Plus
- アマゾンは、スタートアップ企業「プラス」の自動運転システムを発注したと報じられている。
- 最新の提出書類によると、契約にはアマゾンがこのAIスタートアップ企業の株式を購入するオプションも含まれているという。
- プラスの自動運転技術は、AI関連技術に注力するアマゾンの方針と一致している。
アマゾン(Amazon)は、自動運転技術を開発するスタートアップ企業から1000台分のトラックの自動運転システムを購入することで合意したと、ブルームバーグが報じた。
自動運転システムのスタートアップ企業である「プラス(Plus)」は、トラック向けのAIベースのソフトウェアを開発しており、2021年6月21日付の提出書類によると、Eコマース大手のアマゾンに株式購入のオプションを提供することで合意に達した。
今回の契約には、アマゾンはプラスの優先株を最大4億2070万2410株まで、1株あたり約0.47ドル(約52円)で購入できることが含まれており、これは同社株式の20%に相当する。仮にアマゾンがこの株を最大限に購入すれば、2億ドル(約220億5500万円)に近い投資となる。
アマゾンの広報担当者はブルームバーグの報道について、提出書類に記されたこと以外にInsiderにはコメントをしておらず、プラスの広報担当者もコメントを控えている。
カリフォルニア州に本拠地を置くプラスは、無人運転の実現に向けて取り組む数多くの企業の一つだ。今回のプラスとアマゾンとの提携によって、最終的にはアマゾンは人間のドライバーを必要としなくなるかもしれない。
これは、アマゾンが人間のドライバーに頼らない未来の姿を模索する最新の事例だ。2020年には、6月に自動運転技術のスタートアップ企業であるZooxを10億ドル(1102億7800万円)以上で買収することに合意し、アマゾンの自律走行ロボットタクシーがその年の暮れに発表されている。
アマゾンは、プラスの持つ自動運転技術を利用すれば、トラック運送業界にも多大な影響を与えている全国的な労働力不足を克服し、配送の遅れや輸送コストの上昇を防ぐことができるようになるだろう。ただし現時点では、自動運転システム「プラスドライブ(PlusDrive)」には、運転免許を持つドライバーが必要だ。
だが、今後数年間で変わる可能性もある。「プラスドライブ」は、プラスの最初の製品で、テスラ(Tesla)の「完全自動運転」ソフトウェアと同様のものだが、現在はシステムの誤作動や介入が必要な場合に備えて、免許を持つドライバーが運転席に待機し、路上に目を配る必要がある。プラスの最高経営責任者(CEO)であるデビッド・リュー(David Liu)は、Insiderに対し、2024年の終わりまでにはドライバー不要の製品を販売したいと語っている。
プラスは2021年初め、アメリカと中国の企業にセミトレーラー向けの「プラスドライブ」の納入を開始した。同社は中国の配送会社SFホールディング(SF Holding)に、セミトレーラーが1日900マイル(約1448キロメートル)以上走行できるシステムを提供している。
プラスは2016年に設立され、2021年5月には33億ドル(約3639億円)規模の特別買収目的会社(SPAC)で上場する計画を発表している。
アマゾンが自動化技術に進出するのはこれが初めてのことではない。アマゾンは以前から、AI関連技術を使って従業員を監視し、生産性を最大化してきた。同社はこれまでに人材を雇用するためのツールから、ドライバーの動きを追尾し、ドライバーがあくびをしたことを感知するシステムまで、あらゆるものにAIを利用してきた。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)