米アマゾンが倉庫従業員の行動を追跡するのは「人は本質的に怠惰」だから

アマゾン

REUTERS/Brendan McDermid.

  • 米アマゾンのポリシーの一部は従業員が怠惰になるのを防ぐために作られていると、同社の元幹部の男性はニューヨーク・タイムズに語った。
  • 男性は、同社の短期雇用モデルやパフォーマンスの追跡は、従業員を常に油断させないためのものだと話した。
  • ニューヨーク・タイムズの報道は、アメリカの最大の雇用主の1つであるアマゾンの厳しい運営方針を明らかにした。

アマゾンのポリシーの多くは、従業員が怠惰になるのを防ぐために作られていると、同社の元バイスプレジデントはニューヨーク・タイムズに語った

アマゾンの倉庫管理システムの構築を手伝ったデビット・ニーキルク(David Niekerk)氏は、"人は本質的に怠惰"というアマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏の考えが同社のポリシーを形作るのに貢献したと、同紙に話した。

ベゾス氏は、労働者の"良いパフォーマンスをしたい"という熱意は時が経つにつれ低下し、定着した労働力は「凡庸への道」だと考えていたと、ニーキルク氏はニューヨーク・タイムズに語った。

「できるだけ少ないエネルギーで自分たちが欲しいものや必要なものを手に入れようとするのが、わたしたち人間の本質だというのが彼の考えでした」とニーキルク氏は話した。

そして同氏は、従業員に昇進のチャンスをほとんど与えない短期雇用モデルや、従業員を仕事に集中させるためのアマゾンのテクノロジーの使い方に言及した。アマゾンは入社から3年経った後の昇給は保証しておらず、これはアマゾンでのんびりし過ぎていたり、「不満を抱く」ようになった従業員を追い出す方法の1つでもあるという。

ニーキルク氏が言及したものは、アマゾンの最も異論の多い行いの一部に過ぎない。同社は、生産性の低い従業員を1日で解雇したり、十分な休息を与えずに高い生産目標を課して、従業員を働かせ続けているなどと報じられてきた。

こうした行いは多くの従業員に、アマゾンが彼らを人間というより機械のように扱っていると感じさせてきたと、ニューヨーク・タイムズは伝えている。

同紙によると、ある従業員は2020年の倉庫の内部フィードバックに「わたしたちは人間だ」と書いたという。

「わたしたちは、会社の1日の目標、1週間の目標、レート(編集注:倉庫従業員が1時間で処理しなければならないアイテム数を表す同社の用語)を達成するために使われる道具ではない」とこの人物は続けた。

アマゾンの企業風土と従業員に対する高い期待は、その労働災害の多さにもつながっている。6月の初めにはワシントン・ポストが労働安全衛生庁のデータをもとにした分析記事を出していて、アマゾンの倉庫で働く従業員たちはウォルマートといった企業の従業員よりも重傷を負う可能性が2倍近く高かったと伝えた。

4月にはベゾス氏が、アマゾンは従業員にとってより働きやすい職場を作るために取り組んでいるとし、倉庫をより安全にするために2021年に3億ドル(約330億円)以上を投資すると述べた。また、アマゾンには「従業員のためにわたしたちがどのような価値を生み出すか、従業員の成功のためのより良いビジョン」が必要だとも述べた。

Insiderはアマゾンにコメントを求めたが、回答は得られなかった。

[原文:Amazon tracks warehouse workers' every move because Jeff Bezos thinks people are inherently lazy, report says

(翻訳、編集:山口佳美)

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