自動運転車の「眼」本命はライダーかレーダーか、カメラか。サムスン出資「Oculii」の意外な選択

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オキュライ(Oculii)の画像処理レーダー製品。水平方向および垂直方向の方位分解能、同クラス製品に比較したレーダー性能の高さなどが示されている。

Screenshot of Oculii website

完全自動運転が普及するのは数年あるいは数十年先かもしれない。

しかし、その完成を待たずして、運転にかかわるさまざまなタスクを人間からコンピュータに転嫁する機能が、現行車種に次々と付加されつつある。

今日、キャデラックの「スーパークルーズ」や日産自動車の「プロパイロットアシスト」のような運転支援システムを搭載している車種は、周囲の世界を「見る」手法として、主にレーダーを活用している

レーダー……機器が発した電波の反射波を測定し、他の車両や障害物など対象の位置や速度を検知するセンサーの一種。

レーダーは安価で信頼性が高いものの、解像度の高いデータは得られない。

一方、レーザー光を利用するライダー(LiDAR)を使えばより詳細なデータを得られるが、ようやく高級車に採用されるようになったばかりの技術で、比較的値段が高くつく。

ライダー(LiDAR)……「Light Detection And Ranging(光による検知と測距)」の頭文字をとった言葉。車体の周囲にレーザー光を照射し、物体に当たってはね返ってくるまでの時間を計測することで、物体までの距離や方向を測定する技術。

ただし、常に人々の予想を裏切ってくれる米電気自動車大手テスラは、そうした技術的な流れとは別のところで自動運転開発を進めている。

最近はレーダーを捨て、カメラ中心の先進運転支援システム「オートパイロット」に開発に重点を置く姿勢を示している。

既存のレーダー技術に光を当てる

そんななか、レーダーに明確な将来の可能性を見出すスタートアップがある。米オハイオ州に拠点を置くオキュライ(Oculii)だ。

同社は、自動車メーカーが採用可能な価格レンジに抑えたままで、従来型レーダーの性能を100倍高めるソフトウェアベースのソリューションを開発している。

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オキュライのスティーブン・ホン最高経営責任者(CEO)。

Oculii

オキュライ最高経営責任者(CEO)のスティーブン・ホンは、Insiderの取材にこう断言した。

「レーダーの分解能をいま以上に向上させることは、これから検討すべき課題ではない。(すでに)現実にできることだ」

ホンCEOは、いくつものアンテナが並べられた巨大な軍事用レーダーなら超高解像度のデータを得られることを引き合いに出して次のように説明する。

「基本的には、軍がハードウェア(巨大アンテナ)を使って得ているレーダー性能を、我々はソフトウェアを駆使して実現しているということだ。軍事用レーダーを自動車に搭載できる仕様のパッケージにすることで、コストやサイズ、重量、消費電力を大幅に低減している」

オキュライは2015年創業。これまでに7610万ドル(約83億円)の資金調達に成功している。韓国サムスン電子、パナソニック、独自動車部品メーカーのヘラー(HELLA)などが出資し、オキュライのソリューションを自社製レーダーに採用する考えを明らかにしている。

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