日本は“納得”のワースト6位。「外国人が住みたい、働きたい国」ランキング【2021年版】

kawamura_millionaire_taipei

「外国人が住みたい、働きたい国」ランキング首位は台湾だった。首都・台北市内の様子。

beeboys/Shutterstock.com

海外に住む外国人のためのコミュニティ形成支援サイト「インターネーションズ(InterNations)」が、毎年まとめているランキング「外国人が住みたい・働きたい国ベスト・アンド・ワースト」の最新版を公表した。

世界59カ国・地域に住む、174カ国からの外国人居住者1万2420人を対象にした調査で、滞在先での生活を37の観点から7段階で評価してもらった(調査実施は2021年1月)。

さらに、各観点の評価を組み合わせて13のサブカテゴリに仕分け、それを使って「生活の質」「定着の容易さ」「仕事環境」「家計の状況」「生活費」という5つの指数を導き出した。

ただし、外国人居住者50人以上の評価(回答)が得られなかった国はランキングから除外した。

まず、2021年「外国人が住みたい・働きたい国」ランキング首位の座は、3年連続で台湾が占めた。2位以下は、メキシコ、コスタリカ、マレーシア、ポルトガルと続いた。

主要20カ国・地域(G20)からは、6位にオーストラリア、9位にカナダがランクインした。

ここからランキングのワースト10、言い換えれば「外国人が住みたくない・働きたくない国」を10位から最下位まで順に見ていこう。

【ワースト10位】マルタ

kawamura_live_work_2021_malta

マルタの首都バレッタ。

Shutterstock.com

地中海に浮かぶ島しょ国。2004年に欧州連合に加盟。人口は約51万人(2019年外務省)、面積は淡路島の半分ほどしかない。

史跡の集まる観光地、リゾート地として知られるが、外国人にとっての生活環境はあまり好ましくないようだ。「生活の質」は世界54位(ワースト6位)で最低レベル。

あるイタリア人居住者は「緑地が少ない。子どものためのインフラが整備されておらず、交通量が多いために大気汚染がひどい」と酷評した。

【ワースト9位】インド

kawamura_live_work_2021_delhi

インドの首都デリー(オールドデリー地区))。

MaheshMJ/Shutterstock.com

13億6641万人(2019年世界銀行)の人口は中国に次ぐ世界2位。

2021年3月以降に新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大に見舞われ、累計感染者数はアメリカに次ぐ2810万人超を記録しているが、その膨大な人口と広大な国土面積のためか、100万人あたりの感染者数は2万人超で、主要20カ国のなかでは少ないほう。

そんなインドの「生活の質」は最下位のクウェートに次ぐ58位(ワースト2位)、サブカテゴリの「環境の質」では世界最下位だった。

ただし、収入や将来の可能性を示す「家計の状況」は世界4位と、経済環境については外国人にとって有利な面があるようだ。

【ワースト8位】トルコ

kawamura_live_work_2021_ankara

トルコの首都アンカラ。

Shutterstock.com

日本の黄金週間連休中、海外逃亡中のトルコのマフィア幹部が、エルドアン政権の汚職疑惑をYouTubeで次々と暴露。世界中に拡散されて話題を呼んでいる。

4月にも、イタリアのドラギ新首相がトルコのエルドアン大統領を「独裁者」と名指しするなど、国政に対する疑問が投げかけられており、本調査でも「政治的安定性」の評価で世界54位(ワースト6位)と最低レベルの結果となっている。

「仕事環境」は不名誉なことに世界最下位で、各指標を細かく見ても、「キャリア展望と満足度」56位(ワースト4位)、経済と雇用の安定」58位(ワースト2位)と苦しい内容。

あるイギリス人居住者は「そもそも労働許可証を取得するのがきわめて困難」と嘆いた。

【ワースト7位】キプロス

kawamura_live_work_2021_cyprus

トルコの支援を受けてキプロスと対立する北キプロスの港町。

Shutterstock.com

トルコの南、シリアの西に浮かぶ地中海の島国。人口は約119万人(2018年世界銀行、トルコ系実効支配地域=北キプロスを除く)。

ギリシャ系とトルコ系の住民対立、いわゆる「キプロス問題」は現在も解決していない。2020年10月には北キプロスの大統領選で「分離派」、南北再統合を否定するタタール首相が当選している。

上記の政治的不安定性以上に、本調査で目立ったのは「仕事環境」の厳しさ。対立するトルコは世界最下位だが、キプロスも負けず劣らずの世界57位(ワースト3位)だった。なお、両国に挟まれて58位(ワースト2位)だったのはイタリア。

ネパール人の居住者は「働き口を見つけるのが難しく、子どもの学費や生活費を得られない」と惨状を語っている。

【ワースト6位】日本

kawamura_powerful_japan

Shutterstock.com

英金融大手HSBCによる海外駐在員の生活調査レポート(2019年)でも、33カ国中32位と芳しくない評価だった日本。

同様にインターネーションズの調査でも、「定着の容易さ」で世界58位(ワースト2位)だった。多くの外国人居住者から、日本は独特の文化になじむのが大変との声があがった。

また、「仕事環境」も世界50位(ワースト10位)で、あるアメリカ人居住者は「ワークライフバランスは世界最悪だ」と答えているが、それは多くの日本人が感じているところだろう。

「生活費」は意外にも世界38位で高くもなく低くもなくといった結果だったが、日本人からもよく聞かれる「給料が安い」との不満通り、外国人にとっても「家計の状況」は厳しく、世界54位(ワースト6位)だ。

外国人にとっても日本人にとっても嬉しくない環境がなかなか変わらないというのは、まさに日本の現状そのものではないか。

【ワースト5位】エジプト

kawamura_live_work_2021_cairo

エジプトの首都カイロ。

Shutterstock.com

最近、彩色豊かな装飾の施された数々のミイラが発見されるなど、歴史的な考古学上の発見に沸くエジプトだが、外国人が暮らすには厳しい環境があるようだ。

「生活の質」は世界57位(ワースト3位)で、それより下はクウェートとインドだけ。サブカテゴリでは「環境の質」55位、「健康と福祉」52位、「個人の幸福」55位と、生きづらさが伝わってくる。

アフガニスタン人の居住者は「空気が悪くて、緑地が少ない」と酷評。アフガニスタンに長期居住した経験のある筆者にとっては、空気も自然も同国よりひどいとなると、よっぽどの環境と考えざるをえない。

【ワースト4位】ロシア

kawamura_live_work_2021_moscow

ロシアの首都モスクワ、国際ビジネスセンター。

Shutterstock.com

プーチン大統領の長期政権化(終身大統領の可能性も指摘されている)が生む社会の歪みが指摘されるロシア。最近では、反体制派ジャーナリストを拘束したベラルーシを支援するなど、人権問題でも国際社会から非難を浴びている。

そうした空気が生活に緊迫感を与える面もあるのか、「生活の質」は世界49位(ワースト11位)。「仕事環境」は世界52位(ワースト8位)となっている。

また、「定着の容易さ」も世界48位(ワースト12位)と低評価の部類で、とくに外国人にとってはロシア語の難しさが壁になっている。「言語」観点の評価は世界58位(ワースト2位)で、それを下回ったのは日本だけだ。

【ワースト3位】南アフリカ

kawamura_live_work_2021_safrica

南アフリカの立法府が置かれるケープタウンの空撮。

Shutterstock.com

アフリカ大陸では富裕層の多い国として知られる南アフリカだが、海外からの居住者にとっては生活と仕事の両面で厳しい環境が揃っている。

「家計の状況」は世界55位(ワースト5位)、「生活費」は28位と決して高くないレベルだが、「仕事環境」が54位(ワースト6位)であることから、給与や雇用機会が薄いということだろう。

また、「生活の質」も世界52位(ワースト8位)。「仕事でやってくる外国人が居住できるのは特定の地域、壁に囲まれた土地と建物、移動はときに防弾ガラス装備の車両」(日本人駐在員)と指摘されることからもわかるように、サブカテゴリの「安全性」は最下位で、そうした日々の生活があるということだ。

【ワースト2位】イタリア

kawamura_powerful_italy

イタリアの首都ローマの夕暮れ。

Luciano Mortula-LGM/Shutterstock.com

先進7カ国(G7)の一員で、ローマ時代の歴史遺産が集中し、世界トップレベルのアパレルデザイナーが集う文化大国ながら、外国人にとっては住みにくい、働きにくい国の最たる例ということになる。

最悪なのは世界59位(ワースト1位)の「家計の状況」。生活費は世界32位とさほど高くないのに、「仕事環境」が世界58位(ワースト2位)とひどく、イタリアでの生活を困難にしている。

「キャリア展望と満足度」など仕事関連のサブカテゴリも軒並みワースト10位圏内。その一方で、「気候」「旅行」といった観光視点の評価は高いので、要するに仕事さえあれば外国人にとっても非常に楽しい国、ということになるのかもしれない。

【ワースト1位】クウェート

kawamura_live_work_2021_kuwait

首都クウェートの町並み。

Lukas Bischoff Photograph/Shutterstock.com

クウェートと言われて多くの人が思い出すのは、1990年にイラク・フセイン政権が侵攻、翌91年、米軍主体の多国籍軍による爆撃が行われたあの湾岸戦争だろう。原因はもちろん、中東経済の根幹である石油だった。

1人あたりGDPは世界41位(2020年世界銀行)、失業率1.2%(2019年クウェート中央統計局)と経済的に恵まれた国ではあるが、国民の85%が国家公務員あるいは国営企業社員という、石油部門を中心とした硬直的な経済環境下に置かれている。

「生活の質」は世界最下位、サブカテゴリの「レジャーの選択肢」「個人の幸福」「旅行・移動」がいずれも最下位といった評価からも、外国人が住んで幸せになる類いの国ではないのだろう。

そうした社会なので、「定着の容易さ」はもちろん最下位。外国人はあくまで他人の扱いで、サブカテゴリの「アットホーム感」「親しみやすさ」はいずれも最下位。

さらに、「仕事環境」は世界56位(ワースト4位)、サブカテゴリの「キャリア展望と満足度」も57位(ワースト3位)。そもそも国家公務員や国営企業社員以外にさほど働き口がないので、このような評価になってしまう。

そして働き口がないからこそ、「家計の状況」も58位(ワースト2位)と厳しく、国民の収入はきわめて安定しているので「生活費」も53位(ワースト7位)ときわめて高い。

(文:川村力)

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • LinkedIn
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み