レビューで試用した「Surface Laptop Go」。メモリー8GB/ストレージ256GBモデル。
撮影:中山智
テレワークやオンライン授業が増え、仕事からパーソナルな趣味までこなすツールとしての「快適なノートパソコン」が見直されている。
特に、いま重視すべきは「テレワーク前提の装備と性能」だ。あまり低価格なノートPCでは、マシンのパワーが足りず、作業効率も落ちてしまう。
今回は、テレワークやオンライン授業でもストレスなく使用するための基本性能「搭載メモリー8GB」を目安に、10万円台前半で購入できるマシンを3台選び、連続でレビューしていく。
今回は、マイクロソフトの「Surface Laptop Go」実機レビューだ。
使いやすい3対2の液晶ディスプレイ
3:2のアスペクト比はWebサイトや各種資料、文書ファイルの表示に便利。
撮影:中山智
「Surface Laptop Go」は、マイクロソフトが2020年10月に発売。液晶画面を開いて使う、クラムシェル型と呼ばれる一般的なタイプのノートPCだ。
液晶ディスプレイは12.4インチで解像度は1536×1024ドット。横の解像度はフルHDの1920ドットに満たないものの、画面の縦横比が3対2なので狭さはあまり感じない。
16対10や16対9といった縦横比の液晶よりも、比率的に縦長に表示できるぶん、ウェブサイトやWordなどの文章が見やすいからだ。
ネットフリックスなどで動画作品を観る場合は、全画面表示にすると上下に黒帯が出てしまうが、テレワークやオンライン授業での快適さを考えれば、この縦横比は非常に良い。
加えて、液晶はタッチ操作にも対応しており、指先などでの手書き入力ができる。書類へのサインや文章修正のメモ書きなど、最近はデジタル上で完結する手書き入力を使いたい機会も増えており、便利だ。
ただし、マイクロソフトから発売されている「Surfaceペン」には非対応なのでご注意。
タッチ操作にも対応。
撮影:中山智
静かなタイピング音のキーボード
キーボードはキーピッチが実測で17.7mmあり、画面サイズ13インチクラスと変わらない広さがある。
気になる点をあげるとすると、エンターキーなど一部のキーが小さいことと、日本語入力の切り替えがスペースキーの両隣にある[A](日本語入力オフ)と[あ](日本語入力オン)になっているところだ。
キーボードは標準的なレイアウト。
撮影:中山智
キーピッチは実測で17.7mm。
撮影:中山智
タイピングの感触は柔らかく、スペースキーなど大きめのキー以外は、入力時にあまり音がしない。よほど強く叩かない限りは静かなので、カフェでの作業や電車の中など、公共の場で使用する際にタイピング音を気にする必要がなさそう。
Deleteキーの左隣にある電源ボタンは指紋センサーと一体になっている。外出先でもセキュアであることが求められる現代、スリープ解除時にパスワードやピンを入力する必要がなくなるのは大事なポイントだ。
源ボタンが指紋認証センサーと一体型になっている。
撮影:中山智
オンライン会議には十分の性能、ファン音は少し気になる
ディスプレイ上部にウェブカメラが用意されており、解像度は720pで明るさはf2.0。ノートPCの内蔵カメラとして決して悪くはないが、特別良いというほどでもない。屋内の普通の照明でも、パッと見て画質が気になるようなレベルではない。
Zoomアプリを起動してオンライン会議をしたところ、背景ぼかしを使い画面共有をした状態でCPUの使用率は25%前後、メモリーの使用率は4.5GB前後。マシンパワーとしてはまだまだ余裕のある状態だった。
これ以外にもメモ用にWordなどを使用したり、画面録画を行っても問題なさそうだ。
Zoomで背景ボカシを使い画面共有をした状態のシステム稼働率。
撮影:中山智
ただし、気になるのはファンの音。Zoomを使用した瞬間からファンが常時高速で回り始め、かなり気になる。ただ、Zoom自体に自動でノイズをカットする機能があるため、相手にはファン音があまり聞こえなかったようで、Zoom利用は特に問題はなかった。
4K動画編集は「書き出し処理」が苦手、実時間の約5倍かかる
動画エンコード時、CPUは半分ぐらいの稼働率だが、GPUは100%に貼り付いた状態。これでも、書き出しには実動画のざっくり5倍の処理時間がかかった。
撮影:中山智
最近はレポートやプレゼンに動画を使うことも多く、動画編集にまつわる性能も気になる。
アドビの「Premiere Pro」で動画編集をテストしたところ、作業自体は特にストレスがなく、素材として4K動画を読み込んで作業しても問題なかった。
一方で、処理能力勝負になる「書き出し」はかなり時間がかかった。電源アダプターを接続して、「最も高いパフォーマンス」の状態でも、9分31秒分に編集した4K動画をフルHD(H.264)へと書き出すのに52分20秒かかった。動画再生時間のざっくり5倍かかったことになる。
この理由は、最近の動画編集ソフトはPremiere Proをはじめ、CPUではなくGPUで動画のエンコードを行うソフトが多いからだろう。
Surface Laptop Goに搭載されている第10世代のCore i5は、内蔵GPU(インテル UHDグラフィックス)がそういった動画エンコード作業に向いておらず、あまりパワフルではないためエンコードに時間がかかってしまっている。
ちなみに、デジカメなどからのSDカードの読み込みは別途アダプターが必要。
撮影:中山智
USB PDの充電にも対応しモバイルにもピッタリ
本体サイズは約278.18(幅)×205.67(奥行き)×15.69(高さ)mm。重さは約1.11kg。カバンに入れて持ち歩いても苦にならない大きさと重量だ。
USBは本体左側面にUSB Standard-A、USB Type-Cがそれぞれ1つずつ。さらに3.5mmのイヤホンジャックが配置されている。
USBはUSB-AとUSB-C、それぞれ1つずつ。
撮影:中山智
充電は本体右側面にある専用のSurface Connectを使用。付属する39Wの電源アダプターを使って充電を行う。
ただし、MacBook Airなどと同様にUSB Type-C端子からの充電も可能だ。テストしてみたところ、手持ちのUSB PD対応の60W出力、45W出力それぞれの充電器でも充電できたほか、18W出力のモバイルバッテリーでも充電できた。
充電は専用のコネクターを使う。
撮影:中山智
そのため外出時は付属の電源アダプターを持ち歩くのではなく、USB PD対応の社外品の充電器を持ち歩けば、スマートフォンの充電などとも共用できて便利だろう。
注意したい点としては、付属の充電アダプターが39Wのため、それ以下の出力の充電器では、使用しながら充電してもバッテリー残量が増えない可能性がある。
最大18W出力のUSB PD対応モバイルバッテリーでも充電状態にはなった。
撮影:中山智
まとめ:性能は十分、メモリー8GB・SSD256GBモデルを
動画編集を除けば、テレワークやオンライン授業などの作業をストレスなくこなせるほどパワフルで、液晶ディスプレイの縦横比も3対2と使いやすい。
マイクロソフト製PCとしては低価格帯のモデルで、CPUには十分な処理性能を持つ第10世代のCore i5を採用している。最廉価モデルは8万4480円から購入可能だが、その場合メモリーは4GBしか搭載されていない。
推奨したい「メモリー8GB」のモデルの場合、内蔵ストレージ128GBだと10万2080円、ストレージを256GBに増やすと12万6280円(いずれも税込)になる。
試用機は内蔵ストレージが256GBのモデル。初期起動時の使用領域は42GBで、空き領域は195GBだった。
廉価な128GBモデルも同じ使用領域だとすると、空き領域は約86GBなので、データの保存容量としては心許ない。やはり、一般的には256GBモデルをオススメしたい。
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(文、写真・中山智)