"五大湖ジャンパー"のダン・オコナーさんは2021年6月12日、ミシガン湖で365回目の飛び込みをした。
AP Photo/Shafkat Anowar
- アメリカのイリノイ州シカゴ在住のダン・オコナーさんは1年間、毎日ミシガン湖に飛び込んできた。
- 冬は湖に張った氷に穴を開けて、そこへ飛び込んだという。
- オコナーさんは、湖に飛び込むことがコロナ禍のストレス解消に役立ったとInsiderに語った。
シカゴ在住の男性は1年間、毎日ミシガン湖に飛び込み続けた。コロナ禍のストレス解消方法として始めたのだという。
「五大湖ジャンパー」と呼ばれているダン・オコナーさんが飛び込みを始めたのは、2020年の夏だった。二日酔いだったオコナーさんに妻が外出するよう言ったのがきっかけだったと、オコナーさんは Insiderに語った。自転車に乗って湖へ行くと、オコナーさんは飛び込んでみることにした。
「湖へ行っただけで、空気が新鮮に感じられました。地平線の美しい五大湖に飛び込むと、本当に穏やかな気持ちになりました。パンデミックや6月の抗議デモ、大統領選に向けて激しさを増す政治でアメリカがさまざまな混乱に陥る中、湖に潜ると禅のような瞬間が訪れるんです」とオコナーさんは語った。
「1日を水に流して、新しい1日を始められる場所のように感じられました」
それ以来、オコナーさんは湖に毎日飛び込み続けた。数カ月後、友人たちはまだ飛び込み続けているのかオコナーさんに尋ねるようになり、報道記者や地元のブロガーにも知られるようになった。
冬が近付き、人々からシカゴの寒い冬の間も飛び込み続けるのは無理だと言われると、オコナーさんは反抗的な気持ちになったという。
365回目の飛び込みを終え、ポーズを取るオコナーさん(2021年6月12日、シカゴ)。
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「これはわたしの性格なんだと思いますが、周りから"それはできない"と言われると、なんで? と言いたくなるんです」とオコナーさんは語った。
「わたしは人生の大半でクレイジーだとか、孤独だ、頭がおかしいなどと呼ばれてきましたが、わたしにはできないと言うなんて何様なんだ、と。これはチャレンジみたいなものでした」
そして、冬が近付くと、オコナーさんは自宅から3マイル(約4.8キロ)ほど離れた湖まで自転車ではなく、車で通うようになった。シャベルも持って行くようになった。
「駐車する場所と飛び込む場所によって、4分の1マイルから2分の1マイル歩きました。シャベルを持って行ったのは、湖に氷が張っているかもしれないからで、自分が飛び込める十分なスペースを確保するために穴を開けました」
オコナーさんはできるだけ安全に飛び込みを続けるため、自分の安全を確認してくれる人間をもうひとり常に連れて行っていたという。
最終的に、人々はオコナーさんと一緒に飛び込んだり、見物したり、別のパフォーマンスをし始めた。
「不運な目に遭った友人がいるのですが、彼は確かサンクスギビングの前後から湖へ来るようになりました。5回はわたしと一緒に飛び込んだと思います。水に飛び込むことで得られる癒しは、過小評価されていると思います。自宅のすぐ裏にある五大湖を自分は十分に活用せずに来てしまったんです」とオコナーさんは語った。
1月になると、パンデミックで人々に披露する場所がなくなり、経済的に打撃を受けたアーティストたちがオコナーさんと一緒にパフォーマンスをし始めた。オコナーさんが飛び込みを始めて丸1年が経った6月12日までに、90人のアーティストがパフォーマンスを披露したという。
363回目の飛び込みを終え、目を閉じて湖に浮かぶオコナーさん(2021年6月10日、シカゴ)。
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飛び込みは自身のメンタルヘルスを向上させる役に立ったとオコナーさんは話している。今後は毎日は続けないものの、時間を見つけて湖に飛び込むつもりだという。
「何かを心に決めれば、やり遂げることができます。他のことは無視できるんです。前向きな心構えを持つことができるし、きっと苦しみに耐えたり、目標達成のためのどんな障害も乗り越えられるでしょう」
(翻訳、編集:山口佳美)