- 2015年、アンドレ・カントさんは母親とけんかをした。自身の怒りを紛らわせるため、カントさんは穴を掘り始めた。
- 6年をかけて、カントさんはこの穴を寝室やリビングまである地下の洞窟へと変えた。
- ジャグジーを追加して、この洞窟をさらに改良するつもりだとカントさんはInsiderに語った。
今から6年前、アンドレ・カントさんは母親とけんかをした。
「母はぼくに、友人と出かける前に服を着替えて欲しかったんです」とカントさんはInsiderに語った。
「でも、ぼくはそれを拒否して… 出かけられなくなってしまった」
自分の部屋でふてくされる代わりに —— 多くの14歳の子どもがやりそうなことだ —— カントさんは「思春期前のかんしゃく」から来る自身の怒りをもっと生産的な方法で紛らわせることにした。
現在20歳になるスペイン人俳優は、アリカンテにある自宅の裏庭に穴を掘り始めた。
「ぼくはつるはしを持った怒れるティーンエイジャーだったんです」
「掘り始めてからは3年間、この穴を掘り続けるために毎日午後になると裏庭に戻ってきていました」
あれから6年が経ち、カントさんの掘り続けた穴は本格的な「自分専用の小部屋」へと変わった。この地下の要塞には、階段、ステレオシステム、暖房、オーブン、シングルベッドが備わっている。
カントさんはInsiderの取材に、自身が掘った洞窟の中から応じた。カントさんは1日に5時間をここで過ごし、リラックスしたり、自分で用意したWiFiを使うなどしている。
穴を掘り始めたきっかけは2015年3月のけんかだったが、カントさんはかなり前からこうしたプロジェクトをやってみたいと考えていたのだという。
「退屈していたし、近所には誰もいないので、何かからだを使うことをしたいと思っていたんです」とカントさんは当時を振り返った。
当初の計画は、ただものすごく深い穴を掘ることだった。
「初めの3年は、どれだけ深く掘れるか試してみたかったんです」
ところが2017年になって、カントさんはこの穴を居住空間に変えられることに気付き始めた。カントさんは親友のアンドリューさんに助けを求めた。アンドリューさんはカントさんに作業をスピードアップさせるためのドリルを貸し、毎日午後になると穴掘りを手伝いに来た。
1年も経たないうちに、洞窟の深さは5フィート(約1.5メートル)から11フィートになっていた。
ここ数年は、機能的な地下の空間を作ることに力を注いできた。毎日約3時間を作業に費やしているという。
カントさんがソーシャルメディアに投稿した動画は、今やこの洞窟の中に一般的な家にある多くのものが備わっていることを示している。
「階段を下りて洞窟に入ると、最初の部屋には暖房の配管やコート掛けがあります」とカントさんはInsiderに語った。
「そこが玄関ホールです」
2番目の部屋には、座って寛げるスペースとステレオシステムがある。
「この部屋の真ん中にはオーブンもあります」とカントさんは付け加えた。
この地下の洞窟には、シングルベッドが置かれた寝室や棚、4人の友人のための座席まである。
カントさんの友人たちは、この地下の洞窟を「最高だ」と考えているという。
「彼らは毎週やって来て、どこか改良されているところがないか見たり、地下で単純にビールを楽しんでいます」
一方、カントさんの両親はこの地下の洞窟にそれほど興奮してはいないようだ。
「部屋が1つ完成するたびに、両親はこれで終わりかと聞いてくるんです」
この地下の洞窟は、完成には程遠いとカントさんはInsiderに語った。
「ぼくがこのプロジェクトのとりこになっているのは、終わりがないからです。次は多分、ジャグジーを付けると思います」
カントさんは約6年に及ぶこのプロジェクトを何ら後悔していない。
「長くて大変な冒険だったけれど、自分がやり遂げてきたことにぼくはとても満足しています」
「悪い記憶は全て消え去りました」
(翻訳、編集:山口佳美)