メガロドンの想像図。
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- 最新の計算式で推計すると、メガロドンの全長はこれまで考えられていたよりも大きい可能性がある。
- 高校生らがこれまでの計算式で推計を行ったところ、不正確だと分かったことから、研究者は新しい計算式を考え出した。
- それによると、ホホジロザメの4倍に相当する18から20メートルだったと推定された。
長年、メガロドンの体長は歯の長さに基づいて推計されてきた。だが高校生の校外学習がきっかけで、これまでの計算式が正確ではないことが分かった。
これを受け、研究者らは新たな計算式を開発し、メガロドンの平均的な体長を約20メートルに計算し直した。これまでの推計値である15から18メートルに比べて10%ほど大きいことになる。ホホジロザメは4.5メートル前後に成長することから、メガロドンはその4倍の大きさというわけだ。
この新たな推計値についての論文が、2021年6月7日に古生物学の学術誌『Palaeontologia Electronica』に掲載された。
新たな計算式は「多くの問題を抱えていると思われる」従来の計算式よりも優れているとチューリッヒ大学のメガロドン研究者、カタリナ・ピミエント(Catalina Pimiento)博士はInsiderに述べた。彼女は今回の研究には参加していない。
2002年以降「疑いなく受け入れられていた」計算式
メガロドンは、2300万年前から360万年前ごろまで生息していたサメの一種だ。
他のサメと同様に、メガロドンの骨格も主に軟骨でできているため、体の化石はほとんど残っていない。残っているのは歯とわずかな脊椎骨で、科学者らはそこから体の他の部分の特徴を推定している。
2002年以来、メガロドンの体長については、歯の縦の長さから計算するのが一般的だった。しかし、カリフォルニアからフロリダ自然史博物館を訪れた高校生らの校外活動によって、その計算式は覆されることになった。
高校生らは、博物館に収蔵されているメガロドンの歯のレプリカを使って、体長を計算するように指示された。すると、彼らは同じサメのはずなのに12メートルから45メートルと大きく異なる複数の推計値を導き出したのだ。
「本当に驚いた」と論文に関するプレスリリースで述べたのは、今回の研究を主導した、当時は博士課程の学生で、現在はメリーランド州カルバート海洋博物館の古生物学アシスタントキュレーターのビクター・ペレス(Victor Perez)だ。
「多くの人が2002年に発表された論文の計算式を、疑うことなく受け入れていたのだと思う」
歯の幅に着目した新たな計算式
ペレスは、同僚の研究者ロニー・マイク・レダー(Ronny Maik Leder)と協力して、サメの体長を推計する新たな計算式を開発した。今度は、歯の幅から顎の大きさを割り出したのだ。
「これまで誰もこの手法を思いつかなかったことにとても驚いた」と、現在ドイツのライプチヒにある自然史博物館の館長を務めるレダーは、プレスリリースで述べている。
ペレスによると、この手法を最大の個体に適用した場合、3メートル程度の誤差が生じることがあるいう。とはいえ、メガロドンがこれまで考えられていたよりも大きなサイズに達する可能性があることが示唆されたと、ピミエントは述べている。ただし、ピミエントによると、この新たな手法にも限界があり、歯が顎のどの場所にあったかによって、計算結果が違ってくるため、誤差が生じる可能性があるのだという。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)