中国国家航天局が2021年6月11日に公開した探査車「祝融」と着陸台の自撮り写真。
CNSA
- 中国は6月11日、火星探査車「祝融」の画像を公開した。
- 探査車の自撮り写真や、着陸地点周辺の360度パノラマ写真などが公開されている。
- 探査車は、火星に立つ中国国旗が大きく写った画像も撮影している。
中国は、火星探査車「祝融(Zhurong)」が火星から送ってきた新しい画像を公開した。
中国国家航天局(CNSA:China National Space Agency)が2021年6月11日に公開した画像は、探査車から送られてきた2回目の画像だ。今回の画像は、1回目の写真よりもはるかに精細なものだ。
画像の中には、火星の北半球にある広大な平原、ユートピア平原(Utopia Planitia)にある探査車の着陸地点周辺の風景の360度の眺めも含まれている。
下の画像は、探査車のマストに取り付けられたカメラで撮影した画像をつなぎ合わせたものだ。
探査車の着陸地点周辺の風景を360度撮影したもの。平坦な地形であることがよくわかる。
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CNSAのプレスリリースによると、次の画像は、着陸地点周辺の地形が比較的平坦であることを示しているという。
画像上部にはいくつかの岩の後ろにくぼみがあり、遠くには砂丘が見える。
探査車「祝融」から見た火星の地平線。
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また次の画像では、「祝融」が太陽光パネルでバッテリーを充電した後、着陸機から離れることができたのが分かる。
この画像は着陸地点から20フィート(約6メートル)ほど離れた場所から撮影された。画像の右側の地表に見えるものは、探査車がレールを降りた後に残した車輪の軌跡だ。
中国の探査車「祝融」が着陸地点の南東約20フィートの位置から撮影した写真。
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着陸機の下部には中国の国旗が吊るされていることも確認できる。中国はアメリカに次いで火星への探査車の着陸に成功した2番目の国だ(ソ連と、後のロシアは何度か着陸に失敗している)。
探査車は30フィート(約1.8メートル)ほど南に移動してカメラを置き、着陸機と一緒に自撮りをするために戻ってきて下の画像を撮影した。
探査車は約1.8メートル南に移動し、着陸台と自撮りをした。
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Insiderが、2021年5月22日に報じたところによると、探査車「祝融」は3カ月間かけて平原を探索し、火星の土壌の化学組成を調べ、水の痕跡を探すことになっている。
ユートピア平原は、表面下に水が蓄えられている可能性があり、将来の有人火星探査に役立つ可能性があるため、特に注目されている。
アメリカNASAの探査車「パーサヴィアランス(Perseverance)」の着陸から約1カ月後の2021年5月15日、中国の探査車「祝融」は火星に到着した。中国のミッションは、NASAの探査車「パーサヴィアランス」が着陸したジェゼロ・クレーター(Jezero Crater)から約1000マイル(約1600キロ)離れた場所で行われているため、2つの探査車が出会う可能性はほとんどない。
CMSAの張克倹(Zhang Kejian)局長は、「中国は、宇宙開発の成果を人類が共有できるよう、関連する科学データをタイムリーに公開する」とプレスリリースで述べている。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)