テストに使用したAmazon限定モデルの「LG Ultra PC(Ryzen 7 4700U/16GB/512GB)」。
撮影:小林優多郎
テレワークやオンライン授業でもストレスなく使用するためのスペック「メモリー8GB」を目安に、10万円台前半で購入できるノートパソコンをピックアップする連続実機レビュー企画。
前回に続き、2機種目はLGエレクトロニクスの「LG Ultra PC」(Ryzen 7 4700U/16GB/512GB)を紹介する。
980gと軽量でUSB PDでの充電にも対応
重さは約980g。大きさとのギャップも相まって、片手で持つとかなり軽く感じる。
撮影:小林優多郎
LG Ultra PCは、CPUにインテル製ではなく、AMD製の「Ryzenシリーズ」を搭載した13.3インチ(1920×1080ドット)のISP液晶を搭載したノートパソコン。
本体サイズは約306.9(幅)×206.7(奥行き)×15.3(高さ)mm。重さは約980gと軽量だ。
実際に持ってみると、見た目の印象より軽く感じる。カフェや屋外で作業をするため、持ち運びが多い人にとって軽さは重要だ。
最大18W出力のモバイルバッテリーでも充電状態にはなったが、入力が足りていないという通知も表示された。
撮影:中山智
付属する充電アダプターは専用端子だが、USB Type-Cを使ったUSB PDでの充電にも対応。
別途USB PD対応充電器を購入すれば、付属の充電アダプターを持ち運ぶ必要もなく、スマートフォンの充電などにも使える。
付属の充電アダプターはケーブルが長く大きめなので、持ち運び時は別途USB PD対応の充電器を用意したほうがいい。
撮影:中山智
ただし、付属の充電アダプターは出力が65Wのため、それよりも低出力の充電器やモバイルバッテリーでは、PCを使用しながら充電してもバッテリー残量が増えない場合もあるのでご注意を。
また、Type-Cからの給電にも対応しているが、出力は最大15Wとなっている。
インターフェースは左側面に電源とUSB Standard-A、Type-C、HDMI出力端子を配置。右側面にはUSB Standard-Aと3.5mmイヤホンジャック、microSDスロットが用意されている。
左側面には電源とUSB Standard-A、Type-C、HDMIがある。
撮影:中山智
軽量コンパクトサイズながら、HDMIとmicroSDカードを装備しているので、別途アダプターを用意することなく、プロジェクターに映像を出力したり、デジカメなどのデータを取り込める。
間隔に余裕があるタイピングしやすいキーボード
標準的なキーボードレイアウト。
撮影:中山智
キーボードは標準的なレイアウトで、アルファベットなどメインのキーはキーピッチが19.05mmと余裕があるため、13インチクラスながらタイピングしやすい。
キーボードにはバックライトも搭載されているので、暗い場所でも見やすくなっている。
メインで使用するキーのキーピッチは約19.05mm。
撮影:中山智
キーストロークは1.5±0.2mm。タイピング音もあまり響かず静かなので、よほど強くキーを叩かなければ、タイピング音を気にする必要はなさそうだ。
気になったのは電源ボタンの位置。キーボード右上でDeleteキーの右、BackSpaceキーの上に配置されていること。
また、キーボード右側の「@」など一部のキーは小さいので、慣れるまではミスタイプしそうだ。
バックライト機能を装備。
撮影:中山智
指紋認証センサーは非搭載で、Windows Hello顔認証も利用できない。
起動時やスリープからの解除時はキーボードでのパスワードもしくはピン入力が必要となるので、生体認証での起動に慣れている人には手順がやや億劫(おっくう)に感じるかもしれない。
ウェブ会議はなんなくこなせる
ウェブカメラはディスプレー上部に配置。
撮影:中山智
ウェブカメラはディスプレー上部に配置されており、解像度は720p。
ノートパソコン内蔵のウェブカメラとして決して悪くはないが、特別良いというほどでもない。ただ、屋内程度の照明でも、パッと見で画質が気になるようなレベルではない。
Zoomで背景ボカシを使い、画面共有をした状態のシステム稼働率。
筆者によるスクリーンショット
Zoomのオンライン会議をスタートすると、冷却用のファンは回り始めるが、あまり気にならないレベルだった。それに、Zoomにはノイズをカットする機能(「背景雑音を抑制」設定)もあり、相手側にはほとんど聞こえない。
ただし、「背景雑音を抑制」の自動設定にした場合、発話時にキーボードやタッチパッドのクリック音をかなり拾ってしまう。
動画書き出し時もマシンパワーには余裕あり
動画エンコード時、CPUは半分ぐらいの稼働率だが、GPUは数%と余裕がある。
筆者によるスクリーンショット
最近はレポートやプレゼンに動画を使うことも多く、パソコンで動画編集を行うユーザーも多い。
AdobeのPremiere Proで動画編集をテストしたところ、作業自体は特にストレスなかった。
素材として4K動画を読み込んで作業しても問題なし。電源アダプターを接続して、「最も高いパフォーマンス」の状態で、9分31秒分に編集した4K動画をフルHD(H.264)へと書き出すと17分36秒かかった。
書き出し時間は、モバイルパソコン向けのプロセッサーを搭載したモデルとしては健闘しているほうだ。
書き出し中のCPU使用率は50%前後で推移しており、メモリーやGPUの使用率も余裕があるので、ほかの作業もストレスなく行える。
右側面にはUSB Standard-Aと3.5mmイヤホンジャック、microSDスロットがある。
撮影:中山智
microSDカードを使って、アダプターなどを使わずにデジカメなどのデータを保存できる。ストレージは512GBで空き容量にも余裕があるので、外付けのストレージなどを用意する必要もない。
まとめ:メインマシンとして十分使える
本体カラーはホワイトでシンプルなデザイン。
撮影:中山智
LG Ultra PCは2021年2月にリリースされ、搭載するプロセッサーやメモリー、ストレージ容量の違いで複数のモデルが用意されている。
今回はその中でも、Amazon限定販売で、MSオフィスが付属しないモデル(本体価格12万9800円、税込)を選択した。基本スペックはRyzen 7 4700U、メモリー16GB、内蔵ストレージ512GBとなる。
パワフルなプロセッサーで、メモリーも多くストレージの空き容量にも余裕がある。さらにUSBはType-A、Type-C合わせると3つあり、HDMIやmicroSDスロットなど、周辺機器との連携もバッチリ。
13.3インチと小型なのでモバイルはもちろん、外部モニターと組み合わせることで、メインマシンとしても問題なく使える。「LG UltraPC」は、パソコンはこれ1台でという要望にピッタリのモデルだと言える。
注:この記事では、Business Insider Japan編集部がお勧めの製品を紹介しています。リンクを経由してアマゾンで製品を購入すると、編集部とアマゾンとのアフィリエイト契約により、編集部が一定割合の利益を得ます。
(文、撮影・中山智)
中山智:海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。