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元テスラ事業責任者が生んだ「配電盤2.0」家庭でのEV充電が革命的に手軽に

配電盤 パネル スパン Span

元テスラ事業責任者が家庭の電力のあり方を変えるソリューションを生み出した。

Span

電気自動車(EV)に対して、日に日に大きな期待が寄せられている。しかし一方で、EVの販売を拡大していく道筋には大きな障壁が横たわっている。

最大の問題の1つは、航続距離に関する懸念だ。EVが基本性能としてどのくらいの距離を走れるかというだけでなく、充電にどのくらいの時間がかかるのか、充電スポットはどこにあるのか、購入する側からの疑問は尽きない。

バイデン政権は充電ステーション増設のための資金拠出を提案しているし、チャージポイント(ChargePoint)のように充電スポットをオフィス敷地に設置する取り組みを進めている民間企業もあるが、何にせよ現時点では、充電のほとんどが各家庭で行われている。

米エネルギー省の調べによれば、自宅充電の割合は80%超にも達する。

米デューク大学ニコラス環境スクール(専門職系大学院)のティモシー・ジョンソン教授はこう指摘する。

「ガソリン価格がひどく安くなるか、あるいは電気料金がひどく高くならない限り、ガソリン車を燃料満タンにするよりはEVを満充電にするほうが安く済む」

ただし、自宅での充電は、壁のコンセントにプラグを差し込むだけといったシンプルな仕組みにはなっていない

ガソリンスタンドでの給油からコンセントでの充電に切り替えれば、家庭の消費電力量が増え、契約先の電力会社によっては必要以上の料金を支払わねばならなくなるケースもある。

アマゾンも早い段階で支援

そうした課題意識をもとに、サンフランシスコに拠点を置くあるスタートアップが、EV充電を含む家庭内のさまざまなコンセントを集中管理する「スマート」モニタリングシステムを開発した。

スパン(Span)」がそれ。従来型のブレーカースイッチに替えて洗練されたスタイルのパネル(配電盤)を設置し、アプリベースで制御を行うソリューション。電力版の「ネスト(Nest)サーモスタット」(=グーグル製の温度自動調節器)のようなものだ。

スパン Span アプリ

「スパン(Span)」のパネルは、家庭内のさまざまな家電や配線回路に流れる電力量を測定・制御することで、必要とする電力量に応じて優先順位をつけることが可能になる。

Span

EV世界最大手テスラの元エネルギーストレージ事業責任者で、スパンを創業したアーチ・ラオは、Insiderの取材にこう語る。

「従来の電力会社のモデルでは不十分。われわれが解決しようとしている問題はそこにある」

スパンにはアマゾンが注目して主要な投資家として名を連ねるほか、2014年にグーグルに買収されたネストの創業者マット・ロジャースも支援。2021年1月に約2000万ドル(約22億円)の資金調達を発表し、累計調達額は4400万ドル(約48億4000万円)となった

同社のスマートパネルを使うと、家庭における電力負荷をより効率的にマネジメントすることができる。また、環境への配慮を最大限優先したい家庭向けに、太陽光発電を活用するオプションも用意されている。

「われわれがパネルにこだわる理由は、あらゆるデバイスがそこに集約されているからです。では、あとは何を解決したらいいのか。それは、インテリジェントな制御。従来の配電盤ではそうしたことはできなかった」(ラオ)

スパンのスマートパネルは(配電会社などが運営する)電力網から給電を受け、Wi-Fiルーターと同じように家庭内の各所に配電する。

また、家庭内のさまざまな家電や配線回路に流れる電力量を測定・制御し、必要とする電力量に応じて優先順位をつけることもできる。

この機能のおかげで、電気自動車(EV)を充電する際に、電力負荷を分散させてバランスをとるのが容易になる。要するに、電気をあまり使わない夜間など、家庭にとって最も都合の良い時間帯をパネルが選んで、EVを充電してくれるのだ。

スパンのテクノロジーは、電気を使う上での新たなアプローチを家庭にもたらすだけでなく、事前にあれこれ考えなくても自宅でEVを充電できるということを広く伝えることにもなる。

スパンを導入することで、充電ステーションまでEVを運転して行って、満充電になるまで待つ必要はなくなる。EVを家庭や日常生活の一部として取り込むのが同社の狙いでもある。

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