- 2万4千年前のシベリアの氷の中から発見された微小生物が復活した。
- この生物は、解凍後も食べたり、繁殖したりすることができた。
- この発見は、臓器のような多細胞組織を凍結保存する方法の手がかりになるかもしれない。
ロシアの科学者が、2万4000年前のシベリアの氷の中から発見された「ヒルガタワムシ(Bdelloid rotifer)」という微生物を蘇らせることに成功した。
解凍した後、この小さな生物は、餌を与えると食べるようになった。
解凍後のワムシは、パートナーがいなくても繁殖することができたという。
これは、このような多細胞動物が、何万年もの間、氷の中で生存できることを示唆している。
この研究の著者の一人であるロシアの土壌低温科学研究所(Soil Cryology Laboratory)のスタス・マリャービン(Stas Malavin)は、ニューヨーク・タイムズに次のように語っている。
「我々は、ケナガマンモスを見た動物を蘇らせたのだ」
この研究成果は、6月7日に査読付きの学術誌「Current Biology」に掲載された。
マリャービンはInsiderにメールで次のように述べている。
「ワムシは地球上で最もタフな動物の一つで、極端な環境にも耐えることで知られている。放射線にも強く、脱水や低酸素にも耐えることができる」
オックスフォード大学でワムシの研究をしているティモシー・バラクロフ(Timothy Barraclough)教授(進化生物学)はInsiderに、「もし本当なら、これは驚くべき結果であり、ヒルガタワムシの冷凍保存記録を10年から3万年に更新することになる」と語った。
しかし、この生物が氷の中に入ったのは、2万4000年よりも前かもしれないし、後かもしれない、あるいはアイスコアが地面から取り出された後である可能性もあると指摘している。
「もう少し説得力が必要だ」と彼は言った。
ヒルガタワムシは、冷凍保存から蘇った最古の生物ではない。2018年には、線虫(nematodes)と呼ばれる寄生虫が3万年以上前の氷から蘇った。
研究を発表したプレスリリースでは「ワムシがこのような長期間の凍結に耐えることができた生物学的メカニズムを理解することは、人間の臓器などの組織をよりよく凍結させる方法を解明するのに役立つだろう」と述べられている。
マリャービンは「多細胞生物は、何千年も冷凍保存された後、再び生き返ることができるということは、多くの小説家も描いた夢の世界だ」と述べた。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)