老人ホームで誕生日を祝う101歳の双子、マリー(左)とガブリエル(右)のヴォードルメール姉妹。2011年撮影。
Thierry Roge/REUTERS
- エリザベス・サリバンさんは、毎日3本のドクターペッパーを何年も飲み続け、106歳まで生きた。
- ウイスキー、タバコ、アイスクリーム、ベーコンなどの不健康な習慣を毎日続けているスーパーエイジャーがいる。
- 「ルーティーン」に関する新刊書籍では、習慣はその内容よりも構造が重要であると述べられている。
エリザベス・サリバン(Elizabeth Sullivan)さんは、最後になった106歳の誕生日に、ドクターペッパー(Dr. Pepper)の缶が詰め込まれたギフトバスケットとその形のケーキをドクターペッパーの親会社から贈られた。
実はドクターペッパー社は彼女に借りがあった。テキサス州フォートワースに住む元数学教師のサリバンは何年も、いや何十年も、毎日3本のドクターペッパーを飲んでいたのだ。
2015年に地元テレビ局のインタビューで「朝食では、みんな私にコーヒーを飲ませようとする。でも私はドクターペッパーが飲みたい」とサリバンさんは話している。
「私を診察する医者は皆、ドクターペッパーはあなたを殺すと言った。でも彼らは死んで、私は生きているのだから、何かが間違っているはず」
サリバンさんは、元救急医であるエンジェル・イスコビッチ(Angel Iscovich)博士の新著『The Art of Routine:Discover How Routineology Can Transform Your Life(ルーティンの極意:ルーティン化すれば人生が変わる)』で紹介している百歳以上生きた人物の1人だ。
イスコビッチ博士はInsiderに、彼らの話はたとえそれが「悪い」とされるものであっても、その生活習慣がいかに重要であるかを語った。習慣の内容よりも、そのルーティンが重要だという。
他の長寿の人たちは、毎日のウイスキーやアイスクリーム、ベーコンを習慣にしている
アグネス・フェントン(Agnes Fenton)さんは、2017年に112歳で亡くなるまで、ニュージャージー州で最高齢だった。彼女の長寿の秘訣は、毎日ビール(ミラー・ハイライフ:Miller High Life)を3本、ウイスキー(ジョニーウォーカー・ブルーラベル:Johnnie Walker Blue)を1杯飲んでいたことだった、と死亡記事に書かれている。
彼女の習慣は、1943年に良性腫瘍の治療の際に医師からアルコールを勧められたことから始まった。彼女は亡くなる数年前までその習慣を続けていた。
また、2015年に108歳でBBCやハフポスト(HuffPost)に紹介されたバージニア・デイビス(Virginia Davis)さんは、毎晩ボウル1杯のアイスクリームを食べていた。「それが彼女の長寿の秘訣なのかもしれない」と彼女の介護人はハフポストに語っている。
「彼女は1週間で1ガロン(約3.8リットル)のアイスクリームを食べてしまう」
デイビスさんはアルコールもタバコも嗜まないと語っていたが、他のスーパーエイジャーには、その習慣を長寿の秘訣としている人もいる。2018年にBBCで紹介された114歳の南アフリカの男性フレディ・ブロム(Fredie Blom)さんは、喫煙は自分の悪癖だと言い、「毎日、私は今でも2、3本吸っている」と新聞紙で巻いたタバコについて語った。彼は2020年に亡くなったと報じられている。
また、2016年に116歳で亡くなるまで最高齢だったスザンナ・ムシャット・ジョーンズ(Susannah Mushatt Jones)さんは、卵にコーングリッツとベーコンの朝食を日課としていた。「彼女は1日中ベーコンを食べていた 」と、彼女がいたブルックリンの施設の介助者はペイジ・シックス(Page Six)に語っている。
100歳以上の人は、1パーセントもいない
現在の平均寿命は、女性が75.6歳、男性が70.8歳だ。世界の人口78億人のうち、現在存命の100歳以上の人は約31万6600人、つまり0.004%に過ぎないとイスコビッチ博士は報告している。
100歳まで生きる人については、植物性の食事を好む、良好な人間関係の維持、定期的な運動など、健康的な習慣を強調する研究者もいるが、イスコビッチ博士は不健康な習慣を取り上げている。
「日々の生活の内容は、何かを安定して定期的に行うことほどは長寿にとって重要ではない」と彼は著書で述べている。
自発的に行動したり、新しい経験を求めたりすることがいけないというわけではない。それらは人生を幸せで充実したものにするためには重要なことだ。しかし、人間は、胎児がルーティンを開始する子宮の中から、時間生物学(chronobiology)、つまり睡眠、集中力、社交性に影響を与える24時間サイクルの分野までリズミカルに生きるように仕組まれている。
イスコビッチ博士の共著者のマイケル・アシュリー(Michael Ashley)は、これらのサイクルに乗ることが、目的、意味、喜び、そして長寿を手に入れる鍵だと述べている。
「未知のものへの恐れを減らし、ストレスを軽減する活動を追求することは、よりコントロールされた環境につながり、安定をもたらし、長寿の助けとなる」と彼らは書いている。
「一貫して活動することの重要性と目的の必要性は結びついている」
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)