ミレニアル・Z世代の87%が職場に望むものとは?「管理職は分かっていない」

若い世代が職場に求めるものとは

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将来への投資、デジタル機器の効果的な利用、サステナブルな経済……。こうした価値を最も重視するのが、18~40歳の年代層。企業の労働力として最も必要とされるグループでもある。というのも、ドイツにおける幹部職員の平均年齢は50歳だからだ(世界平均は53歳)。

彼らの配下にいるのは若い人々で、1997年以降に生まれたZ世代と、1980年~1997年に生まれたミレニアル世代。この2つのグループはデジタルネイティブでもある。

若者文化行動研究家シモン・シュニッツァーは2グループを次のように比較する。ミレニアル世代はスマートフォンのない世界を知っていたが、Z世代が生まれたころ、世界はすでに“インスタント・ワイヤー”で結ばれていた

Z世代はメールの代わりにWhatsAppを使い、携帯電話ではなくスマホ、MP3よりもSpotify、テレビ番組の代わりにYouTubeやNetflix(ネットフリックス)を利用し、ヨガスクールに通う代わりにオンラインでヨガをする。

世代研究家リューディガー・マースはそこまではっきり分類せず、共通性を強調する。「どちらの世代もこうした媒体を目標や仕事内容に合わせて利用します。やり方はよく似ていますね」

2つの世代は、仕事への考え方も共通している。職業における有意性、共感力、幸福感、多様性、サステナビリティといった価値観を、上の世代よりも重視する。

デジタルネイティブは計測可能な経済価値を持つ。一国におけるデジタルネイティブの割合が1%ポイント増えれば、収益性は0.9%上昇する。世界的に見ると、彼らの潜在性は年間1兆9000億ドルにものぼる。これは、米テック企業シトリックス・システムズ(Citrix Systems)がコールマン・パークス・リサーチ(Coleman Parks Research)およびオックスフォード・アナリティカ(Oxford Analytica)との提携で行った国際調査「Work 2035: The Born Digital Effect」の結果だ。

同調査では、数段階におよぶ経済モデルを使い、国際的な企業レベルでデジタルネイティブと企業の収益性の相関関係を分析した。

若者は仕事に何を望んでるのか?

同調査からもう1つ分かったのは、ほとんどのケースで、管理職は若い世代が仕事で何を望んでいるかを知らないということだ。

調査の対象となったのは、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、中国、インド、日本、アラブ首長国連邦、メキシコの大・中企業における管理職1000人および18〜39歳までのナレッジワーカー2000人だ。若い社員とその上司の間には、往々にして大きな“デジタル的”相違がある。

若い世代が重視するのは、キャリアチャンス、職場の心理的安全性(世界的には87%、ドイツは88%)、仕事と生活のバランス(同じく87%)という結果が得られた

ドイツでは、優先順位リストにある仕事への満足度が86%を占めている。また、78%が自主的な仕事の進め方を支持。彼らのコミュニケーションは主としてデジタルで、デジタルネイティブの81%が仕事でSlackやWhatsAppといったインスタントメッセンジャー(IM)を利用している。

上司の方はどうかというと、IMを利用する割合は21%にすぎない。若い社員にとって最も重要なのは、職場におけるニューテクノロジーへのアクセスや、さらなる職業訓練へのチャンスだ。ドイツの管理職は、そのほかに自社の利益アップや、職場におけるテクノロジー投資を優先する。上司がテクノロジーの側面をこれほど重視する国は他にない。社員の福利厚生はその次だ。

「2035年には、企業の成功・不成功は彼らの手中に」

職場環境に対する期待についても、2グループの相違は大きい。デジタル世代の90%は、ポストコロナ時代にフル出社しての勤務に戻ることを望まない。半数以上(51%)がリモートワーク主体を、39%が通勤とホームオフィスを併用するハイブリッドモデルを望んでいる。

だが、管理職はそのことをあまり重視していない。ドイツでは、社員の快適さを高めるフレキシブルな職場モデルを支持するのは46%で、43.6%は会社勤務を望んでいる。リモート勤務はあまり人気がない(支持するのは管理職の10.5%)。

「デジタルネイティブをうまく獲得し維持するには、企業は彼らの勤務モデルや仕事ツールに投資して、フレキシブルかつ効率的な職場環境をつくる必要があります。次世代が上司に期待するのがそれですから」と語るのは、シトリックス・システム中欧支部長オリヴァー・エーベル。「2035年には、企業の成功・不成功は彼らが握ることになるでしょう」とエーベルは付け加える。

LinkedInの最新調査によると、入社2年以内の社員の41%、実習生および学生の60%がリーダーにもっと共感力を持ってほしいと感じている。上司たちにもそれは伝わり、日常業務における共感力の重要性はコロナ禍によって高まった、と彼らの3分の2(66%)が回答した。

新規採用者を探す際に、共感力は教育や学位や職業経験といった「ハード・ファクター」と同様に重要である、と調査対象の79%が回答している。ここでもまた、管理職は若い労働力とのコミュニケーションを増やしたいと望んでいるのだ。

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