ソニーの“1兆円半導体工場”、競争力には「国の支援」が必要な理由

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半導体ビジネスでは諸外国の後塵を拝する存在となった日本。

そんななかでも、「イメージセンサー」という特定ジャンルながら、ソニーは世界をリードする立場にいる。

正式発表はなされていないが、先日、経済産業省が音頭をとり、台湾の半導体大手で世界最先端の製造技術を持つ1社、TSMCとソニーが合弁で1兆円規模の半導体製造工場を作ると報道された。

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ソニーセミコンダクタソリューションズの清水照士社長兼CEO(撮影は2020年1月取材時のもの)。

撮影:西田宗千佳

ソニーの半導体部門であるソニーセミコンダクタソリューションズの清水照士社長は、6月3日に開かれたグループインタビューで、「記事にはノーコメント」の立場を貫いたものの、その交渉の事実関係について否定はしなかった。

興味深いのは、清水氏がインタビュー時に語った、「半導体を安定供給するには」という観点の示唆だ。そこからは「半導体の安定供給を目的に工場を作るなら、国の支援が不可欠になる」という理由も見えてきた。

事業売上に見る「ファーウェイリスク」とは

現在のソニーにとって、半導体事業は大きな柱の1つだ。ただし、その内訳は、過去と現在で大きく変わってきている。

ソニーの半導体事業のこれまでの売上高の変遷。2000年代にゲーム向けの需要が伸びたが、その後スマホ向けイメージセンサー(カメラのセンサー)が主力となって拡大した

ソニーの半導体事業のこれまでの売上高の変遷。2000年代にゲーム向けの需要が伸びたが、その後スマホ向けイメージセンサー(カメラのセンサー)が主力となって拡大した。

出典:ソニー

2000年代半ばにはゲーム向け半導体、つまりPlayStation 3という「巨大な自社向けニーズ」が支える事業だったといっていい。それが、2010年代に入ると、スマートフォンのカメラ用イメージセンサー事業が急速に伸び始めた。

ソニーはもともとカメラ用イメージセンサーに強く、ビデオカメラやデジカメ用でシェアを伸ばしてきたが、2013年以降は大半がスマホ向けとなった。特に大きいのは、iPhoneをはじめとする、高単価なハイエンドスマートフォン向けの市場だ。

ただし、この市場はスマホメーカーの出荷量に左右される部分が大きく、不安定な側面も持つ。

2011年から25年までのソニー・イメージセンサー出荷量の推移(一部予測)。2019年から21年にかけて横ばいとなったのは、いわゆる「ファーウェイリスク」が原因だ

2011年から25年までのソニー・イメージセンサー出荷量の推移(一部予測)。2019年から21年にかけて横ばいとなったのは、いわゆる「ファーウェイリスク」が原因だ。

出典:ソニー

2019年には米中摩擦の結果、ソニーの大手顧客であったファーウェイのスマホ事業からの需要が減り、半導体事業も減速を余儀なくされた。

ソニーにとっての「サムスンリスク」

イメージセンサーでは現状世界トップシェアとはいえ、ライバルの存在は大きい。

端末メーカーとしてアップルと世界トップシェアを争うサムスンは半導体でも強い。1億画素を超えるスマホ向けイメージセンサーを自社開発し、「解像度」でソニーに先行している。

もちろん、画質は解像度だけで決まるものではなく、結果としてソニーはいまも「高画質なスマホカメラのためのセンサー」でトップを走っている。

とはいえ、今後追いすがるサムスンに大手顧客をとられる可能性は否定できない。

清水氏は、「慎重に市場変化への対応を進めていくが、この市場の成長は中長期的には続く」と説明する。2021年以降の業績回復は、「ファーウェイリスク」が想定よりも小さく抑えられた結果であり、その間に顧客の多様化を進めた結果でもある。

サムスンとの競合について、清水氏は「高画素化よりも高画質化を重視していた」と認めつつ、「高画素製品も開発中。ただし、アナログな部分も含め、これまでの高画質化で培ったノウハウにより、なんらかの差別化を図る」と、対抗姿勢を見せる。

スマホ向けイメージセンサーについては、3つの方向性から収益性改善を図る

スマホ向けイメージセンサーについては、3つの方向性から収益性改善を図る。

出典:ソニー

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