2004年9月25日、ペンシルベニア州のバレー・フォージ国立歴史公園で行われたアメリカ・ナチ党の集会で敬礼するクー・クラックス・クランのメンバー。
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- 新型コロナウイルスが現れる前、アメリカの18州がマスク禁止法を制定していたが、そのほとんどは白人至上主義団体KKK(クー・クックス・クラン)への対応として採択されたものだった。
- パンデミックが始まると、いくつかの州ではマスク禁止法を廃止または放棄した。
- マスク着用の義務化が解除されつつある中、いくつかの州では長年続いてきた法律を復活させるかどうがが議論になっている。
コロナウイルスのためのマスク着用義務の期限が解除されていく中で、一部の州では、クー・クラックス・クラン(Ku Klux Klan)を抑止するために制定されたマスク禁止法を、今後どのように扱うかを検討しているとニューヨーク・タイムズ(NYT)が報じた。
新型コロナウイルスが流行する前、アメリカの十数の州で着用者の身元を隠してしまうマスクの着用を禁止する法律があったが、その多くは、白人至上主義のヘイトグループであるKKKを抑止する方法として制定されたものだった。しかし、マスクの着用義務がなくなると、この法律が復活することになるため、いくつかの州では、健康上の理由からマスクの着用を希望する人には着用を許可する方法を検討している。
学術雑誌のCalifornia Law Reviewによると、2020年11月のパンデミック以前は、少なくとも18の州でマスク禁止法が制定されていた。
AP通信によると、ジョージア州では、新型コロナウイルスの蔓延を抑えるために、パンデミックの初期にマスク禁止法を放棄し、マスク着用を認めていた。
1845年に制定された最も古いマスク禁止法を持つニューヨーク州は、2020年5月にこの法律を廃止した。
アラバマ州のニュースサイトAL.comが報じたところによると、アラバマ州のスティーブ・マーシャル(Steve Marshall)司法長官は、2020年4月、71年前に制定された同州のマスク着用禁止法は、パンデミックのために鼻と口を覆う人々には適用されないと述べた。
しかし、パンデミックのためにマスク禁止法の施行を一時停止したり免除しただけの州は、公衆衛生上の危機が弱まった後でもマスク禁止法が適用されない方法を模索している。
バージニア州のラルフ・ノーザム(Ralph Northam)州知事は、公衆衛生上の緊急事態のために免除となっていた1950年から続くマスク禁止法が、人々のマスク着用を妨げない方法を検討しているとNYTが報じた。バージニア州の緊急事態宣言は6月末で解除され、その時点でマスク禁止法が復活することになる。
ミネアポリスにあるセント・トーマス大学(St. Thomas University )の法学部の教授であるロブ・カーン(Rob Kahn)は、「マスク着用がこれほどまでに政治的な意味を持つようになった今、各州が着用義務を撤廃するのは難しいかもしれない」とNYTに語っている。
「今後も意見の相違や、マスクをめぐる対立は続くと思う。しかし、そのような対立が平和的に解決されることを願っている」
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)