ビットコインのマイニングはエネルギーを大量に消費する。
Jakub Porzycki/NurPhoto via Getty Images
- カナダの電気自動車メーカーが、充電中にビットコインをマイニングする車を開発中だ。
- 2023年発売予定で、暗号通貨での予約注文を受け付けている。
- ビットコインのマイニングは大量のエネルギーを消費するので、環境によくないと批判されている。
テスラ(Tesla)のことは一旦忘れよう。新たな電気自動車メーカーが暗号通貨シーンに登場するかもしれない。
カナダの小型電気自動車メーカー、デイマック(Daymak)は6月1日、同社の新型車、アヴニール・スピリタス(Avvenire Spiritus)は、ビットコイン(bitcoin)やドージコイン(dogecoin)といった暗号通貨のマイニングが可能だと発表した。
だが、デイマックが「ネビュラ・マイナー(Nebula Miner)」と呼ぶこの技術はまだ、特許を取得していない。アヴニール・シリーズはまだ製造開始前だが、すでに予約注文で3億5000万ドル(約383億4800万円)以上を受領している。ビットコインをマイニングする3輪自動車のスピリタスは2023年発売予定だ。
とは言え、デイマックは強気の姿勢だ。「ほとんどの車はガレージに置いている間に価値が下がってしまうのに対し、スピリタスなら駐車している間にネビュラ・マイナーが稼いでくれる」とデイマックのアルド・バイオッチ(Aldo Baiocchi)社長はプレスリリースで述べている。
「デイマックは創業時から破壊的技術のトップを走り続けいる。現在の暗号通貨の動きは、2023年にスピリタスが発売される日までに我々がブロックチェーン革命の真ん中にいるということを示している」
電動スクーターが専門だが、自動車に本格的に参入する予定のデイマックによると、充電中は常にネビュラ・マイナーが「稼いでくれる」と述べた。
暗号通貨のマイニングは、大量のエネルギーを消費するプロセスだ。コンピューターが複雑なパズルを解いて、暗号ネットワークを維持し、コインを生成する。ビットコインの熱烈支持者であるテスラ(Tesla)のイーロン・マスク(Elon Musk)CEOを含めて、環境に極めて悪いと厳しく非難する人も多い。
デイマックは、車と、採掘した暗号通貨を収集、保管、取引することができる「ネビュラ・ウォレット(Nebula Wallet)」をリンクさせる計画だ。
同社はドージコイン、イーサリアム(ethereum)、ビットコイン、カルダノ(cardano)といった暗号通貨での予約注文を受け付けている。
暗号資産のデータ収集・分析サイト、コインゲッコー(Coingecko)の共同創業者、ボビー・オン(Bobby Ong)は、デイマックのアイデアには多くの問題があると述べた。
「ビットコインのマイニング・チップを耐用年数の長い自動車に埋め込むということは、ビットコイン・マイニングの難易度が時間とともに上昇しないことを前提としている」とオンは述べた。
「実際にはビットコイン・マイニングの難易度は時間とともに上がり、古いマイニング・チップは役に立たなくなるだろう」
また、マイニングのためには常にインターネットに接続しなければならなくなり、「言うまでもなく、そのための電力も消費する」と付け加えた。
すでに、アマチュアの暗号通貨ファンが、すでに車でのビットコインのマイニングに挑戦している。サイモン・バーン(Simon Byrne)さんが2021年1月に、BMW i8に小型の暗号通貨マイニング装置を搭載したとハードウェア・タイムズ(Hardware Times)が報じている。
[原文:An EV company is planning a crypto-mining car that will dig for bitcoin and dogecoin while parked]
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)