フロリダのディズニー・ワールドの建物は、蚊が巣を作らない設計になっている。
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- TikTokのある動画はディズニー・ワールドには蚊がいないと主張して、再生回数150万回以上を記録している。
- フロリダのディズニー・ワールドは「広範囲にわたる蚊の発生予防と監視のプログラム」があると述べている。
- この対策には、ニンニク・スプレーやニワトリも含まれている。
ディズニー・ワールド(Disney World)には蚊がいないと主張しているTikTokの動画が話題になっており、どのように蚊を抑えているのか、その方法にも注目が集まっている。
その動画は6月6日(現地時間)、TikTokerのマイケル・マクブライド(Michael McBride)が投稿したもので、再生回数150万回(本稿執筆時点)。その中でマクブライドは、ディズニー・ワールドの蚊対策について記された字幕を掲示している。
マイケル・マクブライドのTikTok(左)。ディズニー・ワールド、2014年撮影(右)。
@idea.soup/TikTok; Matt Stroshane/Walt Disney World Resort via Getty Images
@idea.soupのアカウント名のマクブライドは、「ディズニー・ワールドには蚊がいない。フロリダの湿地帯の真ん中にあるというのに」という字幕を付けた。
「ディズニーは、ゲストの体験を台無しにするようなことはしたくない。だから、蚊監視プログラム(Mosquito Surveillance Program)がある」
ディズニー・ワールドのFAQ(よくある質問)ページでは、スタッフがどのようにパーク内の蚊を管理しているかについて回答している。ウェブサイトによると、「パーク内には広範囲にわたる蚊の予防と監視のプログラムがある」という。FAQページには具体的な対策は書かれておらず、カリフォルニアのディズニーランド(Disneyland)のウェブサイトには、蚊についての情報は出ていない。
ディズニーの歴史家やファンによると、フロリダのディズニー・ワールドは、意図的な設計の建物や水路によって、蚊を寄せ付けないことで知られているという。
噴水やトンネルは常に水が流れており、蚊が発生するのを防いでいる
ディズニー・ワールドのショッピングモール、ディズニー・スプリングス(Disney Springs)では噴水を使って水を循環させている。2019年3月。
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1964年、フロリダに新しく作るリゾートの蚊を最小限に抑えるため、ウォルト・ディズニー(Walt Disney)は元陸軍将校でエンジニアのウィリアム・「ジョー」・ポッター(William "Joe" Potter)を雇った、とディズニーの公式ファンクラブ「D23」のウェブサイトには記載されている。
ポッターは以前、パナマ運河地帯で働いており、ディズニーに対して「いくら費用がかかってもパーク内の水は動かし続けなくてはいけない。そうでなければ、蚊が卵を産むからだ」と述べたとディズニーに関する歴史家で『Top Disney』の著者、クリストファー・ルーカス(Christopher Lucas)は2月、オーランド・センチネル(Orlando Sentinel)に語った。
「多くの人がマラリアで亡くなったパナマ運河地帯で彼が学んだことは、水を放置すると問題が起こるということだった」とルーカスは語った。
「彼はウォルトに対し、何をするにしても水があるところはどこも、流れているか、動いているか、とにかく淀んでいない状態にしなければならない、そうしなければ蚊が増えることになると主張した」
ポッターはまず、ディズニー・ワールドのマジック・キングダム・パーク(Magic Kingdom Park)周辺の沼の水を、「ジョーの溝」と呼ばれる一連のトンネルを使って抜いたとD23は伝えている。
現在、パーク内の水は水路や噴水によって循環している、とルーカスは2019年、リーダーズ・ダイジェスト(Reader's Digest)に語った。
建物や庭園は水が溜まらないようになっている
ディズニー・ワールドの建物は、見た目が美しいだけではなく、蚊に対抗できるようにも設計されている、とルーカスはリーダーズ・ダイジェストに語った。
「パーク内のすべての建物を曲線状にしたり、水が溜まって淀むところがないように設計している」
さらに、ディズニーの造園家は、水が溜まりにくい植物や花を優先し、池には蚊を食べる魚を入れているとも述べている。
ディズニー・ワールドで行われたエプコット・インターナショナル・フラワー&ガーデン・フェスティバル(Epcot International Flower and Garden Festival)。2016年5月。
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天然の忌避剤として、ニンニク・スプレーを使用している
また、ディズニー・ワールドは天然のニンニク・スプレーを使用して、蚊を追い払っているという。
「使用量は人間には匂いが分からないほどわずかだが、蚊にはとても効果がある」
ウォルト・ディズニー・ワールドの土地を管轄するリーディ・クリーク改善地区(Reedy Creek Improvement District)が発行した2019年の年次総会レポートによると、蚊取り器も採用している。2018年5月から2019年5月には、パーク内に2000個以上置いたとレポートは報告している。
ニワトリも役に立っている
また、同レポートによると、蚊の監視にニワトリを活用しているという。
ニワトリは、蚊を媒体とするウエスト・ナイル・ウイルス(West Nile virus)などのウイルスに感染こそするが、その影響を受けることはない、とペンシルベニア州立大学(Penn State University)は発表している。
パーク内に存在する蚊がウイルスを運んでいるかどうかを確認するため、ディズニー・ワールドの蚊監視プログラムのメンバーは、2018年5月から年5月の期間に、パーク内の2300羽以上のニワトリの血液サンプルを採取したと同レポートは報告している。
Insiderはウォルト・ディズニー・リゾート、クリストファー・ルーカス、マイケル・マクブライドにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)