Squareは小売業に特化した「Square リテール POSレジ」の日本提供を開始した。
出典:Square
キャッシュレス決済端末とPOSレジアプリを展開するSquare(スクエア)が在庫管理が必要な大規模事業者向けサービスを開始する。あわせて6月16日、小売業向けの新アプリ「Square リテール POSレジ」(iPad/iPhone)を発表した。
従来、Squareは日本で主に中小企業向けに事業を展開し、タブレットなどにアプリを入れて使う「mPOS(モバイルPOS)」の領域で存在感を示してきた。
今回、無料版の他に有料のプラスプラン(月額6000円)、さらに上の「プレミアムプラン」も用意される。スクエアによると、プレミアムプランの価格は“要相談”で、標準機能に加えてカスタマイズが必要な大規模事業者向けプランという位置付けだ。
従来のSquare POSレジにはない「在庫予測」機能なども備える。
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これまで、複数店舗や大量のバリエーションのある商品の在庫管理が必要やある程度大きな事業者は、東芝テックやNECプラットフォームズといった事業者のソリューションを導入したり、開発を依頼する機会が多かった。
そのような既に醸成された市場に、“プレミアムプラン”がどう刺さるか注目が集まる。
オンライン+リアル店舗の統合管理が肝に
写真左からSquare リテール POSレジ、従来のSquare POSレジ。飲食店や美容院などのサービス業は従来のPOSレジの方が向いている。
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Square リテール POSレジは、アメリカで2017年に 「Square for Retail」として発表されており、日本は5カ国目の展開となる。
従来の「Square POSレジ」と同じく、月額0円から使用でき、iPhoneやiPadで利用でき、別売の「Square Reader」を取り付けることで、各種クレジットカードやSuicaなどの交通系IC、QUICPay、iDといった電子マネーにも対応可能(3月に上陸した一体型端末「Square Terminal」やAndroidデバイスには非対応)。
Square StandやReaderといった決済端末と接続することで、実店舗にキャッシュレス決済も導入できる。
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Square リテール POSレジは、従来とはUI(外観や使い勝手)の変更だけではなく、搭載する機能面も大きく変わる。主に在庫や仕入れ先管理、店舗管理、従業員管理が強化され、大手チェーンなどでの本格導入を意識した設計と言える。
従来のSquare POSレジでも簡易的にこのような機能は一部搭載されていた。だが、例えば店舗から店舗への在庫移動処理が数クリックでできるようになるなど、商品の在庫管理が重要視される現場に最適な機能を搭載する。
Square リテール POSレジではiPadのカメラを使ったバーコード読み取り機能も搭載されている。
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また、自社ECサイトを「ノーコード」(コードを書くことなく構築すること)でつくれる「Square オンラインビジネス」との連携も特徴の1つ。こちらも商品・在庫情報を共有できるため、実店舗とECサイトの一元管理が可能になる。
オンラインとオフラインの統合管理できるmPOSツールは、「Shopify POS」(2020年9月日本発表)やheyの「STOREレジ」(2021年6月15日発表)も登場しており、コロナ禍でEC転換が進む小売業のニーズに対応したものになる。
(文・小林優多郎)