体験できるはずの機会が減っていることが残念」とため息が漏れる。

「子どもだけで100人くらい集まりたい」

コロナがこの世から消えたら何がしたい?

そう聞くと、

「好きなサッカーを思い切りしたい」「家族でよく行っていた焼肉屋さんに食べに行きたい」「北海道のおじいちゃんおばあちゃんに会いたい」「ディズニーランドに行きたい!」「修学旅行中止で行くはずだったカナダに行きたい。アジアにも行ってみたい」

と、子どもたちは口々に言う。空気を読んで言わないだけで、本当はやりたいことをたくさん我慢をしている。

「公園で友達と集まって遊びたい。子どもだけでいっぱい、100人くらい集まりたい!」

という小学1年生男子・ショウタ君(仮名)の願いが象徴的だった。

生まれてから過ごした年数が少ない子どもたちにとって、1年の重みは大人と全く違う。

遠足、運動会、修学旅行、中学3年間の最後を飾る大会……。人生のアルバムを埋めるはずだったイベントは、この1年余りでほとんど経験できていない

「今しかできない体験を諦めないといけないのが悲しいです」(中学3年生・男子)

大人と比べてはるかに順応性の高い子どもたちは、“新しい日常”を受け入れ、従順にルールを守ろうとしている。それでも、「楽しみにしていたこと」「好きなこと」を奪われた悔しさや喪失感は、確実にその内面に蓄積しているのではないか。

淡々とした低学年の子どもたちの未来

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子どもたちの生活には2020年以降、コロナがずっと付きまとっている。

筆者提供

一方で、コロナ禍の学校生活しか知らない小学2年生以下の子どもたちは、「これがフツウ」と受け入れているのか、比較的淡々とした様子だった。「緊急事態宣言」「無観客」「ソーシャルディスタンス」といった用語が、会話の中にごく自然に出てくる。

小学1年生男子の母親は不安を語る。

「非日常が日常になり、いずれ違和感さえ口にしなくなってしまうのかもと思うと怖い。今の状況が、先々の子どもたちの成長にどう影響していくのか」

言葉では不満を表さなくても、ストレスのサインが現れる子もいる。小学1年生女子のリリコちゃん(仮名)は、手洗いに対して過敏になり過ぎて手荒れが悪化、食も細り体重が減ってしまった

普段は明るく優しい子なのに、家の中で兄を叩くことも増えたという。

「言えないだけで、不安を溜め込んでいる子は多いのではないか」(リリコちゃんの母親)

東京・杉並で民間学童「いおぎみんなの学校」を運営する高橋和の助さんは、こう指摘する。

「子どもは本来、生きるエネルギーの塊。『マスクが窮屈だ!』とか『もっと自由に遊びたい』とか不満を言うのが自然なのに、やけに静かなのが気になる。『みんなが守っているから』と周りに合わせて自分の気持ちを押し殺し、我慢することに子どもたちが慣れてしまうと、将来、“物言わぬ大人”が溢れる社会になるのではという危惧がある

「お友達のマスクなしの顔を知らない」

マスク姿の幼稚園児

マスクやソーシャル・ディスタンスはやはり、心にも「距離」を生む(写真はイメージです)。

Shutterstock/ MIA Studio

ヒアリングを重ねながら気になったのは、子ども同士の関わり方への影響だ。

幼い子どもたちは、体をぶつけ合い、触れ合い、密着するように過ごして友達との関係性をつくっていくものだろう。しかしながら「マスクをつけること」が当たり前になり、「ソーシャルディスタンス」の確保が習慣として浸透しつつある今、これまでにはなかった“距離”が生まれているのだ。

「学校に入学してからずっとマスクをつけているから、お友達がマスクを取った顔を見たことがない。給食でマスクを取った顔を見たら、なんか変な感じがする!」(小学1年生・男子)


「仲が良かったお友達が、保育園からいなくなっちゃった(保護者補足:園内ではマスク着用をしなくていいというルールに異議のあった家庭の子が転園してしまった)」(保育園年長・女子)


「仲の良かった小学校時代の友達と、週末に誘い合って遊ぶことができない。ずっと会えないのが寂しい」(中学1年生・男子)

「マジ、この1年薄かった」という不満

高校生

「青春」はコロナで失われた。高校生のワタルさんは「学校生活は本当につまらなくなった」と話す。

Shutterstock/Phuong D. Nguyen

友情を深める青春を謳歌するはずの中高生も、その機会を失いかけている。

都内から神奈川県まで通学する高校3年生男子のワタルさん(仮名)は、週末に友達を映画に誘った際に「渋谷に出るのは怖い」と言われ、自然と遊ぶ機会も減っていったという。

社交的で快活なタイプのワタルさんだが、

「行事が次々に中止されてクラスが一致団結するきっかけもなく、同じクラスなのに一度も話したことがない同級生が数人いる。頑張っていた空手部の大会もかろうじて開催されたけれど、無観客で盛り上がりゼロ。学校生活は本当につまらなくなった」

と振り返る。

ワタルさんは気持ちを切り替え、オンライン上で社会人と接触する機会を増やしたことで、読書やロードバイクなど新しい趣味を広げ、“学校の外の世界”に生きがいを見出した。

オンラインでの交流を通じて、実社会で活躍するカッコイイ大人もたくさん見つかった。

これは「コロナの影響のいい面だった」とワタルさんは言う。

「周りの友達のほとんどは、『マジ、この1年薄かった』と不満そうだから、人によってギャップがあると思う。今の僕は社会に対する好奇心が爆発していて、行きたい場所や会いたい人がたくさん浮かぶ。なのにまだ自由に動き回れないから、もどかしい

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