市場価値右肩上がりの「SAPコンサルタント」とは? アクセンチュアの人材育成
どんな働き方をしたいのか、仕事でどのように活躍したいのか…。ワークスタイルが多様化するなかで、自身のキャリアプランを見直したいと考えるビジネスパーソンが増えています。
自分の可能性を広げ、継続的なキャリアアップを⽬指すなら、⾝につけたいのが他に負けない確かなスキル。そこで今注目されているのが「SAPコンサルタント」の職種です。
企業のデジタル変革が進み、DXを推進するSAPコンサルタントへの需要は高まる一方で、人材が不足しているのが現状。そのため、多くの企業から引く手あまたで市場価値が高く、転職する際にも有利と言われています。
さらに、大企業のビジネス変⾰の根幹にグローバルレベルで関われるという仕事の魅力もあり、キャリアの可能性を広げたいと考えるビジネスパーソンにとって、SAPに関連した知見や技術は今後身に付けたい非常に有意義なスキルなのです。
そんな中、SAP領域でグローバルでもトップと位置付けられる『アクセンチュア』では、どのようにSAP人材を採用し、育成しているのでしょうか。
アクセンチュアで長いキャリアを重ねるSAPのスペシャリストと、転職して約1年の若手の2組にお話を伺いました。
多様なキャリアパスとグローバルなネットワークに魅力を感じて
はじめにお話を聞いたのは、2020年5月に入社した小川さんと、SAP歴15年のキャリアを持つ前田さん。 SAPの会計業務に携わるおふたりです。
(写真左)アクセンチュア株式会社 テクノロジー コンサルティング本部 シニア・マネジャー 前田さん /(写真右)アクセンチュア株式会社 テクノロジー コンサルティング本部 小川さん
──まず、「SAP」について簡単に教えてください。
前田さん(以下、前田):一般的に「SAP(エスエイピー)」とは、企業の根幹をなす受発注や財務会計、管理会計などの業務において必要な情報をインプット、アウトプットできる情報システムのことをいいます。そのため、SAPは、 企業にとって当然必要な「ITインフラ」としての役割を果たしていると考えています。
刻々と変化する社会情勢や経済のなかで、つねにお客様が欲しい情報をキャッチし、業務の効率化を図るための最適なソリューションを提案することが、SAPコンサルタントの役割です。
手前味噌ですが、SAP領域でアクセンチュアの技術力は一番といっても恥ずかしくない絶対的な強さがあると思います。
アクセンチュアがお客様に必要とされるのは、特にSAP案件においては大規模かつ難易度の高いプロジェクトをグローバルで手掛けなければならないときであり、そのように社会的にも認知されていると自負しています。
小川さん
── 小川さんは昨年アクセンチュアに中途入社されたとのことですが、現在どのような業務に携わっているのですか?
小川さん(以下、小川): 現在は「2025年の崖」問題に向けたソリューションとなる最新のERP製品「SAP S/4 HANA(エスエイピー・エスフォー・ハナ)」導入プロジェクトで、MDG(Master Data Governanceの略、マスタデータ管理ソリューションのこと)を担当しています。
日本ではまだ導入事例の少ない先進的なソリューションですし、SAPの経験があるとはいえ、前職で携わっていた運用保守とはフェーズがまったく異なるため、学びの多い毎日を送っています。
──なぜSAPコンサルタントというキャリアを選んだのでしょうか。
小川: 前職で3年ほどSAPの運用保守業務に携わっていたのがきっかけです。SAP導入後にお客様が直面する課題を身をもって経験してきたので、その知見を生かしつつ、SAP導入の上流工程を経験してキャリアの幅を広げたいという思いから、SAP導入コンサルタントとしての転職を考えるようになりました。
SAP導入コンサルタントとして働くなら、そのトップランナーであるアクセンチュアは誰もが憧れる存在ではないでしょうか。
学生時代、スペインに留学したことがあり、海外を飛び回って仕事をしたいとも思っていたので、アクセンチュアであればグローバルな仕事ができるのではと思い、エントリーしました。
──入社され、実際に働いてみてどうでしたか?
小川:転職して間もなく、海外メンバーと協業するプロジェクトに参画することができました。MDGは国内有識者が少ないモジュールなので、そのプロジェクト上で必要となる知見を持つアクセンチュアの海外拠点のプロフェッショナルと協力しながら、二人三脚でプロジェクトを推進しています。
プロジェクトを進めるなかで大きな仕様変更が発生し、お客様と海外メンバーとの間で板挟みになり苦労することもありましたが、一つ一つの課題に対してメンバーと丁寧にコミュニケーションを重ねることで、お互いに協力してミッションを遂行することができました。また、その際は他のプロジェクトで海外メンバーと協業した事例等も大いに活用させていただきました。
グローバルでのネットワークを活かして、海外の先進的な事例を取り入れながらお客様に価値貢献ができることは、グローバル企業であるアクセンチュアの強みだと実感しました。
実は、入社前は外資系のコンサルティング会社はドライなのではないか?というイメージを持っていたんです(笑)。しかし、いざ入社してみたらまったくそんなことはなくて、むしろサポートの厚さに驚いたほど。
個人の成長意欲も高いですが、組織や会社がその意欲を後押ししてくれる。その人が思い描くキャリアプランを叶えるために、さまざまな提案やアドバイスを受けることができます。
前田さん
──小川さんの採用面接では、前田さんが面接官だったそうですね。
前田:はい、そのときのことはよく覚えています。小川さんの第一印象は「超真面目(笑)」。とても控えめに見えましたが、内に秘めたパッションのようなものを感じました。
次世代を担える人材になるはずと直感したので、人事に「小川さんの採用が決まったら、真っ先に私に連絡をください」と伝えました。
アクセンチュアでは、社員一人ひとりに「ピープルリード(旧称:キャリアカウンセラー)」がつき、メンターとして、コーチとして、時には代弁者として、相談に乗ったりアドバイスをしたりしながら一人ひとりのキャリア構築や成長の支援をします。私は小川さんのピープルリードをさせてもらっています。
──小川さんには、どのようなアドバイスをしたのでしょうか。
前田:入社時は、私が携わる「管理会計」のチームに迎えたいと思っていましたが、「ゆくゆくは海外で仕事をしたい」という夢を持っていることを知り、だったら私の領域ではなく「財務会計」のほうがいいだろうとアドバイスしました。
小川:自分のキャリアについてそこまで考えて提案してくれたことに、衝撃を受けると同時にありがたいと感じました。
結果的に別のチームですが、私のやりたいことを日々親身にサポートしてくれて、会計に関する専門領域として学ぶべきことも教えてもらっています。
前田:自分の部署であろうが隣のチームであろうが、モチベーションや高いスキルを維持するために、ワンチームでSAPに取り組むという姿勢は変わりません。
SAPの領域はもちろんですが、アクセンチュアという組織全体がワンチームという意識を持っていると思います。
社内の教育制度としても、新卒、第二新卒、中途と、それぞれの入社形態に応じたトレーニングコースが揃っています。それに加えて、その人に必要と思われるスキルのトレーニングをピープルリードと一緒に選ぶこともできます。
人材育成の環境は整っていますし、すでに経験のある社員たちも隙あらばブラッシュアップしていこうという高い意識を持っていますね。
──小川さんもトレーニングを受けられたんですか?
小川:私はまず第二新卒として、入社後1カ月弱のトレーニングを受けました。内容はITコンサルタントとして必要となる議事録の書き方やお客様との話し方、プレゼンやミーティングの進め方といったベーシックなものです。
その後、先ほどお話ししたプロジェクトに参画することになったので、財務会計のリスキルトレーニングはちょうどこれから受けるタイミング。そんな柔軟な計らいもアクセンチュアならではだと思います。
──小川さんをはじめ、転職されてくる人にはどのような活躍を期待しているでしょうか。
前田: 彼について言えば、グローバルで活躍したいという自分が望む働き方をアクセンチュアで存分に叶えてほしいですね。そしていつか「ミスターグローバルロールアウト」と言われるような、「グローバルっていったら小川さんでしょ」という人材になってほしいし、なると信じています。
アクセンチュアは、高い技術力はもちろん圧倒的な組織力を誇る会社です。
ですので、これから転職されてくる方に関しては、あきらめないで物事に取り組む気持ちがあればサポートはいくらでもできるので、ワンチームとして一緒に業界を牽引していけたらと願っています。
学びの環境と、常に新しいことに挑戦する機会が用意されている
次に登場してくださったのは、2020年6月に入社したケンさんと、採用面接時に面接官を務めた入澤さん。
(写真左)アクセンチュア株式会社 テクノロジー コンサルティング本部 プリンシパル・ディレクター 入澤さん /(写真右)アクセンチュア株式会社 テクノロジー コンサルティング本部 ケンさん
──これまでのご経歴と、アクセンチュアへ転職したいと思われた理由を教えてください。
ケンさん(以下、ケン):前職では企業のIT部門におり、クライアントとしてコンサルティングを受ける立場でした。
新しいSAPソリューションの導入にあたり、1年ほどインドのアクセンチュアチームとプロジェクトに関わるなかで、アクセンチュアの働き方やSAP開発、コンサルティングという仕事に興味を持ち、アクセンチュアの日本法人に転職しました。
現在はSAPの基幹システムのアプリケーション開発を主に担っており、AI、機械学習やブロックチェーンなどの技術も取り入れています。前職において、また転職活動中にさまざまなコンサルティング会社と関わりましたが、SAPの技術力の高さはアクセンチュアが一番だと感じていました。それは正解でしたね。むしろ想像以上でした。
オーストラリアも含めたアジア太平洋地域のなかでも、アクセンチュアジャパンはとくにITに強いので、これからグローバルなプロジェクトもどんどん増えてくると思います。それも私にとっては魅力的でした。将来的には別の国のオフィスで働くことも視野に入れています。
自分のやる気と努力次第でいろいろな学びにも挑戦できて、仕事の経験も積むことができる会社は特別ではないでしょうか。そこはアクセンチュアで働く一番の強みだと考えています。
ケンさん
──ケンさんにとって、入澤さんはどのような存在ですか?
ケン:前職でSAP経験があったとはいえ、クライアントとして関わるのとコンサルタントとして従事するのでは大きく異なります。また、入社して以来、コロナ禍で出社もままならず、やり取りはすべてオンライン。そのなかでどのような学びが得られるのかということも不安でした。
こうした状況下で入澤さんの存在はとても大きなものでした。私にとって「こんなキャリアを歩みたい」と思わせてくれるロールモデル。常に新しいことに挑戦する機会と場を与えてもらえることもありがたいと思っています。
──新しいことに挑戦する機会としてケンさんをSAPのコンテストに誘ったそうですね。
入澤さん(以下、入澤):はい。アクセンチュアジャパンとして、SAPの「Innovation Awards」というグローバルコンテストに参加したのですが、僕がケンさんを指名しました。
僕は彼の採用面接で面接官を務めましたが、そのときに「この人とだったら一緒に仕事をしたい」と思いましたし、彼なら新しい風を吹かせてくれそうだなと感じました。
コンテスト参加に指名したのも成長を見込んでのことです。メンバーでは一番の若手でしたが、よくがんばってくれましたね。
コンテストで発表した内容は、成功事例として社内に共有したり、それをベースに広げてどうビジネスへ展開するかを検討したりする材料として活用することもあります。未来のお客様の課題解決までを見据えてコンテストに取り組むことは、大きな学びにつながります。
今、彼に担当してもらっているのは新しいテクノロジーを活用した業務アプリケーションの構築ですが、今後そこを軸にして自分の強みを広げ、できることを増やしていってほしい。
その道のエキスパート、スペシャリストとして活躍してほしいですね。
入澤さん
──入澤さんは社内トレーニングを推進する役割も担っているそうですが、アクセンチュアのSAPトレーニングについてお教えください。
入澤: 新卒向けに「SAPとは」から始まって、SAPコンサルタントの資格を取るためのトレーニングもありますし、中途採用の入社者向けに最新のソリューションやテクノロジーのノウハウを習得するためのプログラムもあります。
私がSAPに携わるようになった15年前はクラスルーム形式のトレーニングが主流でしたが、現在はオンラインラーニングプラットフォームを社員に提供したり、オンラインの勉強会を録画・共有して社員が興味のあるテーマやトピックを好きな時間に視聴したりできるよう環境も整えました。
また、トレーニングのために用意したプログラムはもちろん、社内で蓄積された国内外の事例からも多くのことを学ぶことができるんです。
何か疑問にぶつかったとき、まわりのチームに投げかけると、その日のうちに何らかの解決の糸口を示してもらえる。社内には各分野のエキスパートがいて、助け合いながら進めていくという文化がアクセンチュアにはありますね。
ケン:私も2カ月のリスキルトレーニングを経て、プロジェクトの実務に関わるようになりました。そのプロジェクトのあとに、先ほど話したコンテストに参加しました。
──今後、どんな人に SAPキャリアにチャレンジしてほしいですか?
入澤:SAPの仕事は、お客様のビジネスの本質をとらえながら、ビジネス戦略の実現を支えるソリューションの提案・構築をしますが、そこはあくまでも出発点。
絶え間なく変化するビジネス要求に即時対応できるようなスピードやパフォーマンスを発揮できるような「生きた仕組み」を継続して構築する能力が求められます。
そのようななかで優れたSAP人材として活躍するためには、自分の専門性に磨きをかけることがカギだと考えます。
コンサルタントスキルやITスキルを身につけてキャリアを構築したいと考える人にとって、SAPはとてもいい武器になることは間違いありません。お客様のビジネス戦略の実現に取り組みながら、自分のキャリアをうまくドライブするための道具としてもSAPは有効です。
SAPの経験がなかったとしても、ぜひチャレンジしてほしいですね。
アクセンチュアのSAP人材に求められるのは、「キャッチアップのスピード」。トレーニングや、社内で蓄積された膨大なナレッジをすぐに吸収し、ご自身の武器として生かしてほしい。そのためのサポートはいくらでもしたいと思っています。
ITコンサルティングのなかでも、ますます市場価値を高めるSAP。目まぐるしく変化する社会や経済のなかで、時代を見据え、クライアントが欲しい最新の情報を察知し、大企業のビジネス戦略実現を目指して伴走するには、多くの能力が求められます。
しかし、そんな環境に身を置くことで、自分の可能性が広がることも確か。アクセンチュアで大きな一歩を踏み出した小川さんとケンさんが、自身のキャリア構築の手段と決めた「SAP」について知識を深めることは、どのビジネスパーソンにとっても有意義なことではないでしょうか。
"lifehacker"より転載(2021年6月11日公開の記事)