アマゾンのジェフ・ベゾスCEO。
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- アマゾンのCEO、ジェフ・ベゾスは、2006年から2018年の間で少なくとも2年間は所得税を納めなかったと、ProPublicaが報じた。
- 記事によると、テスラのイーロン・マスクCEOも2018年に所得税を支払っていない。
- 億万長者たちは、合法的な節税手段で所得税の支払いを回避している。
億万長者でアマゾンのCEOを務めるジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)は、2007年と2011年に所得税のまったく支払っていなかったと報じられた。テスラのCEO、イーロン・マスク(Elon Musk)も2018年、同様に納税しなかったという。これは、アメリカ内国歳入庁(IRS)に提出された納税書類をProPublica(プロパブリカ)が入手して報じたもので、世界的に知られる複数の富裕層に関する衝撃的な事実を明らかにした。
ベゾスは現在、保有資産1888億ドル(約20兆7800億円)でフォーブスの「世界で最も裕福な人物」の1位になっており、マスクは2位で保有資産は1533億ドル(約16兆8800億円)と大差ない。
これだけの巨額資産を保有する彼らは、どのように所得税の支払いを回避しているのだろうか。
ジェフ・ベゾスやイーロン・マスクのような億万長者は、給与や役員報酬で得る資産はほとんどない。その代わり、彼らの資産の大半は、保有株式に関連している。
ジェフ・ベゾスは、90年代初頭にアマゾンを共同で設立し、現在も10%の株式を保有している。
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例えばベゾスの場合、アマゾンの株式の10.3%を保有しており、その評価額は約1700億ドル(約18兆7000億円)だ。つまり、ベゾスの保有資産の大部分はアマゾンの株式が占めている。そして、それは常に価格が変動しており、時にはテスラのイーロン・マスクに「世界で最も裕福な人物」の座を奪われている。少なくとも残りの190億ドルが、アマゾンの株式とは関連のないベゾスの資産だ。
保有株式は、たとえアマゾンやテスラのように莫大な価値があっても、所得とはみなされず、売却するまで課税対象にならない。そのため、ベゾスはアマゾンの株式で貯えた資産に対する課税を回避できている。
その結果、ProPublicaによると、ベゾスの保有資産は2006年から2018年の間に1270億ドル(約14兆円)増加したが、彼がその12年間で申告した所得はわずか65億ドル(約7150億円)で、納税額はおよそ14億ドル(約1540億円)だった。彼の所得税の税率は21%ということになるが、申告した所得には保有株式で増加した巨額の資産は含まれてない。
もし長期保有している株式の値上がりによって増加した1270億ドルを考慮するなら、支払った所得税140億ドルは全資産のわずか1%にすぎない。
さらに、ベゾスや株式を保有する富裕層は、株を売却せずに現金に換えることが可能だ。保有株式を担保に金を借りれば、株を売却した時に発生するキャピタルゲインの課税額よりも、ローンの利息のほうが少なくてすむ。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)