イギリスのリシ・スナック財務大臣(左)とアメリカのジャネット・イエレン財務長官。
HM Treasury
- 世界の最低法人税を15%にするという「重要な合意」を、ハイテク企業も承認しているようだ。
- アメリカのジャネット・イエレン財務長官は「前例のない重要なコミットメント」と述べた。
- 「フェイスブックはG7での重要な進展を歓迎している」とバイスプレジデントのニック・クレッグはInsiderに述べた。
先進7カ国(G7)の財務大臣が2021年6月5日に世界の最低法人税率を15%にすることで合意したことを受け、世界の巨大テック企業が賛同の意を表明した。
フェイスブック(Facebook)のグローバル担当バイスプレジデントのニック・クレッグ(Nick Clegg)は、電子メールによる声明で「フェイスブックは長い間、世界的な税制改革を求めてきた。G7での重要な進展を歓迎する」と述べている。
ロンドンで発表された主要7カ国の合意は、世界の大企業が国内外での課税を逃れることを可能にしてきた、国際的な税の抜け穴を塞ぐための重要な一歩となった。
イギリス政府による公式発表では、この協定を「極めて重要な合意」と呼び、「多国籍大手ハイテク企業が、事業を展開している国で公正な税金を支払うことを意味する」と付け加えています。影響を受ける具体的な企業名は挙げられていない。
アメリカのジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官は、今回の合意は「前例のない重要なコミットメント」であると述べた。
ロンドンでの会合に参加したイエレン財務長官は「世界の最低法人税率は、企業課税の底辺での競争を終わらせ、アメリカおよび世界中の中産階級と勤労者の公平性を確保するものだ」と述べた。
スナック財務大臣(左)とイエレン財務長官。
HM Treasury
イギリスのリシ・スナック(Rishi Sunak)財務大臣は、この合意がイギリスの納税者にとって「大きな報奨」であると述べた。
アマゾン(Amazon)の広報担当者はInsiderに次のように述べている。
「我々は、多国間の解決策を生み出すOECD主導のプロセスが、国際的な税制に安定をもたらすと信じている。今回のG7の合意は、この目標を達成するための歓迎すべき一歩だ。我々は、より広範なG20と包摂的枠組み会合で議論が進むことを期待している」
グーグル(Google)の広報担当者はロイターに次のように述べている。
「我々は、国際的な課税ルールを更新するために行われている作業を強く支持する。バランスのとれた強固な協定が早期に締結されるよう、各国が引き続き協力していくことを願っている」
フェイスブックのクレッグは前述の発言に加えて「今回の合意は、企業と国際的な税制に対する市民の信頼の強化に向けた重要な第一歩だ。我々は、国際的な税制改革プロセスが成功することを望んでおり、フェイスブックがこれによってより多くの税金を、さまざまな場所で支払うことを意味することも認識している」と述べた。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen)委員長は、欧州連合は「企業課税の近代化と国際協力の強化」を推進してきたと述べた。
「この合意は公平性と公平な競争の場に向けた大きな一歩だ」
また、あまり評価しないという意見もあった。例えば、ロイターによると、貧困と不正を根絶するための活動を行っている慈善団体のオックスファム(Oxfam)は、G7の合意が「企業が容易に踏み越えられるほど低いハードルを設定している」と指摘した。
「アイルランド、スイス、シンガポールなどのタックスヘイブンの低い税率とさほど変わらない税率に設定することで、G7が『世界の税制を抜本的に改革する』と主張するのは不条理だ」
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)